第4話 壊した音を紡ぐ奏で

記者会見は滞りなく順調に進み

あっさりと終了した


具体的な内容の発表が三日後となるために

ほぼ当日の軽い説明で

質疑応答は無い状態だったから


『トモカちゃんは本番に強いタイプだよね、さっきも堂々としてたし・・・』


『うふふ、わたくし・・・とても緊張してましたわ』


そっとミライちゃんの手を自分の胸に合わせて

目を閉じる


少し早い鼓動を示す

それを感じたミライちゃんは


『・・・うん、無理させちゃったみたいだね』


少しだけ悲しい気持ちになるが

目を開けたトモカちゃんは笑顔で


『自分への決意表明だと思って、頑張らせて頂きました・・・それに一番の無理はあなたの方ではないですか??』


死の概念を皆無とした神と同等の存在

として世界を管理する立場にあり

一度は失った輝きを取り戻して

新たな世界を構築させた

そんな世界は再びの危機にある


『そうなんだけどね~深く考えると、先に進めないじゃない・・・だから前だけを見ようと思っているの』


二人は笑顔で見つめ合う

通路での出来事だったから

数名に目撃されていて

後で、色々と言われていましたが

意味深な返しをトモカちゃんがしたために

ミライちゃんとトモカちゃんはパートナーの枠を超えた仲なのではと

メンバー内でしばらく話題となっていました


『ある意味で間違っていないかと思われますわ、ミライさんとわたくしの間柄は』


『そうかもしれないね、普通に千夜を過ごしたもんね~うふふ♡』


否定をしなかったこともあり

公認なカップル的な感じで

本当にそうだと思っているメンバーもいるくらいだから

最後まで、よくわからないでいた


世界の二つ隔てて培ってきた関係は

友情を超えたものとなっているようです


軽く集会的な夕食としようかと

話が出ましたが

まだ到着していないメンバーもいるからと

デビューの明後日前夜に揃って行おうとなった


『じゃあ、各自のお部屋に夕食を配膳しておくからね』


明日の集合時間まで自由行動となり

まだ初日なので、ほぼ個別な形だった


『注目されている方の動向をでしたわね・・・個人的には覗きの趣味はございませんが、仕方ありません』


『う~ん、ちょっとだけ気になっているの・・・今日だけだよ』


ミライちゃんとトモカちゃんが

部屋に戻る最中の会話


部屋には監視カメラなどはない

そんなわかりやすいアイテムを設置しても無意味だと

それに、ミライちゃんの保有する戦艦であるから


『デバイスに細工をしましたから、リンク出来ますわよ』


『艦内はビジョンの範囲で全て網羅できるから、特に細工は無用かと思ったんだけど・・・不可視の基本能力パッシブがあるだなんてビックリだよ~♪』


自分の手の届く範囲テリトリー

自分が自由に出来ない

完全なる把握が無理だとわかるが

それも楽しみのひとつとして、逆に面白く思う


『わたしくも取り乱してしまうくらいに、大事な存在ですわ・・・絶対に手放してはなりませんわよ・・・どんな事をしてでも、優遇処置も考えてもですわ!!』


『う、うん・・・怖いよトモカちゃん!?』


両肩に手を置いて

至近距離で鼻が触れるくらいの

吐息もかかるような位置で

必死に語るトモカちゃん

ミライちゃんは、迫力に少しだけ恐怖を見る


『・・・申し訳ありません、こちらの意図はあの方には話をしてもいいかと思うのですが・・・既に知る方もおりますし、どうでしょうか??』


少しだけ距離を取る二人

冷静なトモカちゃんが珍しく情熱を全面に出している

ある程度、見た時から決まっていたかのように

ミライちゃんは、即答で返す


『そうだね、コソコソお互いにしてても何か嫌だもん・・・正直に戦いの事話そう、アンナちゃんは理解してくれるかな~??』


フードの大人しそうなゲームをしていた、あの娘

会見に向かう二人をこっそりと伺う感じは

勿論、ミライちゃんもトモカちゃんも把握していて


本人も言っていたように

アイドルになれる要素は、見た目では難しい

本質的な部分では、わかりませんが

別の意味を持っていると

思っても仕方ない


『どうして私の部屋に居るのですか??』


個室はそれぞれの分

しっかりと用意されていて

複数が居る事は、仲良くなっている以外では

用事などある場合か

無意味な感じは

本当に仲良くなった証拠なのでしょう


『シホさんの能力をお借りしたいそうです・・・ね、アンナちゃん??』


セリカちゃんが強引にアンナちゃんと共にこの部屋に居る

少しだけ大人な装いのシホさんと呼ばれる

クールな女性の部屋


『どうして、私の事を理解しているのですか・・・あなたは??』


この部屋でも隅っこでゲームをしているアンナちゃん

基本的に他人とのコミュニケーションを苦手としているようで

更にゲームを好むようで

確実に会話が成立していない


『・・・アンナちゃん、セリカは帰りますよ!!』


『ダメ・・・帰らないで』


迷惑そうに帰ろうとするセリカちゃんを

高速で拘束するアンナちゃん

普段見せない速さでしがみつく


『はわわぁ~、アンナちゃん!?』


自分の部屋で他人が二人でイチャイチャしている様子

不機嫌になるシホさんは

追い出そうとするが


急に泣き出すセリカちゃん


『・・・泣かれても困ります、仕方ありませんね』


『シホさん、ごめんなさい・・・セリカのために』


何か違う方向性で

事実上のトリオが構築の基盤となる


『ありがとう、シホ・・・さん』


つぶやく様に、小声で囁くアンナちゃん

恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている


『親元を離れて、寂しいとかですか・・・適当な理由を考えておきます』


三人で一夜を過ごすこととなった

初めて同士の相手だったが

意外にも緊張をしないで、楽しく時間は経過していった


『明日の集合の際でもいいかな、いずれ話さないといけないから』


『色々と考慮して、傍観するのが策かと思われますわ』


そう言うと、トモカちゃんは自分の部屋へ戻っていった

少しだけ寂しそうにするミライちゃん


『別にこのまま一緒に寝てもよかったのに~』


その内、一緒に寝る計画を密かに考えながら

眠りに就いた


到着しているメンバーは、ほとんど初日とあって

個別で自室に居て

そのまま一人で眠っていた

これから、生活する場所でもあり

持ってきた荷物の整理などしていて


特別な理由があった数名以外は・・・

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