『時の旅人』(アリソン▪アトリー著)佐野洋子さんの楽しい感想文
絵本『100万回生きたねこ』の作家、佐野洋子さんが、エッセイ『私はそうは思わない』の中で『時の旅人』の感想を書かれています。
私も『時の旅人』の読書感想文を、ここに投稿していますので、興味深く読みました。
『時の旅人』は児童書です。彼女は大人のみならず子供の想像力もかきたてる様な発想で感想文を書かれています。
代々読み継がれていく絵本を作成される佐野さんですから、子供を共感させる力をお持ちです。
彼女は人とは違う楽しい視点で物語を読み解きます。
「ほろびない石の建物だからこそのお話」だというのです。
物語は、1900年初めのロンドンに住むペネロピー▪タバナーが、320年前の1582年と1900年代の今を行き来しながら、当時幽閉されていたスコットランドの女王メアリー▪スチュアートの脱出計画に遭遇し、またペネロピーの先祖にも会うというストーリーです。
佐野さんは、十六世紀の建物が滅びず存在し続ける事に驚きます。
また「日本人が義経びいき(
そして、変わらず存在する建物に西洋の幽霊は「迷子にならず」帰ってくることが出来る、というのです。
おもしろい発想に納得したものです。
四世紀以上前に生きた人々の歴史がこの場所に積みあがります。彼らの魂、ことさら現世に強い心残りや深い業の様なものを抱えた魂は、変わらず存在する建物に「迷子にならず」帰ってくることが出来るのですから、死んでも安心、嬉しい限り。
それに対し「紙と木の家」の日本、地震国の日本では「義経が、高速道路を走り、マンションに現れざるを得なかったら、無残である」
その情景を想像すれば、そこから義経が現代で活躍するストーリーが生まれそうな気配がします。
佐野さんが存命なら┅と思うも叶わぬ事です。
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