第2話 未来を紡ぐ軌跡

ある程度の準備は既に整っている

細かい調整がまだ必要だったりするが

ほぼ始めることは可能だろう


『ジオが加担してくれるとは、思いませんでしたわ』


『自分の目的に利用するだけなんだけどね』


二人共ニコニコしている

これから行われることは

自分と管理する世界と全てを賭けた戦いとなる

そんなことを微塵も感じないくらいに

穏やかな笑顔だった


『ジオが賭けるのは、自分の管理する世界そのものとなりますわ・・・勿論、わかっての事だとは思われますが、一応確認のために??』


どんなに愚かな存在だとしても

この質問は、管理者にとって重要な意味合いとなる

しかし、正直驚きしかなかった


『へぇ~そうなるのね・・・でも、勝てば失うものはないよね平気でしょ!?』


『冗談で話をする方ですの・・・特に不安などはありませんわ』


噛み合わない会話となる

管理者は冗談のように自分の世界を賭ける戦いとなるのかと

当たり前の情報を初耳みたいな感じで話す

科学者は自分にジオが加担してくれた事や

無謀に近い戦いに恐れないように

不安にならないように

わざとらしく、茶番を演じているのかと


『世界の精鋭を用意しましょう・・・への覚醒はあなたのシステムを使えば可能じゃないかな』


『わたくしのシステムですか・・・耐え切れる心を示せば問題はありませんわ』


は、ジオと同等の能力を保有する存在

そのままジオとして世界を管理する立場となる場合もある

神の名を持つだけあって

基本的に死の概念が無くなる


『世界を賭けると、住む人にも影響あるよね・・・しかも、負けると全部消えるよね・・・あれ、かなり重要な事項な気がするのだけど??』


今更な感じで、急に考え込む管理者

ここまででやっと事態の大きさを理解する


『あの世界での敗北は、であっても存在自体を消す事になりますわ・・・この世界を含めて過去の記憶として刻まれる事にはなりますが』


『これは、絶対に負けられない戦いになるよね!?』


一度は失った世界を再構築して

新たな世界として誕生させた

そんな世界を再び無くすわけにはいかない


準備に関して言えば

世界をひとつ犠牲にして

より万端にさせている


更に、精鋭も既にある程度の目星はあって

この場所に集結するようになっている


『強制は出来ませんわ、話をしても理解してくれる方がどの位居りますか・・・』


科学者の専用の研究所

ジオの叡智を使った最強のシステムを構築するために

次元を超越した存在にふさわしい

輝く力を無限に放出が出来るように


『大丈夫だよ、別の方法で参加してくれるようにしちゃうから・・・存在証明をそれぞれがそれぞれの形で示せるようにね~♪』


テーブルの上にある

幾つかのシステム用のデバイスを眺めながら

ニコニコしている管理者


『奇妙な改修をしていると思いましたが・・・研究所を隠す必要があるのですか?? わざわざ、劇場に模様替えをしておりますわよね!?』


『うん!! 一緒に仲間になってくれるような楽しめる仕様なんだけど』


あまりにも無謀な世界を賭けた戦いに参加してもらう

選ばれしへの素質を持った精鋭


正直に話をしてもよかったのだろうが

とりあえず、全員に参加してもらいたい

と、ギミックを施してみたらしい


『アイドルを育成するシアターというのは、不思議ですわね・・・』


場所を移動して

舞台を保有する大型の劇場

ここで、士気を高める意味合いで

集まった精鋭は新人アイドルとしてデビューする


『女の子の憧れじゃないですか・・・そう思いませんか??』


『・・・わたくしも含まれるのですか、アイドルですの!?』


驚きを隠せない科学者

管理者は、精鋭をアイドルとしてデビューさせて

世界中を活気で溢れるようにしたいらしい

ジオの活力にもなるから

確実な勝ちを狙う作戦のひとつのようです


『まぁいいですわ、心に作用するシステムには有利に運ぶと思われます』


『そうだよね、そうだと思ったんだ~何となくだけど、楽しめるといいんだけど』


二人だけの会話も

若干、偏りがあると思われる


『やはり、偽装だったのか・・・私がアイドルなんて、間違っていると思ったんだ~ううっ、帰る!!』


いつもの間にか二人の横にフードを被った猫背の可愛い声の

女の子がフードを外して

真っ赤な顔をして、泣きながら去ろうとしている


『・・・あ、アンナちゃん帰っちゃダメ!?』


管理者が引き止める

アンナちゃんと呼ばれる可愛らしい女の子は

非力なためか、動けないで止められてしまう


『・・・離して下さい、私帰りますから』


『アイドルに関しては、実際に活動は致しますわ・・・わたくしも一緒に頑張りますから、まずは参加して頂けませんか??』


真剣な眼差しに

握る手が震えてる


『緊張しているの!? あなたは・・・怖いの??』


握られた手から伝わる不安は

緊張しているからではなく

必死に逃さぬための力みからのようで


『違いますわ!? あなたに帰られては困るからです!!』


『アンナちゃんが今の所、最も有力な存在だからだよ』


涙目でしがみつく

そんな状態で、このまま帰るのは

あまりにも気になってしまい


『わかったから、泣くのは止めてくれませんか・・・すぐに帰りませんから』


とりあえず、引き止めに成功はした

自分でも驚く程に即興での涙の演出だった

科学者は、勿論だが役者の心得などは無い


『申し訳ありません・・・唐突過ぎましたわね、思わず衝動的に涙を見せてしまいました・・・でも、あなたを必要とする事は事実です!!』


管理者は科学者にハンカチを渡す

そして、ニッコリと微笑み


『そろそろ、集まっていると思うから・・・みんなに会いに行こうか~!!』


劇場となっていたのは

最初に登場した際の戦艦の内部で

移動式のシアターのような感じになっている


『いつの間に変わったのですか・・・先程まで戦艦は普通でしたわ』


『私がここへ来た時点で、既にこの状態だったけど・・・』


研究所を改修したのではなく

戦艦内部をフォルムチェンジさせただけだったようで

ジオたる存在は、神と同等なので

何でもありなんだろう・・・


『もう少し、現実味のある流れになりませんの?? わたくしもサプライズの対象だったのですか・・・』


『トモカちゃんもシアターのメンバーになるんだもん、みんな同じ驚きがないと面白くないと思ったから・・・ふふ~ん♪』


劇場型の巨大戦艦へとリニューアルした

これから戦う最大の砦にも使われるが

世界を虜にして

旋風を巻き起こすアイドルの活動拠点ともなる


世界を賭けた戦いを行う精鋭と

世界を席巻するアイドルと

両方の活動が始まる


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