第3話 進化に煌く世界の秘宝

全世界に配信される

新たなアイドルのデビューイベント


『マネージメントはわたくしが行うのですか・・・システム管理を含めて総括という形なのですわね』


科学者のトモカさん

アイドルに対して、抵抗はあるようですが

戦いに関しての戦略的な意味合いだと

判断したみたいです


『大人っぽいから、年上の仲間もちゃんと付いてきてくれるって思うよ』


会場となる戦艦の内部のホールで

集まった精鋭の参加者と

取材の記者など

大勢の人が溢れている


『アンナは、緊張でお腹痛いです・・・もう、帰っていいですか??』


私服のままで、まだ深々とフードを被っている

アンナちゃんは、大勢の人々の熱気で

相当、参ってしまっているようです


『人数を気にしては、アイドルなんて務まりませんよ!!』


最年少と思われる

小柄な少女が、元気いっぱいに励ましている


候補の精鋭が集まる席で

軽くミーティングが行われ

式典の流れなどが説明された


今日は、プレス発表で記者会見のみが行われ

3日後の週末に全員のお披露目がある

アイドルとしてのデビューなので

今後、歌の発表や

ライブなどのイベントの開催など

様々な予定が詰まっている


その間に、本来の目的である

世界を賭けた戦いに挑むことになる


が、すぐに出来るわけではない


まずはへ全員がならなければ

戦いにすらならず、敗北確定となる


『序盤は、アイドル専門で構わないと思うよ・・・を目指すと思って心を磨く意味で歌って踊ればいいからね』


色々と世界を見てきたトモカさんは

アイドルの活動が意味する本当の意図を

考えていた


にとって必要な要素がほぼ集結している・・・ですよね、トモカさん』


参加するメンバーでも

取材の記者でもない

と思われる

青い髪の素敵な淑女が囁くように呟く

そして、そのままどこへともなく消えていった


『・・・今のはさん、でしょうか!?』


別の世界で一度だけ接触した事のある

自分と同じ研究をしている科学者で

次元を切り裂く能力を持つ最強の武器を保有している存在


『トモカちゃん、どうしたの??』


『いえ、知り合いに似た方をお見受けしたので・・・特に問題はありませんわ』


記者会見を前に緊張をしているのかと

気を回す管理者のミライちゃん

確証が無かったので、さんが居たとは言えなかった


『わたくし、少し緊張しているだけですわ・・・人前で話すなんて経験がありませんから』


『トモカちゃん・・・じゃあ、ずっと手を握っててあげようか??』


そう言うと、ミライちゃんはトモカちゃんの手をギュッと握る

思わず、手を離そうとしたが

そのまま・・・


『誤解をされてしまいかもしれませんわね・・・わたくしとあなたの仲を、皆さんは・・・うふふ♡』


妖艶な微笑みでミライちゃんを見つめるトモカちゃん

実際、誤解されてしまうような素振りをしているようにも思える


『・・・別にいいんじゃない、そうなっても面白いかも』


あくまでも、楽しそうにするミライちゃん

具体的に把握していないのだと

トモカちゃんは、少しだけ残念そうに思った


『その内、本気になりますわよ・・・わたくしは』


『あ、時間みたいだよ・・・行こう、トモカちゃん』


言いかけた所に

スタッフから、合図があって

記者会見の準備が完了したようで

二人が呼ばれた


『・・・あの二人、怪しい??』


物陰から覗くフード

と、可愛らしいツインテール


『何が怪しいんですか??』


アンナちゃんの横に、小柄なツインテールっ娘が

不思議そうに見つめていた


『・・・何でもありません』


『そうなんですか??』


ミライちゃんの視線がこちらに向いて

気付かれそうになったために

慌てて二人が退散する


『どうして、逃げるのですか??』


『・・・面倒な事は嫌だから』


こそこそしているのを

他のメンバーに目撃されていて

後で、色々と問題とあるが

特に悪い事をしたわけではないから


『逃げたのが裏目に出てしまった・・・より、面倒な事に』


アンナちゃんが悲壮感に襲われ

部屋の隅でゲームをしていた


アイドルに対して興味はある

しかし、機会やタイミングなどが合わず

もしくは躊躇していたりと

興味はあっても簡単になれるものでもない


『特に悪い事をしたわけではないから、別に悲しむ必要はないと思うよ』


『アンナはいつも通りじゃないですか・・・引きこもりにゲーマーらしいから』


ハードカバーの本を持つ少女が横目にアンナちゃんを見ながら

普段通りだと、みんなに対して発言している


そして、すぐに手に持つ本を読み出している


『記者会見は普通に閲覧可能ですよ、堂々と見学すればいいのに』


当事者となるメンバーは

完全なシークレットとなるわけではない

既に公表されている情報であれば

開示されているから


『サプライズ感が減りますから、もう少し控えて下さい!!』


『コソコソするのには、別の意図があるのですよね??』


別のメンバーが待合室のような少し広めの部屋で

記者会見の模様をモニターから拝見している


あえて会見の場に向かうには

直接見る意味合いがあって

会見の内容を知るだけなら

メンバーに配られているデバイスから自由に閲覧が可能で

コソコソまでして覗くようにしたのは

別件だと思われるのは、普通に考える


『記者さんの様子を直接確認したかったから?? じゃないの??』


複数の会話が行われている

個々に話をしているが

内容は同じで

アンナちゃんとセリカちゃんが

どうしてコソコソしたのか

覗く意味について


セリカちゃんに関しては

特に覗いていたわけではないと

ほぼ一致していました


そして、アンナちゃんの動機の議論がなされている


『暇なのでしたら、今後について話した方がいいのではありませんか』


会話を中断させる

顔立ちは幼く見えるが

凛としていて

日本人形のような、綺麗な黒く長い髪


真面目な環境で育ってきたのでしょうか

とてもアイドルをするようには思えない感じもある


世界を賭ける戦いを知る数少ない存在

真意を理解しているかは、別として

ミライちゃんとトモカちゃんの次くらいの


アイドルよりも戦士としての加担をしているようだった・・・


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