第2話 朝

「おはよう」

 ゆうたろうくんのあいさつで、クマさんは目を覚まします。

 クマさんの一日は、エネルギーを貯めることからはじまります。

 ゆうたろうくんはクマさんをベランダに置きました。

 クマさんは空が見れて、嬉しくなりました。

「いってきます」

 ゆうたろうくんが保育園に出かけました。

「いってらっしゃい」

 クマさんは小さな声で言います。

 キラキラと輝く太陽。青い空に雲が一つ、二つ。

「今日はたくさんエネルギーをためれそう」

 クマさんは夜の計画を立てます。

 まず、冷蔵庫に向かって、お腹をいっぱいにするぞ。

 次は、お風呂に入って、身体をピカピカにするぞ。

 次は、玄関先まで行って、鍵を開けてみよう。

「あれ、クマさん、なにをしているの?」

「やあ、スズメさん。エネルギーをためているんだよ」

「そっか、クマさんはエネルギーをためないと動けないんだったね」

「スズメさんはなにをしているの?」

「おさんぽさ」

「いいな。ボクも外をおさんぽしてみたいな」

「外は危険がいっぱいだよ」

「そうなのかい?」

「車っていう機械に気をつけないと、ケガをしてしまうんだ」

「それは怖い」

 クマさんはスズメさんのお散歩話に夢中になりました。

 外には何があるのか、何に気をつけないといけないのか、クマさんは色々聞きました。

 気づけば夕方になっていました。

「ただいま」

 ゆうたろうくんが保育園から帰ってきました。

「クマさん、ただいま」

 ゆうたろうくんがクマさんに向かって言いました。そして、保育園であった出来事を話し始めました。

 クマさんはゆうたろうくんの話を聞くのが大好きです。

 気づけば、もう夕飯の時間です。

「いただきます」

 ゆうたろうくんが言います。クマさんもゆうたろうくんの隣でいただきます。

 ゆうたろうくんとクマさんはいつも一緒です。

 ご飯の時も、トイレも、お風呂も、寝る時も一緒です。

「クマさん、おやすみなさい」

 ゆうたろうくんはクマさんを抱きしめて言いました。

「おやすみなさい」

 クマさんは心の中で言いました。

 クマさんはゆうたろうくんが眠りにつくまで、寄り添いました。

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クマさんの夜 梨兎 @nasiusagi

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