第3話 情報屋

3話 情報屋


4つ受けたクエストの内まずは雑魚敵の討伐依頼二つを片付けることになった。

というのも今のままでは素材やアイテム、装備が足りておらずその採集をする必要があったからだ。


最初に草原に行き薬草や特殊な花を採集しつつホーンラビットとゴブリンを討伐


次に近くにある小さな森に向かいそこで木材と木の実、ハチミツそれに森の奥にある綺麗な泉から水を汲む。

そしてポイズンスパイダーとトレントを討伐する。


最後に洞窟へ行き、鉱石を採掘しながらもブラックバットやミニストーンゴーレムを倒して今街に帰還したというところだ。


早速天津が装備を作ってくれるようなので素材を預けて今は別行動を取っている。

それで今目指しているのは俺とマリンナのプレイヤーホームだ。

あ、誤解の無いように言っておくが同居というわけではない。

一戸建ての家をそれぞれ買っておりお隣というだけだ。

というか、マリンナの様な超絶美少女とゲーム内とはいえ同居するなど俺の心が持たない。



「ねぇ、グラビスこの後どうする?」


そんなことを考えていたら、マリンナが問いかけてきた。


「いきなりだね。えっと家の中を確認して残りのクエストをクリアするつもりだけど?」


「…そうじゃなくてさ、テスト時代みたいに最前線で戦い続けるの?」


そういうことか…

…このゲームのクリアは一応最後の大陸パラディソで行われている創造神アウラと邪神エグジィティムの戦いにアウラ側として加勢してエグジィティムを倒すことなのだが

そのためにはまず七つの大陸

アキツシマ(イザナミ、イザナギ)

エッダ(オーディーン)

オリンポス(ゼウス)

フロンティア(ペンタゴン)

アマゾネス(ドン・アマゾン)

アラジス(シヴァ)

アントラティック(氷の女王)

を全て攻略してそこにいる人たちの力を借りてパラディソへ向かうための箱舟ノアを作る必要がある。


それはかなり長い戦いになるだろう。

テスト時代攻略できたのは全体の10%にも満たないと言われている。


テスト期間は二つ合わせて2ヶ月だったからクリアまでには単純計算でも2年半かかる。

実際にはもっとかかると思うけれども


「……うん、そうだね。

死ぬのは怖いけど、何もしないで他人任せにするのも怖いからね。

よしっ、着いたね!

どれくらいで終わりそう?」


そんな話をしていると自宅に着いた。

しかし、久しぶりの自宅だ、少し長くなるかもな。


「10分くらいかな?」

「そう、私もそれくらいだし…じゃあ先に外に出た方が呼び鈴を鳴らすってことでいい?」

「ああ、問題ない」

「それならまた後で」

「また後で」


マリンナも久しぶりの自宅に喜んでいるのか小走りで中へ入っていった。

かく言う俺もさっさと中に入り、明かりをつけた。

目に入ってくるのは懐かしい景色だ。

アップデートに伴い幾つか消えてしまった物もあるが、それでも懐かしい。


他にも家は持っているがやはり最初に買ったここが一番思い出深い。



「っと…懐かしんでるわけにもいかないな…」


アップデートの影響で幾つかおかしくなった部分を片付け(金のユリを生けてあった花瓶や観賞用として和室に置いてあった刀と脇差など)、軽く掃除をして外へ出る。


「おっ、丁度ピッタリだったね。」

「そうだな。それでこの後どうする?天津と合流するにはまだ早いけど」

「そうね、じゃあ情報屋に行きましょ?幸い幾つか売れそうな情報もあるし」

「分かったじゃあ行こうか」



特に急ぐわけでもないのでのんびりと街を歩いてゆく。

すでにゲームスタートから三時間経っていることもあり、街はプレイヤーで賑わっていた。


ギルドを再結成するものも多く、既に

【疾風迅雷】【戦乙女の行進(ヴァルキュリア)】【スターダスト】【セブングランド攻略連隊】【千夜一夜】【雪月花】【匠たちの集会所】【フェアリーライト】【ファルス商会】【鈴木運送】【プレイヤーズエシェロン】など各トップギルドは新規メンバー集めまで始めている。


そして俺たちが来たのはそんなトップギルドの1つ【プレイヤーズエシェロン】だ。


「マスター、お邪魔するよ〜」


【プレイヤーズエシェロン】のギルドホームの玄関は小洒落た喫茶店になっている。

慣れたもので俺とマリンナはカウンター席に座ると、ギルメンが注文を取りに来たのでコーヒーとホットケーキを頼んで、マスターが来るのを待つ。


丁度、注文したコーヒーとホットケーキを食べ終わったところでマスターが現れた。


「これはお二人ともどうなされたので?

お二人のことなら既に攻略を開始していると聞いておりますが?」


マスターはTHE・爺やといった姿をした人でSG最大の情報ギルド【プレイヤーズエシェロン】を束ねるギルマスだ。


「一先ず、冒険者ギルドには入会したよ。

それに関する情報の売却をしようと思ってね。」


「それはありがとうございます。ではこちらへどうぞ」


と言われて案内された先は喫茶店の奥

病院の診察室のような部屋に入る。

マスターに席を勧められ座るとマスターもパソコンの様なものをデスクに起き、座る。


途端にマスターの表情がそれまでの優しい柔和なものから鋭い鷹のようなものに変わる。


「さて、お二人

売っていただける情報とは如何なるものでしょうか?」

「軍曹殿の試練の変更点と模擬戦の際に出た新スキルについてでどう?」

「ほぅ…それは」

「変更点については私たちが確認した限りの物をレポートにしてあります。」


と言ってマリンナは数枚の羊皮紙を渡す。

それをマスターは1分ほどで読み終わり、デスクの中にしまった。


「御拝見させていただきました。

こちらについてはそうですね。

6万といったところでどうでしょう?」


と言ってマスターは60,000と書かれたウィンドウを見せてくる。


「それでいいです。では、もう1つ

新スキルについてですね。


新スキルの名前は『軍人の誇り』

攻撃を完全に無効化するスキルのようです。

クールタイムはおよそ10秒

軍曹殿が模擬戦の際に使用しました。


発動条件は相手に圧倒されきっている時だと予想してます。」


「ほぅ、となるとトッププレイヤーの皆さんにとっては厄介になりそうですね。

以上ですか?」


「ええ」


「それではこちらの情報に関しては10万マニーということでいかがでしょう?」

「それでお願いします。」


「それでは合わせて16万マニーですね、即金でよろしいですか?」

「それでお願いします。

あと情報の購入と情報停止を」

「何をお求めで?」

「グラビスお願い」

「ああ……アップデート後のこの島の持っている限りの全マップ、後は死亡などに関する実験結果の報告を協議会でしてほしい。

それに俺とマリンナに関する情報、機密ランクの高いものから停止してくれ。」


「ほぉ?情報停止は既にテスト時代貰っておりますが?」

「それならいい。次はマップだ、どうせお前らの草……オペレーターだったか?がもう大半調べてるんだろ?」


「ええ、まあね。こちらにらなりますが……1万マニーとなりますよろしいですか?」

「ああ、後は協議会の時に頼むよ……

明日の午前9時から場所は俺の家だ」

「畏まりました…他の皆さんにも私から伝えておきますね。」

「助かるよ、一応俺とマリンナからも言うけどどうなるか分からないしな。」

「では、これでよろしいですか?」

「ああ、ありがとう。」

「お帰りはこちらからです。ありがとうございました。」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

セブングランド〜ユニーク武器使いのデスゲーム録〜 @Servicearea

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ