第5話 小さな朝の始まり

翌朝


日付を更新した辺りから降り出した雨が

雷を伴い

激しく降っていた


式典を行うために空き地へ停泊している戦艦

基本的に陸海空と全てに対応しているから

特に問題はなかったが

気分的に悪い感じがあって


『明日は晴れるといいな~』


部屋の小窓から外を見つめるミライちゃんは

若干だが憂鬱な気持ちでいた


しかし、かなりポジティブな性格であるから

すぐに気持ちを切り替えて

自分を高めるようにしていた


『おはようございます・・・相変わらず朝から元気ですわね~♪』


対照的に、眠そうにしているトモカちゃん

朝は少し苦手のようで

真面目な分、保ってはいるようですが

まぶたが相当重く感じる


『あ、トモカちゃん・・・おはよう~!!』


元気に挨拶するミライちゃん

常にではないけど

疲れや落ち込む姿は、ほとんど見せない


『科学者なんだから、快眠できる発明すればいいんじゃないの~??』


『そうですわね・・・自由に眠れる世界を構築でもしましょうか、根本的な改革が必要ではないかと思われます』


冗談な感じで発言したが

本気で考えていた事に、驚きと共に

科学者って凄いと思うミライちゃんだった


『世界自体を変える・・・それって、完全に神の領域だよね!!』


である、あなたがそれを言いますか??』


科学者であるトモカちゃんは

文字通りの神であるミライちゃんの方が凄い存在なんだと

改めて、自覚させる


『あ・・・うん、そうだよね』


でも、自覚は

元々ある感じで

それをあまり表現していないだけみたいに思える


『意識すると、自分じゃないみたいになるの・・・神様って存在に対して』


『そうなのですか・・・それでは、深くは追求しませんわ』


これ以上は無意味だと判断したトモカちゃんは

そのままミライちゃんを連れて

艦長室へ移動する


ミライちゃんの戦艦であるから

艦長もミライちゃんなのだが

寝室は別個で欲しいと

プライベートルームをメンバーと同じように設けてある


『おはようございます』


礼儀正しい挨拶

通路の前方に荷物を抱えた一人の少女が居て

二人に対して、すぐに反応していた


『コトハさんだよね・・・初めまして、ミライです』


『おはようございます・・・トモカと申します』


丁寧な挨拶に対して

同じく丁寧に挨拶するミライちゃんとトモカちゃん

昨日と今日で到着するメンバーがそれぞれ

移動距離などの違いで

集合までのタイムラグがあって

それで、明後日がお披露目となっている


『集合までまだ時間があるから、旅の疲れを少しでも癒しておいてね~♪』


『はい・・・わかりました、それでは後ほど』


事前に部屋は決まった場所で

本人へ鍵と案内を送ってある


一応、鍵の紛失や場所の迷いなどを考えて

本人を認識するシステムを用いているから

任意で向かう先を思えば

艦内の移動可能な場所は、自動で到着するようになっている


『自分の戦艦で迷子とか、バカみたいだもんね』


『そうですわね・・・ありえません』


蔑んだ視線をミライちゃんに対して送るトモカちゃん

過去の事例を思い出す二人・・・


まあ、広いし

最初はね・・・なんて思うミライちゃんだった


艦長室にて

明後日の式典の予行練習を今日予定してあって

単純に姿を見せるだけなので

難しい事はないが

ステージでの移動や

当日のカメラアングルのチェックなど

確認の意味もあり

実際の流れをメンバー全員で行う事になっている


『まだ到着していないメンバー居るよね??』


『チェックインのサインがまだですから、そうなりますわ』


予定では、朝までに残りのメンバーが到着するはずだが

遅れが出ているようで

数名が艦内への入場サインを示していなかった


『直接本人へ確認してみますか??』


『そうだね、事故とかだと助けに行かないとダメだろうから・・・』


神業オーバースペック

が使う、特殊な能力

確実に人智を超えたモノばかりで

ミライちゃんも複数の能力を保有している


『トモカちゃん、少しの間お願いね・・・会いに行ってくるから』


『お気を付けて・・・』


ミライちゃんは、その場から姿を消した

空間転移の技法

基本的に自分の管理する世界の中なら

自由に瞬間な移動が可能で


任意に特定の場所へ自在に往来する


今朝の予定で到着するはずだった

まだ姿を現さなかったメンバーの所在


最初に移動をしたのは・・・


『塔の最上階・・・また、凄い場所に来ちゃったな~♪』


何故か嬉しそうにしているミライちゃん

瞬時に移動してくるから

到着した段階で特定される


『ミライちゃん!? どうしてここにいるの??』


『予定時間を過ぎているから、迎えに来たんだよ~!!』


一人で風と戯れていた少女

どうやら、時間を把握していなかったようです

慌てる素振りも見せない感じが

何とも素敵な気もします


『戦艦のトモカちゃんの隣に移動するようにしたから、デバイスのOKを押してね』


『はい、ありがとうございます』


デバイスモニターは装着しているグラス内に映る

見える空間にあるOKを認識で押した

すると、ミライちゃんの時の様に姿を消す


『まずは一人目だね、よし次に移動だ~!!』


同じ様に再び、移動をするミライちゃん

残りのメンバーの場所へ



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