第2話 軍曹殿の試練

2話 軍曹殿の試練



冒険者ギルドには既に俺たちの様な立ち直り攻略を急ぐプレイヤー達がチラホラと来ており、軍曹殿の前には列が出来ていた。

とその中に見知った顔を見つける。

いや、厳密に言うと大半が見知った顔つまりテスター最前線攻略組なのだが

その中でもお目当の人物は前に並んでいるやつだ。


「お、天津(あまつ)じゃん。」

「ってその声はグラビスか、おっマリンナさんも」


彼は天津 テスト時代からの知り合いで俺とマリンナの装備は彼によって作られた物が多い。

テスト時代でもトップクラスの腕を持つ鍛冶屋として有名だった。

勿論、今でも種族はドワーフ、武器はハンマーと完全に鍛冶屋する気満々だ。



「あら、天津くん。貴方も軍曹殿に?」

「ええそうですよ。丁度いいし3人でやりませんか?」


と天津は誘ってくる。くそ、この爽やか系イケメンめ、普通少しは躊躇するもんだろうに。


「そうねお願いするわ。」

「ありがとうございます。リーダーはマリンナさんに任せていいかな?」

「そうですねグラビスでは不安ですし、不肖この私が務めさせて貰いますね。」


なんて話してるうちにパーティを組むことが決まっていた。


「んじゃあ、天津。丁度いいし後で武器を作ってくれないか?」

「ああ、グラビスさんお得意のユニーク武器ですね。勿論ですよ!正式版では錬金術も上げていくつもりなんで期待しててくださいね。」

「ほぅ、それはなんでだ?」


天津の本業は鍛冶だ。間違っても錬金術ではなかったはずだが?


「実はβのラストにエルフの国の鍛冶屋からのクエストで鍛冶のさらなる高みに登るには錬金術も使えないとダメだってことが分かったんですよ。」

「んなぁ、そんなこと俺に教えていいのか?」


こんな情報、セバスさんに売ったらいい儲けになりそうなんだが


「ええ、勿論。だってセバスさんが作る非テスター用のマニュアルに書くらしいですから。」

「あ、そうなの?残念一儲けしようかと思ってたのに」

「グラビス、バカなこと言ってないで……ホラ、私たちの番になったよ。」

「おお、悪いな。初めてくれ」

「ハイハイ、それじゃあ始めるわよ。」


と言ってマリンナが軍曹殿に話しかける。


「えっと、冒険者ギルドに入会したいのですが……」

「ふん!貴様らの様な若造がか?

まあ、良かろう。

ギルドに入会するためにはワシからの試練に合格しなくてはならない。準備はいいか?」


と、そこで目の前に

【クエスト 軍曹殿のギルド入会試練


受注条件レベル1〜


報酬 5000マニー、初心者セット、ギルドカード


クエストを受注しますか?yes/no】


と画面が現れた。

うん、報酬はα、βと変化はない。

それを確認するとyesを押す。



「3人とも受注するのだな?

では、最初の試練だ。

草原へ行き魔物を討伐するのだ。

私も同行するので安心していい。

準備が出来次第、東門詰所まで来るのだ!」


既に準備は出来ているため直ぐに東門詰所へ移動。

ちなみに場所が変わるのはクエストの効率化のためらしい。

そのため同じ時間に違う場所で軍曹殿をみるなんてこともあるとか。


東門詰所に着くとそこでもまた行列が出来ており、五分待ちクエストの続きへ


「準備は出来ているようだな!

では、出発する。」

ということで軍曹殿の引率の元、正式版初のモンスターとの戦闘を開始する。


戦いの場は町の外の草原

相手はホーンラビットだ。

ホーンラビットは序盤に出てくる雑魚キャラの一つで特徴として尻尾を使って石を投げつけてくる、嚙みつき攻撃がある、ドロップアイテムはウサギの肉、ホーンラビットの皮、小さな骨、レアドロップとしてラビットファーがある。

などだ。


「では、ワシが手本を見せるよく見ておけ!」


と言うと軍曹殿はスキル『ステップ』を使って間合いを詰め、ホーンラビットを切りつける。


ホーンラビットはあっけなく倒れ、ドロップアイテム……ウサギの肉と小さな骨を落とした。


「よし、では貴様らもやってみろ。」


そう言われて俺らもそこらへんにいるホーンラビットと戦闘を開始する。


「ハァ!」


敢えて斧は使わずに素手で殴り倒す。

というのも斧は既にここに来るまでで木を切り倒すのに使って壊してしまったのだ。

素手の方が攻撃力は下がるのだが、こうしないと体術スキルの熟練度が上がらないので仕方ない。


ホーンラビットを五体ほど倒して慣れてきたところで相手がゴブリンに変わる。


ゴブリンもまた序盤に出てくる雑魚キャラの一つだが、武器を使う、連携をする。など厄介な点が幾つかある。


「ハァ!…やば、『ステップ』」


一体目を倒したところで後ろから三体のゴブリンがナイフ片手に襲いかかってくる。

このままでは直撃するためスキルを使い回避そして


「『孤月』!」


振り返って、回し蹴りで三体纏めて蹴り倒す。



とこれで近くにいたゴブリンは全て倒したみたいだ。


と、マリンナに後ろから突かれる。


「グラビスも片付けた?」

「ああ、やっぱデスゲームってなると緊張するよ。今はテスト時代の知識があるからいいけどさ。」

「そう、ね。テスト時代の知識といえば軍曹殿の試練、セカンドステップ覚えてるわよね?そろそろ来るよ」

「っ……ああ、分かってるよ。」


突然だが軍曹殿の試練は全部で三つの試練に分かれている。

一つ目が今やったモンスターとの戦闘訓練

二つ目が軍曹殿のレクチャー

三つ目が軍曹殿との模擬戦なのだが


この中で一番大変なのは戦闘訓練でも模擬戦でもなくレクチャーなのだ。というのも



「よし、では次のステップに移るぞぉ!

街にもどって、各施設の説明をしながら冒険者としてのレクチャーをしていくぞぉ!


まず、スキルだがこれはそのスキルを使う又はそれに対応する武器の通常攻撃によって熟練度が溜まっていくのだぁ!

熟練度が一定を越えるとスキルレベルが上がり、新たなスキルやスキルツリーが解放されていく!

スキルはレベルによって取れる個数が決められており………………………………


では次に各スキルについて大まかに説明していこう!


まず武芸スキル

これは剣スキルや体術スキルなどが含まれるぞぉ!

武芸スキルは…………………………………


次に魔法スキル


これは火属性魔法スキルや回復魔法スキルが含まれるぞぉ!

魔法スキルは…………………………………


他にも生産スキルと補助スキルがあるぞぉ!


生産スキルは鍛冶スキルや建築スキルなどが含まれ、物を生産することで熟練度が上がるぞぉ!

また………………………………………………



補助スキルは索敵スキルや移動スキルが含まれ……………………………………」


そう、話が長すぎるのだ。


しかも少なくとも建前上真面目に話を聞いていないと軍曹殿に思いっきり殴られるのだ。

ダメージはないのだが痛覚リミッター限界の痛みがあるのだ。

痛いのなんのという感じだ。



が、長い話も街に入ると少しは聞く気になる。というのも施設紹介に入るからだ。


最初に軍曹殿が止まったのは東門近くの剣と盾の看板が目を引く武具店


「ここは、武具店だぁ!

ここでは文字通り武器や防具を買うことができる。

また、売却もできるぞぉ!

武具店はここの他にも幾つかあり商品が違う。頑張って探してみるのだぁ!」


次に止まったのはその隣にある魔法具店

武具店に対抗するように杖と本の看板が目を引く。


「ここは魔術店だぁ!

ここでは魔法使いや錬金術士などに必要な装備や素材が売っているぞぉ!

ここも武具店と同じで品揃えが店によって違うから探してみると良いなぁ!」


その次に連れて行かれたのは白い石材で作られた神聖なオーラのするところ


そう、神殿である。


「ここは神殿だぁ!

ここでは呪われた品の解除や強力な状態異常を治してくれる。

また、ここは死亡したプレイヤーがリスポーンするところだぁ!

しかし、死ぬたびに何かしらのペナルティを負わされるので気をつけるのだぁ!」


そして、最後に連れられてきたところは……


「ここは闘技場。

ここではPvPの練習や勝った回数によって景品の変わるトライアルなどができる。

たまに行われるイベント会場としても使われておるから覚えておくと良いな。


では……早速試しにワシと戦ってみるとしようぞ!」


来たか!

これは軍曹殿との模擬戦のスタート合図だ。

軍曹殿は強い。


少なくともゲームスタートの状態でやりあって勝てる相手ではない。

確か、闘技場での戦闘やデュエルの一部試合形式では負けたり、死んだりしてデスペナルティはこない。

が、それでもクリア出来ないことに変わりはないのだが


実はこのセリフを言った後に俺らもあるセリフを言うことで少しだけ勝率を上げることができる。


「分かりました。しかし、僕らはまだ初心者で装備が整っておりません。

何か貸していただけないでしょうか?」

「ふん、良かろう話も真面目に聞いておったしな。ふむ……この道具袋から好きな武器と防具を選べ、もしもワシに勝てたら好きなものを二つくれてやる。」

「「「ありがとうございます。」」」


そう、実は装備を貸してもらえるのだ。

それもかなり良いものを

しかし、こうして貰えるにはあの軍曹殿の長話を真面目に聞いていないといけないのだ。

そのためαテストの時には何も知らずに玉砕していたが、βテストの時にマリンナが発見したのだ。


「さてと、相変わらず良いものばかりね…

二人ともどうするの?」

「そうですね〜グラビスさんは軽装備派でしたよね?」

「ん?ああ、そうだな。後武器は爪を貰うつもりだから。」

「分かってますよ、では僕はこの製鉄の金槌とアイアンシリーズを貰っていきますね。」


製鉄の金槌は攻撃力は8と店売りの品と大差ないが鍛冶屋にとってはかなり使いやすい一品だ。

また、アイアンアーマーはこの次の次の街でないと買えない品で防御力が序盤にしてはかなり高い。



「りょーかい、じゃあ俺は微風の着流し、早駆けの下駄、それに赤蛇牙を貰ってくわ。」


微風の着流しは上下の装備枠どちらも使うがその分スキル冷却時間短縮・小、素早さアップ・中、回避率アップ・小で強化回数が残り15回とつよい。


早駆けの下駄は装備していると移動スキルの効果が高くなるという追加効果を持っている。


そして赤蛇牙は攻撃力が12+火属性ダメージ2〜5と使い勝手がいい。


「アレ、グラビス頭と手とはいいの?」

「ん、ああ大丈夫だよ。手は爪を嵌めるし、頭は俺ピアスか簪派だから。」

「そうだったわね。

じゃあ、私は黒桜の杖とメイジローブにするね。」


黒桜の杖はMP吸収7、MATK20とかなり攻撃向けな一品


メイジローブは10秒に3MP回復してくれるという追加効果をもっている。


「よし、じゃあ行くか?」

「そうね、指示は私が出せばいいのね?」

「そうだな、お前に任せる。」

「そうですよ、頼りにしてます。」

「ふぅ、分かったわ。では行きましょう!

軍曹殿準備完了しました!」


「そうか、ではついて来い!」


軍曹殿を追って行くと闘技場のスタジアムに着く。

スタジアムはイタリアにあるコロッセオのようになっていている。


「よし、では模擬戦(デュエル)を開始するぞぉ!」


目の前にメニューウィンドウが開かれる。

【デュエル・モードハーフライフ


マリンナ グラビス 天津vs軍曹


開始しますか?yes/no 】


勿論yesを押して武器を構える。


【それでは開始いたします。5.4.3.2.1....始め!】


「水の矢よ『ウォーターアロー』!」


開始と同時にマリンナが軍曹殿に魔法を叩き込む。

『ウォーターアロー』は水属性魔法の中でも最弱のランク1だが連射しやすく、詠唱も「水の精霊よ、矢となりて、かの者を射ぬけ!」と三節で済ませれる。


え、マリンナは「水の矢よ」じゃないかって?


ああ、それには魔法の詠唱の特徴がある。

このSGでは大抵どんな魔法を使うためにも詠唱が必要になる。

そしてその詠唱はカラオケと一緒で音程やビブラートなどの加点があり、その点数が一定を越えれば使用できる。

まあ、どんなオンチでも基本の詠唱で最後まで唱えれば使えるには使えるのだが、威力や命中率などは下がる。

んで、マリンナはこの詠唱を唱えるのがとても上手い。

そのため僅か一節でも最高状態で魔法を放てれるのだ。

これをSGでは詠唱短縮といい、テスターの前線攻略魔法使いならば各属性のランク1〜3までは一節で唱えれると言われている。

また、無詠唱と言うスキルもあるのだが、それはまた別の機会に説明しよう。


さて、話を戻そう。

マリンナの先制攻撃によって軍曹殿の動きがほんのわずか鈍る。


「オラッ!」「セヤァ!」


そこに俺と天津が切り掛かる。

一撃離脱のヒットアンドウェイ戦法だが今ので軍曹殿のHPの一割を削ることが出来た。

このデュエルでは相手のHPを五割以上削れば勝ちなので残りあと4割だ。


「ふむ、中々うまいの。ならばこれでどうだ!『ステップ』『ハイステップ』」


な、テスト時代では使ってこなかった『ハイステップ』!

狙いはマリンナか…

マズイな、俺が動くか!


「『ステップ』『ステップ』『スピードジャブ』!」


マリンナと軍曹殿のあいだに割って入り、軍曹殿にカウンターをかけに行く。


「っ!『ジャンプ』!」


しかし、軍曹殿は上へと回避した。


「マリンナ、天津!」


「任せといて、風の守りよ!『ウィンドカーテン』」


風の守りが空中からの軍曹殿の攻撃を許さない。


「おうさ、『ジャンプ』『ホームラン』!」


そして天津が空中へ飛び出し、その勢いを乗せて殴りに行く。


「ちっ!『軍人の覚悟』」

「んなっあ!」


軍曹殿の土手っ腹にクリーンヒットした!と思った瞬間彼の目の前に障壁のような物が発生し、弾かれてしまう。


「畜生!!なんなんだあのスキル」

「っ!まあ、αやβのままな訳ないわよね。音よ弾けろ『クラッカーボム』」

「『エナジーシュート』」


勢いを無くし落ちてゆく天津を軍曹殿

は蹴り落としさらに追撃を加えようとするが、そこに俺とマリンナの攻撃を割らせ込み断念させる。


「ガッハッハ!やるではないか若人よ!『斬波』」


いや、そんなことで断念する人では無かったか

地上に降り立つと直ぐさま飛ぶ斬撃で攻撃してくる。


「ちっ、マリンナ防御力任せた。

俺が前に出るよ。天津下がれ!

『ステップ』『ステップ』」

「はいはい、風の守りよ!『ウィンドカーテン』」

「了解です!」


マリンナの魔法で斬波を防ぎ俺と天津は入れ替わり(スイッチ)する。


強い……

テストの時よりもAIのレベルも上がり、スキルの数も増えている。

装備とステータスの変化がないのがせめてもの救いか……


少しやり方を変えてみるか…


「フッ!!セィヤァ!」

「『軍人の誇り』!」


スキルによる加速で一気に間合いを詰めて殴りかかるが新スキルの所為でノーダメージとなってしまい、俺も攻撃を弾かれノックバックする。


ここだ!


「まだまだ!『スピードジャブ』!」

「ちっ、『軍人の…

「遅え!『パワーストレート』『スピードジャブ』」


ノックバックする最中に無理矢理体を前に出しスキル込みの今出せる最速のパンチを放つ。

それは『軍人の誇り』が発動するより早く軍曹殿にヒットし、そのままラッシュを決めて行く。


「マリンナ!ぶちかませ」

「はいはい、風の大砲よ!『ウィンドカノン』」


そしてトドメとして風の大砲(ウィンドカノン)が軍曹殿に放たれ、軍曹殿のHPが5割を切る


「グハッ!やるなきさまら…………」



【軍曹のHPが5割以下となりました。

そのためマリンナ、グラビス、天津の勝利となります。】


「ふう、勝てたわね。」

「そうだな。マリンナ、天津お疲れ」

「お疲れさまです。

これでクエストクリアですよね?」


荒い息をしながら天津が軍曹殿に問いかけると

「ああ、おめでとう。これで貴様らの冒険者ギルド入会試験は完了した。

その武具も約束通り貴様らの物だ。」

と帰ってきた。


「後はギルドで受付嬢さんに報告しに行けばいいんですよね?」

「ああ、今ギルドの受付嬢に念話で報告しておいた。

では、貴様らの門出に幸あらんことを」


と言い残して軍曹殿はどこかへ行ってしまった。


「じゃあ、俺たちも冒険者ギルドに戻ろう。」

「そうね、報告してしまいましょう。」




ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ギルドに戻ると、軍曹殿の前には長蛇の列が出来ていた。

大体100人位だろうか?


早く来て良かったと思い受付嬢さんのところへ向かう。

こちらは誰も居らずポツンとしていた。

受付嬢さんも俺らの気がついたようだ。


「あら、マリンナさん、グラビスさん、天津さんお疲れさまでした。

そして冒険者ギルド入会おめでとうございます。

こちらのカウンターへどうぞ」


と受付嬢さんが声をかけてくる。

が、それに反応して多くのクエスト受注待ちのプレイヤーがこちらに振り向く。

面倒クセェ……


「な、もうクリアしたのか!」

「なんなんだあいつら!」

「マジかよ、始まってまだ一時間しか経ってねえんだぞ。チートでも使ってるのか!?」

「これだからニューピーは…”武辺者” ”軍師” ”鍛治の匠”

3人ともα時代からのトッププレイヤーだぞ?」

「そうそう、にしてもマリンナ様はお美しいな。」

「ホントホント、グラビスさんが羨ましいぜ。」

「え、マリンナ様ってVR整形なんじゃないのか?」

「何言ってんだよ。VR整形ってかなり難しいんだぜ?それに骨格とかの問題もあって結局は美形じゃないと無理なんだよ。」

「ヘェ〜そうなのか。にしてもお美しいな。」

「本当、それな。」


と、まあ色々言っているが気に留めず(もう慣れた)入会手続きを進めて行く。


「では、冒険者ギルドについて簡単に説明させてもらいますね。


まず、あちらの掲示板

あそこに貼ってある依頼書を取って私に持ってきてくれるとクエストを受注することができます。

クエストは迷子探し、薬草の採取、モンスターの退治など多岐に渡ります。

中には普通では会えないような方にお会いすることもあるみたいです。


またクエストをクリアすると報酬が貰えます。これは依頼によりますが金銭やアイテムや素材などが多いですね。


後、クエストを一定回数クリアすると冒険者ランクが上がるのですがこれはまたにしますね。」


長い話だな、と思っていると並び待ちの野次馬の中にはメモを取ってるやつもいる。

良い心がけだ、少しは見習うか…


「次はこの冒険者ギルド会員証…通称ギルドカードですね。

あ、皆さんどうぞ。」


っと…お次はギルドカードか

受付嬢さんから何やら色々と書き込まれている木の板を渡される。

するとシステムメッセージが飛んできた。

【メニュー欄にギルドカードが追加されました。】


「こちらのカードは冒険者であることを証明するものです。

また冒険者ランクというものがあり、これによって受けられるクエストのランクも変わるのですが、これによってカードの材質も変化します。


ランクと材質はこんな感じです。」


受付嬢さんは表をみせてくる。


内容は以下の通り


【冒険者ランクとギルドカードの材質


1〜20 ウッド 受注可能ランク〜G

21〜30 ブロンズ 受注可能ランク〜F

31〜50 アイアン 受注可能ランク〜C

51〜75 シルバー受注可能ランク〜B

76〜100 ゴールド受注可能ランク〜A

101〜 ミスリル 受注可能全ランク】



つまり今の俺たちはランク1で受けれる依頼はランクGまでってことか

ちなみにランクGの依頼はゴブリン5体の討伐、ホーンラビットの15体の討伐など雑魚敵の討伐依頼だ。


「……っと以上で説明は終わりです。

もし何か分からないことがあればお気軽にご相談ください。」

「じゃあこれとこれとこのクエストを受注したいのですが。」


これで説明が終わったと思っているといつの間にか依頼票を取ってきたらしいマリンナが受注を開始していた。


「えっとホーンラビット15体の討伐、ゴブリン5体の討伐、ブラックバット8体の討伐、ミニストーンゴーレム4体の討伐、ポイズンスパイダー三体の討伐、トレントの討伐、畑を脅かすもの、夢の蜂蜜デザートでよろしいですか?」

「はい、大丈夫です。」

「……はい、受注完了です。依頼が達成した場合はあちらのカウンターへ行ってくださいね。では良い冒険を!」


ということで晴れて冒険者ギルドの会員となり初クエストを受けて意気揚々と外に出た。




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