幕間

Writer Side

 は、自分以外誰もいない部屋で、椅子に背中を預けてぐったりと座り込んでいた。こんな姿、とても人に見せられないなと思うけれど、思うだけで身を起こすことはしない。身を起こすだけの気力が湧いてこない。


 計画を思いついてから今日までの数か月間、ほとんど不眠不休でやってきた。長く苦しい日々だった。


 苦労は成果へと変わりつつある。


 ヤツがあんな行動に出た以上、遅かれ早かれ目的は達成されるだろう。


 ――あとは待つだけだ。


 そう考える脚本家の表情に喜悦の色はなく、ただ、疲れた瞳だけが淀んだ光を放っている。


 やがて脚本家は、その光さえも瞼の裏に消し去った。


 やるべきことは全てやったのだから。


 今は少しだけ眠らせて欲しい――。

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