きらめく言葉『豊饒の海』

結婚後、育児→子供の結婚→孫の誕生へと、歳月を重ねていきます。


この三十数年、あらゆる人間関係のしがらみに苦慮し、人それぞれ持って生まれた運の良し悪しに歯噛みし、子供の心に辛いものがないか、気にしながら生活していきます。


人生後半、私へと繋いできた魂の前世と来世を考える様になります。


本屋さんに出掛け、自分の今の気持ちにピッタリくる本はないかと探します。


本の帯文字の“輪廻・転生・宿命”

の言葉に惹かれ『豊饒の海』(三島由紀夫著)を手に取りました。


しかし、これが難解!!

三島由紀夫の作品はこれが初めてです。

文章の意味を理解しながら読み進む事は至難のわざ!


でも其処に書かれている言葉は一つ一つ厳選されていて、この上なく美しいのです。


それはまるで金糸銀糸の様なきらびやかな言葉で金襴どんすの帯か、はたまた打ち掛けかを織るように、文章が紡ぎ出されます 。


浮世離れしたこの物語の世界は、作者にとって登場人物が男も女も美しくなければいけないようです。

極彩色の絵巻です。


唯一登場する老婆は、いかにも見苦しく、毛嫌いするように書かれています。第3巻で、そこまで言わなくても…と言うくらいです。


微に入り細をうがち、心や肉体を観察していて…2巻目からじわじわ狂気を感じ…どんどんトランス状態に陥っていくようで怖いぐらいです。

難解で… 読み飛ばし…くたびれて、本を閉じます。


いつもなら、それっきりになるところ。

ところが、この本は少し訳が違っていました。あの美しい言葉遣いにとりつかれてしまって、またページを開きたくなります。

その繰返しです。

結局、私の頭の中にある『豊饒の海』の内容は脈絡なく、支離滅裂でおぼろげです。

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