『思い出のマーニー』血筋は心も共鳴する

もし私が、父か母の実家で、祖母・祖父と暮らしていたなら…。


叔父・叔母達が近くに居る生活をしていたなら…。


多分そのうちの誰かは、私と似通った心の持ち主であるに違いない。


辛い事があった時でも、彼の側に居れば、また自信を取り戻し、安心して、のびのびと成長していただろう、と時々想像してみます。


特に私の場合は、父方の祖母や叔父のそばに居ると、年に一度会うだけなのに、不思議と安心したものでした。

「親戚がカウンセラー」にも書いています。


その思いを強くさせてくれたのが『思い出のマーニー』でした。


映画になり、またまた本棚の奥から、この児童書を引っ張り出していました。


時を越えて祖母と孫が同い年の親友になります。祖母のマーニーはアンナに言います。

「あなたは あたしのだいじなひみつ」

「あたしはあなたにいてほしいの!あなたがあたしにいてほしいよりもっとずっとあなたにいてほしいの!」


秘密の友達を持つことが願いだったアンナは同じ気持ちの人間が居ることを心から喜びます。

なんでも話せる友達になります。

二人の関係がアンナに分かるのは後々の事です。


心から理解し、許し、信頼を寄せる者同士なら、叫びたい程お互いを求める関係です。


これからの人生どれ程の力と自信を与えてくれるか!


二人の別れの時、風車小屋にアンナをひとりぼっちにしたことを、マーニーは謝ろうとしますが

「アンナ、だいすきなアンナ、そこに行きたい!でもあたしどこかにやられてしまうの。あなたにさよならを言いたかったの。ねえアンナ、おねがい!許してくれるって、言って!」

その言葉はアンナ自身の中から聞こえてくるようでした。アンナの体と心にはマーニーの魂が受け継がれているのですから。

「もちろん、ゆるしてあげる!あなたを忘れない!」

二度と会う事はありませんでしたが、アンナは少し思い出しては涙し、心が安らかになるのでした。

読んでる私も、アンナ自身になって同じように泣けてきます。


下巻では、マーニーと娘、まだ赤ちゃんの孫のアンナ3人は、第一次大戦、第二次大戦を挟んで関係が悪くなり不幸な人生を送る事が明らかになります。


全ての事情とわだかまりが解けて、アンナは育ての親の愛情に素直になっていました。


後半のクライマックスのストーリーは、私がアンナになってしまって、心からの喜びと満足感と安心感が溢れてきます。


最後に、「マーニーは小さい時にお母さんに可愛がられなかったから、自分がどうしたら良いお母さんになれるか分からなかった」


「愛される事が私達が成長するのを助ける大切な条件」と私達読者に教えます。

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