『ダ・ビンチ・コード』の悲運な登場人物シラスに捧げる曲

鬼塚ちひろ『月光』を聴くと『ダ・ビンチ・コード』の本を連想します。


その音楽を聴きながら本を読んだからではありません。


この音楽と本が結び付いたのは、唐突でした。

♪…私は神の子

腐敗した世界に墜とされた

背中に爪痕…♪


『月光』のメロディーと歌詞からは、絶望感が溢れます。

それは私に『ダ・ビンチ・コード』に登場する殺人犯のシラスの境遇を連想させます。


初めてこの本を読めば、主役のラングドンとソフィーの活躍に注目せざるを得ません。


絵画に隠された秘密と暗号の解読、聖杯伝説の謎解き…と、次々目覚ましい活躍をやってのけ、最後にイエスとマグダラのマリアの子孫に行き着き、聖杯の在りかも突き止めます。


巧みなストーリー作りで、虚構でありながら全て真実かの如く惑わされます。

読み出したら、やめられない止まらない。


ひと息ついて2度目に読むと、ストーリーが頭に入っている分、気持ちに余裕が生まれ、主人公以外の人物に惹かれる様になります。


不幸に生きる為に生まれ落ちる魂の

シラスは、あまりにも悲劇的!


一方、何人もの死によってでも守られるべき魂があります。喜びに満ち後世に継いでいく事を望まれる魂です。


著者が意図して、極端に対称的な人物を表したかは分かりません。


『色素欠乏症』のシラスが産まれた時、赤ちゃんを取り上げた人は、後々幽霊とからかわれドン底に堕ちていく人生を、容易に想像したでしょう。

親も子供もどんなにか辛い人生だろうと胸が痛くなります。


私の娘が産まれた時、頬に薄茶色のアザがありました。直ぐにドライアイスで治療を始めます。今では殆ど分からなくなりましたが、この程度の事でも、当時は子供が不憫で、泣いたものです。


良い本は何度か読む度、また年齢を重ねて読み直す度、読後の感想は変化します。


思い出の中にも音楽はありますが、こんな連想をしたのは、後にも先にもこの一冊、一曲限りです。


本に、新聞の切抜きをはさんでいました。

2012.9.20付

米紙ニューヨーク・タイムズのウェブサイトに掲載されたパピルスの文献の写真が載っています。記事には「イエス・キリストが自身の妻について言及したと記されている文献が見つかった。4世紀に書かれたとみられ、キリストに妻がいた可能性を示す初の文献という。」と書かれています。


やっぱりこの本の内容は、本当⁉






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