最終話

 あの時から長い時が流れた。

 あれから高校を卒業した俺は大学生になり、童貞は高校時代に捨てた。

 本当に色々あった。それはもう色々と…。

 ダイジェスト気味だが俺の遠野から始まったキスからキスへの青春ロードを説明する。

 じっくりと読まずに読み飛ばして欲しい。

 童貞は誰が捨てたのかというと高校から同じ大学でスポーツ推薦で受かった俺の彼女だ。

 セミロングの茶髪で胸の大きい陸上部だった前田さんが今の俺の彼女だ。

 遠野さんと同じバレたら不味いとかの理由で呼び出されて、今では成り行きで付き合う有様だ。

 意外なことに前田さんは中学時代に彼氏がいたらしいが、高校進学後に振られてしまったらしくそれ以来レズになったらしい。

 だが俺との秘密の共有でやっぱり男の付き合いがしたいらしく今に至る。

 前田さんにはバレないまま今でも付き合っているが、俺は高校時代に4人の女性とキスまでしていた。

 遠野さんが1人目で、その次は別の人だった。

 後輩の視聴覚室にいてエロゲーをしていた女の子と成り行きでキスしてしまった。

 欲求不満の可愛い女の子でエロゲーに興味があったらしく、それをうっかり目撃してしまった俺に隠す代わりにとキスをした。

 その場限りで終わったのだけれど、3人目はよりによって学校の教育実習生の女の先生だった。

 なんでも欲求不満だったらしいこともあり、俺が視聴覚室でのキスをのぞき見されたことをネタにキスの相手をさせられていた。

 高校生の憧れの先輩に似ていると言う理由で何度も何度もキスをされた。

 実習生という事もあり、残りの実習期間であった1週間を過ぎると何事も無く帰っていった。

 それから俺は変った。

 女性への幻想も壊れて、タガが外れたように前田さんを体育倉庫の動画をネタにキスをさせた。

 罪悪感はあったが、それ以上に女の事がどうでもよくなっていたのだろう。

 貞操概念が低い?なんだそれ?みんなこんなものだろう?

 エスカレートした俺は言いなりの前田さんと行く所まで行こうと思い実行した。

 前田さんは最初は震えていたが、童貞を捨てさせる前に何度もデートしてやった。

 そうしたら段々と落ち着いてきたのか、今の大学のような関係になった。

 童貞も卒業を前に捨てた。

 俺が頼んだら脅迫されたこともあってかすぐに捨ててくれた。

 責任は取ると言ったら、何か影のある悲しそうな顔で頷いたのが印象的だった。

 それ以来、俺は彼女と付き合っている。

 明るい笑顔は消えたが、大学に入ってから付き合うようになり次第に取り戻していった。

 暗かった理由は、やっぱり俺が彼氏では不満だという事と脅迫という形でこういう関係になったことが納得できないからだろう。

 大学に入ってから俺は彼女に改めて告白した。

 そして動画を消した。

 それでも彼女は離れなかった。

 俺はそんな彼女が理解できなかったが、理解できる彼氏になれるように努力はしていくつもりだ。

 あの1件から色々あったけど、今は前田さんを幸せにしてあげることだけを考えて学生生活を送ろうと思った。

 遠野に感謝すべきか恨むべきかは俺には解らない。

 俺は神様なんかじゃないし、価値観や考え方は人それぞれが決めることだから。

 俺は今日も大学の講義に出ながら前田さんとキャンパスライフを送る。

 現実の女の子はちっとも清楚じゃなかったけれど、それでも彼女を脅迫した罪悪感を埋めるために俺は彼女の笑顔を守っていきたい。

 もう俺1人の体じゃないのだから…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

可愛い女の子が清楚だなんて誰が言ったんだよ! 碧木ケンジ @aokikenji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ