「即興」3 魔女っ娘戦隊オッサンジャーファイブ

 極悪マイスター1000は、怪人である。

 子供向け特撮番組の敵役、『ファット・ピープル』の幹部である。

 全世界、全人類を、高脂血症・肥満症にするべく、日夜ハンバーガーと炭酸飲料を学校帰りの子供たちに無料配布している悪の秘密結社、という設定だ。


 設定からすでに問題ありなんじゃないか!?


 正義の味方、オッサンジャーファイブを前に高笑いしながら、極悪マイスター1000は悩んでいた。このヒーローたち、揃いも揃ってハズした感満載だ。


「もう逃げられんぞ! 極悪マイスター1000!!」

「食らえ! 我らの必殺技!!」

 なかばヤケクソ気味にヒーローが叫ぶ。


 オッサンレッドが河童禿げの頭頂部からサンビームを撃ち出す。


 それをオッサンブルーが後頭部禿げの鏡面で跳ね返してイエローにパス。


 イエローがサッと自慢のすだれを捲し上げてさらなるパスをグリーンへ回す。


 グリーンのパスは最後に紅一点ピンクへと受け渡される。


 ピンクだけは、なぜかミニスカぴちぴち太腿全開、魔女っ娘スタイルで浮いていた。


「エネルギー充填完了! 脂肪吸引セットオン、ハイパーファットバキューム!」

 言ってる台詞に意味なんかないに違いない。退散の準備に入りながらマイスターは思う。


 素直に魔女っ娘モノにしたらダメだったのか。


「イケメン幹部覚悟ー!!」

 ここで効果音が鳴り響き、編集でCG映像が合成される手筈だった。


「はっはっはっ、残念だったね。これにて退散させて頂くよ。」

「待って! 貴方はわたしの兄さんなのよ!! 行かないでー!!」

 くずおれる魔女っ娘ロリ。パンチラがお約束で必ず入る。


「さらばだ。」

 出来るだけカッコよくバサァとマントを翻して退場する敵幹部。

 意味が解からんけれども、なんか知らんが人気があるらしい。


 仕事選んでくれよ、マネージャー。

 なんなんだよ、この無茶振り。



(題材が確か無茶振り:マイスター1000、ファットピープル、?)

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【文芸】グループレスで出した小ネタ集 柿木まめ太 @greatmanta

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