神出鬼没の商店街⑪

 鬼束商店街の防犯システム。商店街の住人に攻撃が加えられた場合、商店街に居る人間を全て異空間の森へと吹き飛ばす。

 

 筈だ。間違いがない。そういうシステムをこの場所は組まれているのだと、ヒルダさんは話した。


 なのに、どうして?


「さあて。どうしたもんか。なんでトラップ起動しないのかなあ」


「俺が標的だったからじゃないの? あのシステム、俺には適用されてないんだろ?」


「それは舞香の冗談でしょ。あんただってちゃんと含まれてる。それに、仮にそうだとしても、どう見たって私も巻き添え喰らってた。この程度で起動しないんじゃあ、欠陥システムと言う他ない。けど、舞香がそんなしょぼいもの発注すると思う?」


「いいや、思わない」


 地面に無事着地してから、ヒルダさんと晶は首を傾げっぱなしだ。私は、幾ら考えても答えが出せそうにないから、爆発で黒く焼け焦げ、瓦解を始めた春比良ホスピタルを眺めていた。


「んー困ったなあ。困ったぞ? これはどういう状況なんだろうね」


「考えるのもいいけど、他にも敵が侵入していると考えた方がいいだろう。日野浦の二人は大丈夫か?」


「愛羅居るなら心配ないでしょ。あー、でもあれだ、真凛ちゃんが居るかもしれないんだ。じゃあ一旦そっち行こうか」


 恐らく混乱しているのであろう状況に一際残されている私。そんな私を差し置いて、当面の行動は決まったらしかった。


「なになに、真凛迎えに行くの?」


「うん。琢部のとこに居ると思うから、見に行こうかなって。なんかあっても困るしね」


「困る、凄く困る。私が困る」


 しばらく目にしていない真凛が泣いていやしないかと思うと、私の胸中は穏やかではいられない。


 商店街の住人と客人は、防犯システムが起動した場合、近くに飛ばされる様になっているから、真凛は琢部さんか愛羅さんが連れているに違いない。


 出来ればそうがいい。いや、そうじゃないと困る。あのおかしな男だけは、嫌だ。


 日野浦商店へと足を向けようとした矢先、その殆どが瓦解してしまったホスピタルから、物音がした。壊れ折り重なる瓦礫が崩れ落ちる音。まるで、何かか崩れた破片の中から這い出て来る様な、音。


「あ、あーあー、生きてた生きてた」


 ヒルダさんが愚痴を漏らす様に呟く。瓦礫の山から這い出て来たのは、白いローブに身を包んだ男。肌蹴たローブから見える顔は、浅黒く堀が深い。男が這い出て来るのに合わせて、ホスピタルの左右に建つ店の屋上から、一人ずつ白いローブが飛び降りた。着地に揺れる白い布の合間から、こちらもまた同じような顔が覗く。


「三人、か。複数居るって事はあれだ、琢部の所も危ないね。晶、鎖子連れて急いで」


「あれ、爆発した奴本人だよな? どういう能力なんだ?」


「私の話聞いてる? あれがどういう能力かなんてどうでもいいから、琢部の所行ってきて。此処は私が抑えるから」


「分かった。鎖子、行くぞ」


「え、あ、ああ……」


 手に何も持たない冷然院を残して、晶は真っすぐに伸びる道路を走り出した。


「ヒルダさ――」


「へーきへーき、戦闘要員じゃないけど、私もそれなりだから」


 私の言葉に先回りすると、ヒルダさんは右手で走り去る晶を指さす。

 私はそれ以上言うのを止めて、晶を追いかけた。


「晶、ヒルダさん平気なの?」


 駆ける晶に早々に追いついて尋ねる。


「どうだろうな。まあ、死にはしないんじゃないか?」


「そんな適当な」


 問答はそれだけ。身体強化で加速した私達が日野浦商店に辿り着くのに十分なやりとりを終えて、店を視認した瞬間、本日三度目の閃光。

 日野浦商店が、爆発した。


「なっ……また!?」


「おーおー今日はよく吹っ飛ぶ」


「んな事言ってる場合か!」


 多分に青ざめた表情で晶を引っ叩く。

 日野浦商店が音を立てて崩れ落ちるのに合わせて、視界に白いローブが二つ飛び込む。


「鎖子、右の奴」


「私から見て?」


「逆」


「分かってる!」


 立ち位置の関係から私が左、晶が右に敵を振り分けて応戦する。


 晶の戦闘を見たみたい、という考えと、奇襲にはうってつけである事から、私の戦法は一択。

 自分に重なるように二人目ドッペルゲンガーを発動。私の目の前に出現したもう一人の私は、相手からは私が加速して距離を詰めた様に見える。相手は自然、正面へと身構える。


 後は簡単な作業だ。正面から突進する二人目ドッペルゲンガーの私に応戦した敵の死角へと回り込む。相手の視界内での移動で構わないのだ。本体の私を視認して構わないのだ。二人目ドッペルゲンガーの背後から躍り出て、私は敵の右側へと回り込む。そうして、二人目ドッペルゲンガーの攻撃に対応中であるがら空きの側部へ必殺の一撃を。回り込んだ私に対応するのなら、そのまま正面から二人目ドッペルゲンガーの一撃。相手に選択肢を与えない、私の必殺の奇襲。


 こうして敵の右側へ回り込む事で、私は敵を見据えながら正面に晶を見る事が出来る。序に、晶の戦闘を覗き見だ。


 しかし、私の願いは叶わなかった。私の想定外は二つ。まず一つ。敵の技量。


「あ」


 間抜けな声を私本体が出した時には、二人目ドッペルゲンガーの私は、頭部と胴体が切り離されていた。

 私の目には、敵が白いローブから伸ばす右腕を払った様にしか見えなかった。手に何も持たないただの腕。それを軽く払って、私の首が飛んでいく。ただ、それを引き換えに手にしたのは、十分過ぎる隙。右腕での攻撃だったものだから、私の位置からは絶好。


 身体強化で全開まで力強く握り込む右拳を、深く深く敵のあばらに叩き込んだ。相手が吹き飛ぶ前に絶命まで届く様に、強く踏み込んだ左足と、強く地面を蹴る右足に意識を集中して。


「あああああああ!!」


 大きく声を出して、直後歯を食いしばる。めり込む右拳を、そのまま振り抜く。


 渾身の力を込めたボディーブローを振り抜くと、白ローブは鮮血を撒き散らしながら宙を舞って、力なく道路へと落下した。


「おー、一撃か。鎖子、強くなったか?」


 私の想定外、その二つ目。

 私は、晶の戦闘を見る事が出来なかった。


 私が敵の右側に回り込んだ時には、既にその光景だった。


 恐らく白ローブであったのであろう人間が、道路から下半身を生やしている。道路がひび割れ、恐らくそこに上半身がめり込んでいる。


 その横で、晶は涼しい顔をして立っている。


「……晶、私が戦ってんの見た事あるっけ?」


「あー……多分ある。なんか弱かった憶え。だから、こんなにやるとは思わなかった」


「なんとなくの記憶で、しかも弱いってなんだよそれ……」


 確か、二年程前に私の仕事現場に晶が居た事があった。その時に戦闘を見られた気もするし、気のせいかもしれない。まあ、少なくとも二年前よりは強くなっている筈だ。


「あんたは……余裕って感じ?」


「あー、そうだな。この程度なら、造作もない」


 たった一合しか敵と打ち合わなかったが、技量としては私と差がある訳ではないと思う。むしろ、奇襲が成功したからこその勝利だったと思う。強さとしては、やや私より上。恐らく、一番強い状態だった時の深夜一時の化け物、刹那の都市伝説、雪村純と同程度。


「あ、そんな事より! 真凛! 真凛!」


 ふと本題を思い出す。私は、瓦礫の山となった日野浦商店街へと駆け寄る。


「んああああ!」


 私の呼びかけに、泉の女神よろしく願いかけるものと違う結果が。土埃に塗れた琢部さんが、瓦礫を押し退けて現れた。


「ああ! 愛羅! 愛羅! 平気か!?」


「琢部さん! 平気?」


「平気なもんか! 愛羅が! 愛羅ーーー!!!」


「愛羅さんもだけど! 真凛は!? ねえ! 真凛は!?」


「真凛ちゃん? 俺は知らんぞ! 森では会ってない! 愛羅! 愛羅!」


 琢部さんは叫びながら瓦礫を必死にどかそうとする。けれど、琢部さんの身体強化では如何ともし難く、瓦礫の山は依然びくともしない。


 手伝ってあげたいのは山々だ。愛羅さんも心配だ。けれど、真凛が居ない。真凛が此処には居ない。


 じゃあ、真凛は何処に?


「あー、琢部店なくなっちゃったな。商品無事かな?」


「脆いやつは壊れたろうな! 愛羅ー! 愛羅居るかー!!」


 私の心配を他所に、琢部さんは捜索を続けている。晶は琢部さんが必死になって動かそうとする瓦礫を、片手で軽く掴むと後方へと放り投げていく。軽々と、その瓦礫の大きさに関わらず。


「ちょっと晶、真凛が居ないって、此処じゃないって」


「あー、今聞いたよ。じゃあ歪のとこじゃないか?」


「じゃないか? じゃないよ! あのイカれ頭のとこに居るの!?」


「イカれかもしれないが、ある意味域神書店はこの商店街で一番安全だ。世界最高峰の兵器庫は誰の侵入も許さない。それより、愛羅掘り出すの手伝ってくれよ」


 言っている事は分かる。私が唯一商店街でその能力と性能を十分に知る域神歪。けれど、あの男の場所は嫌だ。触れ合っただけで分かるあの男の異質さ。そして、綾魅さんから聞いたこの商店街の過去を聞けば、あの男をまともと判断する事は出来ない。




 この商店街を一度潰した、最悪の住人。




 舞香さんがあの男をどうしてまだこの場所に在籍させているのか。綾魅さんは色々あるとか言っていたけれど、私には多分到底理解出来ない事なのだろう。


 そんな男の元に真凛が居るのかと思うと、気が気じゃ居られない。


「私、域神書店に行って来ていい?」


「待て待て。道すがらホスピタルの前通るだろ。ヒルダが殺されてたらどうするんだ? 三人相手にお前立ち回れるか?」


「ヒルダさんってそんな簡単にやられる? 確かに、相手は強いかもしれないけど……冷然院だよ?」


「この世界で確実とか100%とか口にするのは馬鹿だけ。なんでも在りの世界は全てが無で全てが有だ。俺と鎖子が戦った奴が弱かっただけで、ヒルダの相手が敵グループのトップクラス、かつ舞香……オーナーより強いかもしれない。それでも行くか?」


「ぐ……」


 無能でいつも舞香さんに暴行されているだけの癖に、正論を。思わず私は口籠る。


「たっく~ん」


「愛羅あ!」


 瓦礫を放りついでに私を論破した晶のお蔭もあって、愛羅さんが見つかったらしく、馬鹿っぽい夫婦の再開第一声が聞こえた。


 瓦礫に埋まった愛羅さん。不謹慎ながら、興味があった。その姿を一度も見た事のない日野浦商店の店員。兄貴ですらその腕より先を知らない秘密の人妻の姿を、見られるのでは、と。


 今日の私の期待は、空振り続き。


「愛羅! 平気か!?」


「平気だよー。たっくんは心配性ね? 晶くん、瓦礫ありがとうね?」


 声は瓦礫のしたより。琢部さんは、瓦礫から突き出した黒く汚れた細腕を掴んでいた。それを引き上げる訳でもなく、がっちり掴んで、安堵している。それは大分、歪な光景。


「ああ……」


「どうした鎖子?」


「いや、なんでもない……あ、商店を爆破した奴は? 瓦礫の下かな?」


「あ-、そういやそうか。自爆能力で死んでれば世話ないが、さっきまでの事を考えると、炸裂する能力……同一のものとすれば、宗教系なら付与されるタイプの能力を考えるのが普通か。愛羅、爆発した奴は?」


「爆発した直後に絞め殺したよ~。お蔭で瓦礫の下敷き。たっくんを安全そうな棚の傍に突き飛ばすのが精一杯だったの」


「だってさ」


 瓦礫から突き出した細腕で、人の首を括る所作をする愛羅さん。あの爆発の最中、即座にカウンターを放った訳だ。末恐ろしい。


「琢部と愛羅が攻撃されているのに、相変わらず防犯システムは発動していない……単純なエラーかとも思ったけど、そうでもないみたいだな」


 襲撃のグループについては、特に誰でもいいらしかった。晶もヒルダさんも、悩みの種はそこ。この商店街の恐らく鉄壁であろうシステムの欠陥。その隙を突いた奇襲の手段を、考えあぐねている。


「あん、晶、そんな事今更考えてんのか?」


 眉を顰める晶と反して、その呟きを聞いた琢部さんはあっけらかんとしていた。


「え、なに、琢部は理由分かってるのか?」


「分かってるのかって……少し考えりゃあ簡単だろうがよ」


「俺とヒルダはお手上げだ」


「かー、なっさけない。そんなんだから舞香にいつまでもイビられんだ。なあ鎖子」


 私に振られても困る。琢部さんには私に聡明なイメージでもあるのだろうか。


「なあって言われても……私も分からないし」


「鎖子もか? 鎖子と言えば、十一片も認める勘の良さ。第六感に関しては一流だって聞いてたのによお」


「へえ、兄貴がそんな事。それは少し誇らしいけど残念。私もお手上げ状態だよ」


 状況は意味不明なんだ。


 鬼束舞香が作り上げた鬼束商店街の防犯システム。商店街の住人が攻撃を受けた場合、商店街に居る人間は全て夜の森へ。攻撃に関係のない来客は住人の近くに飛ばされる様になっており、身柄を確保出来るようになっている。商店街の住人は商店街と森の行き来が自由であり、飛ばされた敵もまた、森に住人が居ない状態であれば十分ほどで商店街に戻って来る。


 そうして、鬼束食堂が襲撃された事をきっかけに私達はあの森に飛ばされ、商店街の住人達と此処に戻って来た。舞香さんと綾魅さん、そして玉子は森へ戻り、私達はそれを待つだけだった。


 しかし、敵襲。突如の来襲も変わらず防犯システムにより掌握される筈だった。


 けれど、私達は未だに夕暮れの商店街に居る。一生青くなる事のない橙の下、白いローブの集団と戦闘になっている。


 それは最早、システムに異常を来したのだとしか、言えなかった。


「なーんだよ、少し考えれば簡単なんだって」


「だから分からないって。防犯システムの事はさっきヒルダさんから聞いたけど、それが発動しないんだから、欠陥かなんかじゃないの? 此処を作った空間生成師にクレームでも入れる?」


「いいや、は超が五個は付く一流だ。このシステムに間違いはない。だから簡単なんだ。鎖子、此処のシステムは分かってるよな?」


「さっき聞いたって言ったでしょ?」


「それなら分かる筈だろ?」


「だーかーらー、分かんないって」


 やたら勿体ぶる琢部さんに多少イラつきながら晶を見る。晶も変わらず、首を傾げたままだった。


「多分な、鎖子も晶も、この防犯システムの空間転移について考え過ぎなんだよ。どうして敵襲があったのに転移が起きないんだって。そうじゃない。そこを見ては見失う。もっと根本だ。この商店街の根本のシステム」


「根本?」


 夜も朝も来ない、夕焼けの商店街。世界より隠匿する、秘密ストリート。そこへの、往来は?


「防犯システムの発動に於いて、攻撃をしてきた敵性勢力と普通の来客はどう分ける? 買い物に来ていて巻き込まれた来客を守る為のこのシステム。本来であればそれだけを商店街に残すシステムにしたかったらしいが、丸ごと転移と選択転移ではくみ上げる術式の複雑さが雲泥。その他諸々のシステムを組み込む為にも泣く泣く丸ごと転移する事にしてしまったこの部分」


 攻撃のない来客は、住人の近くへと飛ばされる。それは、保護の為に。


「敵性勢力と普通の来客は……あれだ。商店街への往来方法。此処への来訪手段は、舞香さんがグループ毎に分けて提供している。だから、その種類によって分かれる。パターンAで来訪した客が住人に攻撃をしたのなら、パターンBで同時期に来訪した客は、巻き添えと判断される」


「おう、その通りだ。この商店街に入った人間は、その性質を全て来訪手段で判断される。この商店街の存在を知る人間は、細かなグループに分けられ、来訪手段は百を優に超える。舞香と防犯システムだけは、来訪者の来訪パターンを把握出来る様になっていて、それによって防犯システムの転移対象は変更される」


 そこまでは、分かる。分かっている。

 だからこそ、最初の転移で私は綾魅さんとヒルダさんの近くに飛ばされ、敵とは遭遇しなかった。百エーカーもの広大な土地で、私達は保護される。


 それが、どうして――


「あ」


 また、間抜けな声が出た。


 閃きというには、あまりにも先導されたそれ。


「お、鎖子は分かったか。晶は?」


「あー……いや、全く」


「かー! 情けない!」


 しかし、それは、それは全てがひっくり返るじゃないか。


「この商店街は……この商店街に入った人間は、来訪パターンで分別される……って事は……それは、そうだ。琢部さんや愛羅さん、晶だって


 この黄昏に存在する人間の分類方法がそれしかないのなら、それは、住人も同じ筈だ。


 この商店街は、住人に対する攻撃によって防犯システムが発動する。それならば――


「ねえ、晶」


 尋ねる事は、一つ。


「なに?」


「あんたさ、舞香さんにイビられてるけど……防犯システムからあんただけ除かれているなんて事ないよね? 丕火晶だけは、攻撃されても防犯システムが発動しない、的な」


「あー、舞香……オーナーは言うな。てめえだけはそのまま死ね、みたいな。でも、流石に冗談らしい。さっきヒルダから聞いた。だから、俺を攻撃しても、トラップは発動するよ」




 それならば、それならば。






 どうして、






「琢部さん達はこの商店街に住んでいるよね?」


「ああ、勿論」


「けど、一切外に出ないなんて事、ないよね? この商店街の中だけで生きている訳じゃない。私達の方にも、来る事があるよね?」


「ああ、勿論」


 同じように琢部さんが、繰り返す。


 それならば、それならば。


「商店街の住人とそれ以外を分類する方法も、商店街への来訪パターンなんだ。琢部さんや晶は、私達とは違う方法で此処へ来ている。そうでしょ?」




 それは、答えの一歩手前。




「俺達商店街の住人は、来客とは違う来訪パターンが存在している。鬼束商店街には、




 琢部さんが言って、確定した。





 商店街の住人は、商店街の住人を攻撃出来る。その際に、防犯システムは発動しない。





 ヒルダさんは言っていた。来訪パターンで来客が誰か大凡予想がつく。けれど、人の口に戸は立てられない。商店街に何かしら害意を持った人間が、他の来訪パターンを知る者から情報を聞き出し、悪行を働く。舞香さんは来訪手段から来客が誰か把握しているけれど、その盗み出されたパターンであったのなら、相手がぶれる。けれど、盗み出された元から辿れば、それは別に遠くない捜査である。


 それは、多分簡単な探偵ごっこ。


 だから、これも簡単な、探偵ごっこ。


「二回目に襲って来た白いローブの連中は……


「おおー、流石だ流石。名探偵東雲鎖子ちゃん、だな」


 商店街の一大事だというのに、琢部さんは笑いながら言った。







 「







 私は、呟いた。

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