第88話 浅い川 一

真之介「密花が待っております」

 

 この一言で、それまでの表情が一変する。

 ついに、髪の伸びた安行が行動を開始する。先ずは、真之介を呼び出し、その出方を探る。

 これからは、急ぐことはないのだ。いやいや、ゆっくりと、じっくりと…。


真之介「お元気になられて何よりにございます」

安行 「そこでだ。そろそろ、外に出たいのだが、こう無沙汰が続くとうっかり町

   へ出ても道に迷うやもしれぬ。いや、この者たちは決まったところしか知ら

   ぬで」

 

 それは、新しく安行付きとなった二人の侍のことだった。前の牛川や猪山と違い、真面目そうな青年だった。


安行 「そこで、町のことに詳しいそなたに道案内を頼みたいと言う訳だ。町は今

   どうなっておる。何やら、浦島太郎の気分でな」

 

 そこに、真之介はど真ん中に直球を投げ込む。

 蜜花が待っていると言った時の安行の動揺はおかしいくらいだった。


----密花…。


 安行とて、密花のことを忘れたことはないが、今となっては、ふみよりも高根の花かもしれない。なのに、まさか、いきなりこの場で密花の名が出るとは思ってもみないことだった。密花の名くらいは知っている供侍にしても驚きを隠せない。


真之介「今までにも、しばしば若殿を案じておりました。お会いになられません

   か」

安行 「それは、それは、会ってもよいが…」

真之介「きっと、喜びましょう」

 

 またも真之介は直球を投げる。


真之介「では、早速、今夜にでも」

安行 「こ、今夜とな」

真之介「善は急げと申します」

安行 「しかし…」

真之介「これは申し訳ございません。江戸っ子は気が短こうございまして。では、

   後日、ご都合のよろしい日をお待ち申しております」


 それにしても、まさか、今夜とは…。


安行 「いや、その、待て…」

 

 立ち上がりかけた真之介を慌てて止める安行だった。


安行 「それで、そなたはこれから…」

真之介「はい、若殿のお元気なご様子を拝見いたしますと、何やら、久々に夜の町

   へ繰り出しとうなりました」

安行 「それでは、一人で参るのか」

真之介「白田屋を誘ってみようかと思います。白田屋と言うのは、私の幼馴染で、

   実家の隣の足袋屋にございます」

安行 「それは、知っておる」

真之介「先日は厚かましくも、こちら様のお茶会に足袋を売りつけに参ったような

   礼儀知らずですが、これが遊びにかけては中々に面白い男です」

安行 「わかった。では、私も行く」

真之介「はて、今夜は何やらご都合がお悪いのでは」

安行 「いや、大したことではない。急な誘いで、ちと…。まあ、しばし、待て。

   すぐに支度を致す」

 

 言い終わらないうちに、立ち上がった安行は供侍と共に、真之介を残して部屋を出て行く。差し当たっての、先制攻撃は成功した。 

 正室の亜子つぐこの配慮により、ふみの茶会での心配がなくなったとはいえ、安行の髷が伸び、外を出歩くようになれば、ひょっとして、真之介の家にやって来ないとも限らない。最初はともかく、やがては、真之介の留守に。いや、留守にさせて…。

 それくらいのことはやりかねない男だ。いやいや、それだけではない。安行と八千代の狙いは、真之介の髷を切り、ふみを手に入れる。その、どちらも…。


----そうは、問屋が卸させねえ。こちとら、元商人だ。


 先ずは、安行の関心をできるだけ、ふみから遠ざけることだ。

 やがて、着替えた安行と供侍に加え、もう一人、中年の武士が付き従っているではないか。道理で遅いと思った。おそらく、若い二人の供では心もとないと思った母の八千代の差し金だろう。


安行 「では、参るとするか」

----いざ、行かん、夜の町へ…。 


 四人の男と共に歩き出した真之介だが、背中に痛いほどの視線を感じるのは、気のせいだろうか。

 静かな武家屋敷を過ぎ、町の賑わいが感じられるようになれば、当然安行の落ち着きがなくなる。町では知られた顔である。この二年の間に太ったくらいで、誰もその顔を忘れてはいない。口さがない町人たちから、何か言われないとも限らない。彼らは武士がむやみに刀を抜けないのを知っている。

 その時、客待ち顔の駕籠屋が向かってきた。


真之介「駕籠屋」

 

 真之介が駕籠を止める。すぐにのり込んだところを見れば、安行も、やはり、まだ、町中はさすがに歩き辛いと見える。いや、この駕籠屋も真之介が待たせておいたものだ。もし、今日安行が出かけぬとしても、待たせ賃は払っている。

 そして、行きつけの料亭に着けば、そこはプロ。客が誰であれ、そんなことはおくびにも出さず、真之介の大事な客として丁重にもてなすのだった。

 安行にとっては二年ぶりの座敷であるが、二人の供侍はどうやら初めての様である。華やいだ雰囲気に戸惑いを隠せない。中年の武士の方は初めてではないにしろ、やはり、久し振りなのだろう、目線が動いている。ここに来て、やっと安行の警戒心が解かれたようで、笑顔も見せた。

 酒と料理が運ばれ、仲居が酌をしようとするも三人の侍たちは盃を持つことすらしない。


仲居 「まあ、私たちの酌ではお嫌なのですか」

 

 と、にこやかに仲居は言うが、侍たちはにこりともしない。


供侍 「いや、我らに構うでない」

仲居 「そうですか、芸者さんたちはすぐにお見えになりますので」

芸者 「こんばんわ」

 

 二年前と同じく雪路と糸路がやって来た。


雪路 「まあ、ようこそ、ささ、おひとつ」

 

 牛川と猪山はいないが、供侍に酒を進める。


供侍 「いや、われらに構うでない」

糸路 「左様でございますか」 

雪路 「まだ、肝心の方がお見えではありませんもの」

糸路 「そうでしたわね」

 

 その時、障子が開く。


静奴 「こんばんわ、静奴でございます」

雪路 「静奴さん、遅かったじゃないですか」

糸路 「もう、お待ちかねですよ」

静奴 「これでも、私も色々と。あら、まあ、真様、ここのところお見限りじゃご

   ざいませんこと」 

 

 静奴は真之介の側に行く。


静奴 「一体、どこで浮気してらしたの。ほんと、もう、憎らしっ」

 

 真之介も同じく黙って飲んでいる。


静奴 「まあ、申し訳ございません。密花さんは、仁神の若殿様がお見えと聞い

   て、また鏡の前に座りなおしておりましたわ。そんなことしなくても本当に

   お美しいのに。女心ですわね。でも、もうすぐお見えになりますわ」

  

 二年前と同じ座敷で、同じ芸者たちが同じような会話をしている。それだけではない、着物も同じものを着ている。いや、真之介も同じものを着ているのだ。もっとも、あの夜、安行たちは身ぐるみはがされ、着物も刀も売り払われた。安行はそれらをどの程度覚えているだろうか。

 安行の表情はまだ固いが、何かを反芻しているようにも見える。


密花 「こんばんわ」

 

 その声に、やはり、びくりとする安行だった。


静奴 「ほら、噂をすれば」

密花 「まあ、若殿様…」

 

 二年前はここで初対面の挨拶をした密花だったが、今夜はすぐに安行の側に行く。 

 そして、密花も二年前と同じ着物を着ている。安行がそのことに気付いたかどうかはさて置き、ここから始まるのだ。


密花 「お元気になられてうれしゅうございますわ。本当に願かけてお待ちしてお

   りましたのよ」

安行 「それは…」

 

 あれから二年経ったのだ。特に、若い女にとっては貴重な歳月である。だが、目の前の密花はこの上なく美しい。さらに、美しくなっている。

 そんな密花にしなだれかかられては、安行もなす術はなく、顔は上気し言葉さえ出てこない。また、供侍たちも、密花に目が釘付けになる。

 美しいとは聞いていたが、まさか、これ程とは…。


密花 「さっ、どうぞ」

 

 安行は酌をされるままに盃を干す。


密花 「まあ、そちらのお侍様たちは、お飲みになられないのですか」

供侍 「いや、我らは…」

 

 事情を察した密花が安行の耳元にささやきかける。


密花 「ねえ、若殿。久しぶりの再会ではないですか。お供の方たちにも少しくら

   い、よろしいではございませんこと」

安行 「そ、そうであった。これ、今宵は許す。飲むがよい。酌をしてやれ」

雪路 「ささっ、若殿のお許しも出ました」

糸路 「どうぞ、おひとつ」

 

 雪路と糸路に促され、供侍たちは盃を持つ。


真之介「料理もお召し上がりください」

 

 と、真之介が言えば、救われたかのように箸を取る。彼らにしてみれば、酒も飲みたいが、いや、酒が飲めぬなら膳の上のものを食べたい。そこには初めて見るような料理が並んでいた。


真之介「何か、ご飯ものを」

 

 真之介が静奴に耳打ちする。しばらくすると、ちらし寿司が運ばれ、供侍たちは、思わぬご馳走に感激しきりだった。安行はすっかり密花に魅了されている。

 それからは、密の舞い姿に一同見惚れたり、静奴を中心に芸者たちの掛け合いがありと楽しい時は瞬くうちに過ぎて行き、やがてお開きとなる。


密花 「また、お待ちしておりますわ」

 

 と、密花から名残惜しそうに言われ、後ろ髪引かれる思いの安行だった。


供侍 「いや、本田殿。今宵は我らまで、あのように楽しき思いをさせていただ

   き、かたじけない」

   「左様、左様、夢のようなひと時でござった」

   「私からも礼を申す」

 

 と、年嵩の侍も言う。


真之介「喜んで頂き、幸いにございます」

供侍 「それにしても、芸者があのように美しく、雅なものであったとは…」

   「もう、ため息がでます」

安行 「これ、密花は、私のものだ」

   「そんな、我らは眺めているだけです」 

   「眺めるだけでも、もう、眼福の極みです」

 

 そんな話をしながら、例の分かれ道にやって来た。


真之介「では、私はこれで。今夜は久々に楽しゅうございました。失礼致します」

安行 「これ、本田。次はいつだ」

真之介「それは、今は…」

安行 「私は明日でも構わぬ」

真之介「どうぞ、お気をつけてお帰りくださいませ」

 

 真之介と別れ、しばらく夜道を歩けば、ふと、気が付く。


----ここは…。


 この場所は、確か二年前、真之介たちに襲われた場所ではないか。

 あの時も、こんな月夜の晩だった。


----まさか!


 まさか、またも…。

 そう言えば、あれはちょうど、二年前の今夜ではなかったか…。

 思わず、二年前がフラッシュバックしてくる安行だった。


供侍 「若殿、いかがされました」

   「大丈夫です。今宵は我らが付いております」

   「その辺りを見てまいれ」

 

 一人の供侍が辺りを見て回る。


供侍 「誰もおりませんし、隠れるようなところもありません」

   「若殿、大丈夫です」

   「さっ、早く戻りましょう」

  

 三人の侍に囲まれるようにして、ようやく歩き出す安行だった。

 昼間もこの道を通ったのだが、その時は久々の開放感と密花に会える嬉しさで、難なく通り過ぎた道だったが、やはり、夜ともなれば、それが月夜の晩であれば、いやでも思い出してしまう。


----行きは良い良い、帰りは恐い…。


 いやいや、密花に会えるなら、これからは恐いものなど何もない。

 安行に向けられたあの優しい眼差し。如何に芸者とは言え、誰彼構わずあの様な眼差しを向けられると言うものではない。何より、心から、会いたかったと言ってくれたではないか。それなのに、過ぎたことでビクついてどうする。


安行 「どけ。もう、大丈夫だ」

 

 だが、前方から近づいて来る提灯明かりに、またも足の止まる安行だった。侍たちも相手が提灯を持っているとはいえ、思わず身構えてしまう。


侍  「これは、お帰りなさいませ」

 

 その声は屋敷の者たちだった。やはり、心配する八千代が迎えをよこしたのだ。


安行 「何を。大事ないわ」

 

 と、安行は去勢を張る。

 その頃、一方の真之介にも、揺れる明かりが近づいていた。


忠助 「旦那様。奥方様がご心配なさって…」

真之介「ひょっとして、まだ、起きているのか」

忠助 「はい」

真之介「特に今夜は大事ないと言ったではないか」

忠助 「私もその様に申し上げたのですが、やはり…。それより、如何でしたか」

 

 思えば二年前の今夜、忠助が彼らの行く手を塞いだのが始まりだった。


真之介「ああ、さすがは密花だ。すっかり、その気になりいい気分でご帰還された

   わ」

 

 いや、密花にしてみれば、遊びなれてない男をその気にさせるくらい、何でもないことだ。赤子の手をひねるより、容易いとはこのことだろう。


忠助 「これから、どうなされるので」

真之介「それは、追い追い…」

 

 真之介にとっては、これからの方が大変なのだ。


----まずは、相手の出方を見るか…。


 そんな思いを巡らしているうちに、家に着けば、ふみと久が玄関先に立っているではないか


ふみ 「まあ、お帰りなさいませ」

久  「あの、お怪我はございませんか」

ふみ 「それより、早く中へ」

 

 さすがにお房は寝ていると見えて、久が七輪にかけてあった鉄瓶を手にすれば、忠助がおき(赤くおこった炭)を消壺に入れる。


ふみ 「お疲れになられたのでは」

真之介「遊びに行って疲れたもないわ」

ふみ 「それより、どんなご様子でした。あの若殿」 

真之介「どうもこうもない。すっかり密花の手の内よ。そうであろう」

 

 ふみも、一度白田屋との座敷で、密花に会っている。如何に芸者とは言え、同じ女なのに、その艶やかさに圧倒されたものだ。


----やはり、殿方はああいう女の方が好みなのか…。

久  「それで、お供の方たちは」

 

 久は、新しい供侍が気になるようだ。


真之介「ああ、どちらも真面目そうな方だ。間違っても、若殿をけしかけるようなことをなさる方

   たちではない。また、今宵はもう一人、お目付け役の方も一緒だった。三人

   とも、少し飲まれただけで、それでも楽しそうにしておられた。そう言う訳

   で、とにかく、もう遅い。休むとしよう」

 

 そして、一日置いてからは安行から矢の様な催促が始まるが、別に真之介は焦らせるつもりはなく、舅の播馬が季節外れの風邪をこじらせていると聞き、見舞いに行っていた。


真之介「早めに医者をお呼びになればよろしいのに」


 ふみが真之介に輿入れしてからは、姑の薬は姉の嫁ぎ先の薬種問屋から、往診には幼馴染の医者が来ることになっていた。だが、播馬は真之介と同い年のこの医者が今一気に入らないようだ。

 医者と坊主は古い方がいいとされていた時代である。若い医者ではどうも信用が置けないのだ。


真之介「しかし、風邪と言うのは早めの処置が肝心ではないですか。初期の風邪な

   ら若い医者でもよろしかろうに」

供侍 「それが…。これくらいの風邪、寝ていれば治るとかおっしゃられまして」


 供侍の方が申し訳なさそうに言う。


真之介「それで、今は」

供侍  「やっと、薬をお飲みになられて眠られたところです」

 

その頃、ふみは母の加代に卵を手渡していた。そして、弟嫁の園枝が目ざとくやって来る。


園枝  「まあ、卵ですか」

ふみ 「これは、父上の病気見舞いです」

園枝 「離乳食にもちょうどいいかと…」

 

 それはわかるにしても、園枝はすべてが自分と子供優先なのだ。兵馬が娘に関心を示さないのが悪いのだが、少しは舅姑の健康も気遣ってほしいと思わないではいられない。

 ふみにしても、お弓やお伸に何かあればすぐに知らせてくれるよう、弦太と壮太に重々頼み、小遣いも渡している。幸い、お弓は今のところ元気にしている。


加代 「では、卵粥を作って、皆で頂きましょう」

 

と、加代が言えば、園枝もその場は納得するしかない。


園枝 「それがいいですわね」

加代 「ふみは、いつも珍しいものを持って来てくれて、本当にうれしく思ってい

   ます」

園枝 「姉上のところは…」


 ところは、どうせ、金持ちだから当然と言いたいのだろう。

 そんなこんなで帰宅すれば、何と、安行からの使いが待っているではないか。どうしても、今夜行きたいのだとか。


真之介「承知いたしました」

 

 夕やみ迫るころ、真之介はまたも出かけて行く。この前ほどには心配ではないが、ふみはふと思う。


----いつまで続くのかしら…。


 真之介は何も言わないが、安行とのことは、これからどうなって行くのだろう。

 自分は、安行の正室の亜子のお陰で一息つけているが、こちらはさっぱり、先が見えない…。 

 一方の真之介は、先が見えないと言うより、今は密花に任せるしかなく、問題はその後だ…。

 だが、今夜の真之介と芸者たち、安行の着物がこの前とは違っているのはともかく、供侍まで衣装替えして来るとは…。

 機嫌が悪い筈のない安行に、密花が耳元でささやく。


密花 「次は、二人きりで…。ねっ、よろしいでしょ」

安行 「……!?本当か…」

密花 「ええ、邪魔者抜きで」

安行 「う、うん…」 

 

 密花がちらと真之介に目をやる。

 どうやら、あちらはうまくいったようだが、物事はそう都合よく運ぶと言うものでもない。


静奴 「では、私たちも、次は邪魔者抜きで…」

 

 静奴が密花からのアイコンタクトを見逃す筈もなく、あっちがそうなら、こっちもとすり寄って来る。

 安行攻略は蜜花で十分過ぎるくらいだが、それにしてはあまりに見え透いている。供侍たちの警戒心を解くためにも、ここは二年前と同じ布陣で行くしかない。

 それも静奴にしてみれば、真之介と会えるだけでも嬉しい。


----この、勘違い芸者め。


 静奴が真之介に岡惚れしているのはともかく、それをどうしたものか、相思相愛だと思い込んでいるのだ。


真之介「いや、舅殿が病気で見舞いに行かねばならぬ。また、そのような時に遊ん

   でいては後でお小言を食らう」

静奴 「まあ…。真様も大変なのね。でも、本当にお辛くなったら、いつでもいら

   してくださいましな。私、真様のためなら、何でもして差し上げますわ」

----やれやれ…。


 何でもすると言うのなら、今の状況を察してくれ。蜜花が予定通りに事を進めているのに、それに、便乗するとは…。


安行 「いや、楽しい。実に楽しい」

 

 見ろ、安行のあの機嫌のいいこと。


真之介「それより、もっと場を盛り上げぬか」

静奴 「あ、はいはい。さあさ、今夜は陽気に参りましょうよ」

供侍 「いや、我らは至って、不調法で…」

静奴 「あら、すぐにお出来になりますわよ」

 

 と、侍たちの手を取り、座敷遊びに誘う。そして、最後は全員乱れてのバカ騒ぎとなる。楽しくはあったが、供侍たちにすれば、帰りの方が気を張る。だが、今夜の安行は、例の場所に来ても臆することなく歩いて行く。


安行 「ああ、愉快、愉快、爽快だあ!」

供侍 「若殿、その様に大きな声を出されては…」

安行 「構うものか、わあぁぁ」

 

 蜜花とどんな話をしたのだろう。

 翌日、安行は供侍二人だけ連れて、意気揚々と出かける。供侍たちは、夕べの内に真之介と話が付いているものと思っていたが、合流場所に真之介はいない。


供侍 「本田殿はまだの様です」

安行 「ああ、あれは捨て置け。今日からは、私一人で良いのだ」

供侍 「はあ…」

今田 「若殿!」

 

 その時、年嵩の侍が追いかけてきた。


今田 「若殿、勝手に、外に出られては困ります」

安行 「その方は来なくても良かったに…」

今田 「そうは参りません。私は大奥方様より、若殿の警護を仰せつかっておりま

   す。また、その方たちも、どうして私に知らせぬのだ」

供侍 「それが、若殿が、二人だけで良いとおっしゃられましたもので…」

   「左様にございます。私共は今田様もご一緒ではと申しましたが…」


 今田と言うのは、年嵩の侍の名である。


今田 「そうは参りませぬ。これからは常にお供いたします。ところで、本田殿は

   まだにございますか」

安行 「今宵からは本田抜きじゃ。ははははっ」

 

 安行は歩き出す。そして、料亭に着けば、すっかりなじみ客気取りの安行を仲居が奥の部屋に案内する。供侍たちは、玄関側の待ち部屋に捨て置かれる。


仲居 「特別なお部屋にございます」

 

 と、言われて、期待に胸膨らませる安行であったが、付いた部屋は、廊下の突き当りの何もない殺風景な小部屋だった。すぐに酒が運ばれ、仲居が酌をする。


仲居 「少々、お待ちくださいませ」

----こんなところとは…。 


 それだけに、余計に期待してしまう。それにしても、中々密花はやって来ない。


----旗本の嫡男に手酌で飲ませるとは…。

半玉 「こんばんわ」

 

 その声に一瞬、密花かと思ったが、それにしては声の感じが幼い。やって来たのは、半玉だった。


半玉 「密花姉さんはもう、あちこちからお座敷がかかりまして、その間、私がお

   相手を仰せつかりました。ささ、どうぞ」

 

 手酌で飲むよりはいいが、どう見ても、ぱっとしないその容貌にがっかりする。


----もう少し、マシなのはいなかったのか…。

安行 「名は…」

半玉 「あっ、はいはい、名は、八千代と申します」

----えっ、母上と同じ名!

八千代「でも私、嬉しいですわ。若殿のような方のお相手が出来るなんて。あの

   う…」

 

 と、芸者の八千代はモジモジしている。


安行 「何だ」

八千代「私、若殿のような方にご立派なお侍様に身請けされるのが夢なんで

   すぅ…。いかがですか、私みたいなの」

安行 「いや、私は間に合ってる」

八千代「そんなこと、おっしゃらないで、今度は私もお呼びくださいましな」

 

 なんで、母親と同じ名の、それも不器量な半人前の芸者など呼ばなくてはならないのかと、憤懣やるかたない。


安行 「それより、密花はまだか」

八千代「ですからぁ、密花姉さんは、お忙しい方なんですぅ。だからぁ、こうし

   て、私がぁ」

安行 「もうよい。とにかく、早く密花を呼んでまいれ!」

八千代「もう、少々、お待ちを」

安行 「これ以上、待てるか」

八千代「まあ、いい男は、そんなに焦っちゃいけませんことよ。若殿ぉ」

 ----やっぱり。聞いてた通り、この世界にあまり詳しくないんだ。それなら、この八千代さんがおしえてあげようじゃない。

八千代「特に、この夜の町では、粋な方が好まれるのです。いえ、粋な遊びをなさ

   る方こそ、最高なのです。そりゃ、誰だって、ご自分の贔屓の芸者さんを独

   り占めしたいものですけど、そこは、芸者も商売ですから、声がかかれば、

   あちこちのお座敷に顔を出さなければなりません。まるで、蝶のように

   あっち、ひらひら。こっち、ひらひらと。あっ、それを笑顔で送り出してや

   るのが、粋な旦那のなさることですのよん。ですから、若殿も、ここは、

   どっしりと構えて、お待ちになることですわ」

安行 「うるさいっ。送り出すどころか、まだ、来てもおらぬわ」

八千代「もうすぐ、お見えになりますわよ」 

安行 「先程から、もうすぐばっかりではないか。それに、私は武士だ。旗本だ。

   その旗本をこの様に待たすとは、無礼ではないか。町人ごときと一緒にする

   でないっ。それに、お前もうるさい。いい加減黙れ!」

八千代「あら、お前ではございませんわ。八千代ですのよ。名前を覚えてください

   ましな。ねえ、若殿ぉ。八千代ですったら。八、千、代」

----母親と同じ名前を呼べるか!

安行 「うるさい!」

八千代「まあ、そんなあ」   

安行 「黙れ黙れ!黙らねば、斬る!」

 

 武士は外出時には大小の刀を差すが、帰宅すれば玄関先で腰から刀を抜く。料亭などに上がる場合も、入り口で大刀小刀を抜き店に預けるが、安行は小刀は持っていた。今も脇に置いてある。その小刀を右手で掴み、すぐに左手に持ち替える。それを見た八千代はもう腰を抜かさんばかりに驚いてしまう。


密花 「それでは、私をお斬りください!」

 

 と、その時響いた声は、蜜花だった。


密花「若殿、これは一体どう言うことです。先程からお声をお掛けしております

   のに、お気づきにもならず。それに、また、こんな子供相手に斬るのなんの

   と…」

 

 密花は八千代に下がるように言う。やっとの思いで部屋を出で行く八千代だった。


密花 「まあ、お待たせした私も悪いのですけど、それもこれも、芸者と言う身の

   因果。まあ、聞いてくださいまし」

 

 と、待ちかねた密花にしなだれ掛かられれば、なす術もなく座るしかない安行だった。


安行 「い、いや、あまりにそなたが遅く、また、あの半人前の芸者があれこれう

   るさく、つい…」

密花 「そういう時は、何か歌でもと言ってみるのです。あの八千代はあれでなか

   なか歌が上手なのです」

 

 その時、仲居が酒を持って来る。


密花 「さっ、熱いのが来ましたわ。これから飲み直しましょうよ。でも、本当に

   来てくださって、私、嬉しいですわ…」

安行 「それは、私は約束は守る」

密花 「でも、お旗本ともなれば、何かとお忙しいのでは」

安行 「いや、まあ、そうではあるが。そこのところは家来に言い付けてあるで、

   まあ、心配はいらぬ」

密花 「そうでございましたわね。さすがは、若殿。きっと、ご家来衆も有能な方

   たちなのですね。それでも、女と言うものは、つい、気をもんでしまうもの

   なのです。ああはおっしゃられたけど、本当に来て下さるのかしら、と…」

安行 「だから、こうして来たではないか。それを待ちぼうけ食わしたのは、どこ

   の誰だ」

密花 「もう、それをおっしゃっちゃ嫌ですわ。私は芸者と言う籠の鳥…」


 そして、またも仲居がやって来る。


仲居 「蜜花さん…」

密花 「まあ、若殿…。また、行かなくてはなりませんの…」

安行 「今来たばかりではないか。それなのに、もう…」

密花 「致し方ありませんわ。籠の鳥ですもの…」

 

 その時、不覚にも、八千代の言葉を思い出してしまう。


----こういう時は笑顔で送り出してあげるのが、粋な男と言うものですよ」

安行 「いや、行って来い」

密花 「まあ、よろしいのですか。さすがは若殿。やはり、本物のお武家様は違い

   ます。ええ、どこかの張子の虎とは大違い」

 

 この言葉ですっかり気を良くした安行が、仲居の酌で飲んでいる時だった。


八千代「お邪魔致します」

 

 その声は、またも、八千代ではないか…。


八千代「まあ、若殿、先程は失礼致しました。密花姉さんから、ご冗談を真に受け

   てはいけませんと叱られましたの。ですから、これからはしっかりと、蜜花

   姉さんの留守を預からせていただきますので、よろしくお願いいたします。

   ささっ、おひとつ、どうぞ」

 

 仲居は八千代が来たので、気を利かせる素振りで下がる。


八千代「まあ、若殿。さすがは密花姉さんが惚れるだけのことはありますわ。そん

   じょそこらのお侍とは品が違いますわぁ」


 八千代ににすれば、密花から、自尊心だけは強いお坊ちゃんだからそこをうまくやるようにと言われていた。安行が今にも小刀を抜かんと手にしたときは、さすがにびっくりしたが、その時の蜜花の凛とした姿にはしびれてしまう。

 この世界に足を入れてからは、夢は密花だった。いつかは蜜花のように艶やかな芸者になりたいと思っている。ならば、あれくらいのことでビビッてはいけないと気を取り直してやって来た。

 安行は、密花の足元にも及ばない半人前芸者のくせに、その名が八千代ときている。当然、面白い筈もないが、それでも、密花から惚れられていると言われては悪い気はしない。


安行 「さ、さようか。ところで…」

 

 やはり、母の名は呼べない。


安行 「歌がうまいとか聞いたが、何か歌え」

八千代「はい、それでは」

 

 と、歌い出した歌は聞いたことがあるような無いような、流行り歌でもなく、何かわらべ歌のような歌だった。確かに下手ではないが、さりとてうまいとも思えなかった。


安行 「どこの歌だ」

八千代「私の国許の歌です。まあ、お気に召されましたか、では、もう一曲」

 

 別に気に召したわけでもなく、さりとて歌い始めたものを止めさせたりすれば、また、粋な男のすることではないとか言われそうな気がして、聞きたくもない歌でも聞かねばならない、この辛さ…。

 それもこれも、密花のため…。

 やっと歌が終わったと思えば、仲居の声がして、今度は供侍たちが入って来た。


供侍 「若殿。そろそろお戻りの刻限です」

安行 「まだ、良いではないか」

供侍 「いえ、良くはございません。これ以上遅くなりますれば…」

 

 何てことだ。やっと、密花の顔が見られたと思ったら、すぐにいなくなり、不器量な半人前芸者から聞きたくもない歌を聞かされただけで、もう帰るとは…。


安行 「いや、もう少し…」

 

 せめて、もう一度、密花の顔が見たい。


八千代「まあ、若殿。こういう時はさっと立ち上がるのが男ですわ。さっ、お手を

   どうぞ。この八千代がお玄関までご案内いたしますわ。まあ、どうぞご遠慮

   なさらずに、さっ」

 

 と、差し出された八千代の手を振り払うように安行は立ち上がる。

 これには供侍も驚いてしまう。

 まさか、この芸者の名が「八千代」とは…。

 そして、玄関で草履を履こうとした時、衣擦れの音がして密花が追いかけてきた。


密花 「まあ、若殿。もう、お帰りですの。では、そこまで…」

 

 もっと早く来てくれればいいのにと思わずにはいられない。


密花 「また、明日もお待ちしております」

 

 と、店の前でそっと、安行に手を重ねる密花だった。


安行 「明日はもっとゆっくり話がしたいものよ」

密花 「はい、承知いたしました」

 

 その言葉に気を良くして、帰路に就く安行だったが、若い供侍がつい言ってしまう。


供侍 「若殿、今宵はお楽しみでございましたな」

   「左様、両手に花の羨ましきことで」

   「片や、世にも美しき女性にょしょう

   「片や、お母上と同じ名の」

安行 「うるさい!」

今田 「これ、二人とも、止めぬか」

 

 二人は今田に注意されるが、それにしても、お供とはつらいものだ。前回は酒こそ思うように飲めなかったものの、それでもうまい料理と美しい芸者がいた。それが今夜は…。

 いや、前回は特別だったにしても、今夜は玄関脇の小部屋に押し込められ、催促するまで茶も出てこない。そして、長い待ち時間が終わり、安行を迎えに行けば、昨日とは打って変わったような部屋で、冴えない芸者と飲んでいるではないか。しかも、その芸者の名前があろうことか、八千代とは…。

 さらに安行の表情からしても、思うように楽しんだ様子もなかったが、蜜花に見送られただけでうれしかったようだ。そして、例の道も今夜は普通に歩いた。

 さすがは江戸一番の芸者である。ちょっと手が触れただけで、男を舞い上がらせてしまう。

 翌日も安行は浮き浮きと出かけるが、状況は昨夜とあまり変わりなかった。それでも、八千代から密花の情報を聞き出すのだった。


八千代「それが、密花姉さんと私は、何と言いますか、その、境遇がよく似ている

   のでございますよ。まあ、聞いてくださいましな、若殿ぉ」

 

 八千代は密花の営業用プロフィールを安行に語って聞かせるのだった。


八千代「ですから、私も、下に妹や弟がゴロゴロいまして。それなのに、ああそれ

   なのに、ある日のこと、父がぽっくりと亡くなってしまったんですぅ。それ

   で、妹や弟たちのために、ぐすん、芸者になったと言う訳なんですぅぅ」

 

 と、長襦袢の袖で涙をぬぐうしぐさをするのだった。

 それにしても、今夜も密花とゆっくり話が出来なかった。だが、一夜明けるとこれが会いたくてどうしようもないのだ。

 

 そんな安行が密花の許へ通い出して数日後、月末となり、屋敷に掛け取りがやって来た。これに、激怒したのが母の八千代だった。


八千代「そのようなものは、真之介、本田屋に回せ!」

 

 料亭としては、真之介と一緒ではなく、安行が単独でやって来た時の請求なのだが、八千代の意を受けた女中に追い返されてしまう。


八千代「まったく…」

 

 八千代が安行の料亭通いを黙認していたのは、それはすべて真之介持ちだったからである。いや、最初からそのつもりだった。大事な息子の髷を切った男だ。そう簡単に許せるはずもない。いずれ、真之介の髷も切ってやる。ふみも奪ってやる。いや、それでもまだ気が治まらない。そこで、実家の本田屋もターゲットに組み込む。

 そして、もっともっと、金を使わせてやれ。いや、それくらいは当然の償いである。その償いをさせてやっているのだ。


亜子 「母上」

 

 なぜか、その声に思わずどきりとしてしまう八千代だった。


亜子 「あの程度の金、どうして払っておやりにならないのです」

八千代「何を、戯けたことを。それに、どうしてこちらがそのようなものの支払い

   をせねばならぬと言うのだ。元はと言えば、真之介が誘いをかけて来たので

   はないか。それを、どうして、こちらが」

亜子 「あの様な場所に行きたいと申したのは、安行殿の方ではありませんか」

八千代「亜子殿。そなたも知っておろう。あの真之介が我が息子に何をしたと思っ

   ているのだ。あの時の屈辱をよもや、お忘れか!」

亜子 「それは安行殿が油断なされたからではありませんか。いやしくも旗本の嫡

   男が、町人上がりのにわか武士に髷を…」

八千代「黙れ黙れ!それは、過ぎたこと…。だが、髪と言うものはやがて伸びて来

   る。それを失念しておった真之介が報復を恐れてすり寄って来たのではない

   か」

亜子 「ならば、ふみ殿は」

八千代「……!」

亜子 「私ならば、そのような者の妻、ましてや、側室話を蹴ったような女の顔な

   ど見たくもございません。それを茶会にお呼びになるとは、何と、母上はお

   心の広い方と感服致しておりました。また、茶菓子にカステラ、京菓子と随

   分振る舞われましたに、この度の支払いを渋るとは、あの者たちは何と思っ

   ておりましょうや」

 

 その京菓子のことだが、この日のために、わざわざ京から職人と食材を呼び寄せて作らせたものだと、八千代は言ったが、その実は、京菓子職人が腕を振るっている店に作らせたものである。だが、この程度の嘘は何でもない。


八千代「それとこれとは別物じゃ。それに、これは私と安行の話。嫁のそなたが口

   出すことでもないわ!」

亜子 「形だけとは申せ、私は安行殿の妻です。その妻が我が夫の支払いを町人に

   押し付けたとあっては、肩身が狭もうございます」

八千代「ならば、亜子殿が払われよ。言っておくが当家にはそのような金はない。

   仮にあったとしても、払う気はない。私は真之介が払うのが筋だと思うが、

   そのことに異存あらば、後のことは正室にお任せ致す」

亜子 「はい、では、私から安行殿にその様に伝えます。それにしても、母上、ご

   病気の父上を少しはお見舞いなされては。そして、息子は父を見習っており

   ます、いえ、それ以上にしっかりしております。父上と違い、支払いを人

   に、正室の実家に押し付けておりますと」

八千代「何を言うか!それはそなたから言い出したことではないか」

 

 亜子は持参金を持って輿入れしただけではなく、定期的に実家より化粧料が入ってくる。


亜子 「とにかく、たまには父上をお見舞いなされ。仮にも子までなした夫婦では

   ございませぬか」

八千代「そうであった。それはそなたの言うとおりである。では、見舞いに行くと

   しましょう。だが、亜子殿。やはり、亜子殿には母の気持ちはわからぬよう

   じゃな。まっ、無理もないわ。ほほほ」

亜子 「ええ、では、これから、子を育ててみます」

 

 懐妊した側室のお美代の顔つきがきついのだ。顔つきがきつくなると男子が生まれると言われる。また、産婆から聞いた話だが、腹の張り具合でも男子の可能性が強いとの事だ。

 今、仁神家は当主の病と、待望の男子が生まれると言う、何かと大変な時期なのに安行は毎夜出かけて行くし、この姑は自分の夫には無関心なのだ。


八千代「育てると言っても、側室の子、本当の母にはなれぬわ」

亜子 「ええ、ですから、厳しく育てます。実家の父や母のように…」

 

 亜子はお美代とも生まれてくる子供のことについて話をしている。


亜子 「男子なら、尚のこと。決して、甘やかさぬよう」

お美代「はい、すべては奥方様にお任せ致します」

 

 お美代も安行の粗暴さがたまらなく嫌だった。お美代だけでない。側室たちが、安行に訳もなく暴力を振るわれたことも一度や二度ではないのだ。どこかで断たなくてはいけない。生まれてきた子が安行のようになってはいけないのだ。

 夫に失望した妻が望みをかけるのは我が息子。だがその思いが時として、息子を甘やかしてしまう。

 男とは、皆マザコンである。


 










 

 

  










  


















































 













 









 

























 

 

 









 






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