セブングランド〜ユニーク武器使いのデスゲーム録〜
@Servicearea
第1話
1話
【アップデート1.01完了しました。
このアップデートによる変更点は以下の通りとなっております。
・システム欄からのログアウト不可能
・デスペナの変更
一度目の死亡 セーブデータ初期化
二度目の死亡 痛覚リミッター解除
三度目の死亡 現実世界の死亡
・新マップの追加
・時間の加速βテスト時の3倍から8760倍へ
・グランドクエスト全クリアによるログアウトスポットの設置
・現実世界の身体保護用にバリアー発動
・俯瞰視点の停止、インターネットへのアクセス禁止、スクリーンショット禁止など
またそれに伴う代用アイテムの追加
………………………………………………………………………………………………………
p.s今後もアップデートは予定されています。
またこれより内部時間単位での通知をいたします。
ではこの最高の遊戯をお楽しみくださいませ】
今日からサービスの始まるVRMMORPG セブングランド(略称SG)
巷で話題のVRMMOの最新ハードウェアNEW WORLD MAKER(各単語の頭文字二つをとりローマ字読みしてニューオーマとも呼ばれている。)
に対応する初のソフトとして発売されたのがこのSGだった。
しかし、デスゲームになってしまうとはな……
俺は深呼吸をして自分の体を鏡を使って見てみる
「やっぱり、グラビスか……」
顔立ちは現実と同じだが目の色が真紅だ。
それに俺の手の爪が非常に鋭利になっている。
また、肩が重いので触ってみるとそこには折りたたまれた翼があった。
そう、これは俺のSGのプレイキャラであるワードラゴのグラビスだ。
残るは夢の可能性にかけてみたいが残念なことに夢とは思えないほど周りの景色が綺麗だ。とはいえ現実と比べると一段劣るが……
とここで俺の目の前にウィンドウが開かれる。
何かの動画のようでとりあえず再生してみる。
と、映り出したのは若い男とアニメキャラのような少女だ。
「プレイヤー諸君!
ようこそ、ネクストジェネレーションへ。
私は天野秀才(あまのひでとし)、このネクストジェネレーションの開発責任者だ。」
天野秀才………10年前実用化された国のVR技術の開発チームの一員であり、実用化成功後はチームを抜けて独立し株式会社ネクスターツを創る。
そこで多くの新技術を開発してVR技術を大いに進歩させ、今回、時間加速機能を実用化した機体NEW WORLD MAKERを製品化したというバケモノだ。
「さて、今諸君らは大いに戸惑っているだろう。
しかし、残念ながらこれは現実だ。
ログアウトは出来ず、三回死亡すればそれは現実の死となる。
謂わゆるデスゲームと言うものだ。
そしてログアウトする方法は二つある。
一つは三回死亡すること。
まあこの場合は今君らの周りを痴漢や寝込みを襲われない様に対策として張られている高エネルギーバリアが暴走して君らの体を吹き飛ばすだろう。
そしてもう一つはこのゲームのラスボスを倒してゲームクリアすることだ。」
とここで画面が切り替わりアニメキャラのような少女にカメラが向けられる。
「私はカーディナルプログラムです。
只今ログアウト不可能また時間加速が8760倍……つまり現実の1日がこちらの一年となっております。
また高エネルギーバリアの強化を実行
もしも電力供給が絶たれた場合バリアの維持エネルギーが無くなり爆発が起こると予測されます。
この他にも幾つかの機能を動かしております。
生きて現実に戻りたいと願う方は最後の大陸パラディソでお待ちしております。
もしも私カーディナルプログラムが直接操るラスボスを倒すことが出来ればすべてのプレイヤーの皆様のログアウト不可能を解除します。」
「最後に幾つか言っておこう。
まずテスターの諸君、わたしの研究を手伝ってくれてありがとう。
お礼としてきみらがテスト時代所持していた家やギルドホームはそのまま引き継がれている。
内装もそのままだ。
まあ、チェストに入れてあったアイテムは消えているがね
そしてニューピー諸君!!
君らはテスターに比べて不利な状況にある。
ここから這い上がってくるのを期待してるよ。
ではこれにて諸君頑張ってくれたまえ!」
と捨て台詞を残して動画は終わった。
呆然としていると周りから泣き声や叫び声が聞こえてくる。
「なんなんだよぉーーーーーーーー」
「おかぁさん……うぅ…」
「だ、誰か…俺を助けてくれぇ…」
畜生!嵌められた。そう思ったが声には出さない。
まあ、ポジティブに考えれば資産は残ってるみたいだしラッキーだろう。
まだ色々と納得しきれていないがまずはメニューを開きステータスを調べる。
特に普通の初期段階だ。
次に手持ちアイテムだがこれも何もない。
最後にフレンドリスト
「お、あるぞ。ラッキー」
フレンドリストは引き継がれたらしい。
ああ、そう言えばフレンドリストはニューオーマの連絡帳に直接保存されてるんだったな。
その中から相棒…マリンナを探し出す。
「あった!ってメッセージきてるよ」
【お久しぶり、マリンナです。
何やら凄いことになってしまったみたいね。
状況を確認したいから東エリアのNPC運営の喫茶店に来て頂戴。
では待ってます。 】
「はいはい、りょーかい。東エリアってここから遠いなぁ…遅れたら怒られそうだ」
溜息をついて、心をリセットする。
まずはデスゲームよりもマリンナの機嫌を損ねないことが第一だ!
「遅いわよグラビス何のんびりしてたのよ。」
「ハァハァ……マリンナ…お前は本当に冷静だな。みんなデスゲームになってただ突っ立ってるだけなのによぉ」
「私の趣味じゃないからね。さてとそんなこと言ってるより、これからどうするのか決めてしまいましょう?」
走ること10分これでも全力で駆けつけたのだが待っていたのはマリンナの苦言だった。
彼女、マリンナは俺のαテストからの相棒で種族はエルフ。
武器は杖とバリバリのマジックキャスターだ。
因みにSGでは髪のカラーリングや種族によるオプションの変更などはあるものの基本的に顔、身長などは現実世界のものに準じている。
一応課金アイテムを使えば顔立ちや身長も変更できるのだがよっぽど上手
人でない限り顔から違和感がするのだ。
そのためβテストの最後ではメガネデブのおっさんが魔法の剣をもち、ドラゴンと戦う姿やヒステリックな女性が杖片手にpvpをするなど滑稽なこともあったのだが…
その点において相棒はずば抜けて綺麗だ。
ツヤのある黒髪、青色の瞳、スラッとしたモデル体型
今でこそみんなデスゲームになったショックに打ちのめされているが本来なら100人が100人振り返るほどの美少女だ。
以前聞いた話によると瞳の色と髪型は変更しているとか。
確かにマリンナは良い奴なのだが、それでもこんな超絶美少女と一緒にいると緊張する。
「そうだな。まずは軍曹殿のクエストを受けないか?
ギルドに入会できるし、経験値や報酬も中々だからな。」
「そうね、武器や防具はそこで貰えるだろうし……そう言えばグラビス、あなたお得意のユニーク武器はまだ手に入らないけどどうするの?」
「ん、ああそれなら大丈夫だ。ヌンチャクとトンファーはこの後草原に出るときに木を切り倒すつもりだから。」
「なるほど、それで斧にしたのね。」
「まあね、じゃあ行こうか。」
先ほども言ったが二人はテスト時代からの知り合いでSGを1からスタートするのはこれで3回目だ。
そのためこの後どうしていけばいいかも分かっており相談する必要はない。
また二人ともコミュ力が高いとはいえず気の利いた話題も出せない。
結果としてギルドまで行くまでの話題は今回のアップデートについてになってしまう。
「ねぇグラビス、今回のアップデートどう思う?」
「そう、だな…デスゲーム化したことが未だに信じられないよ。」
三回の死亡が死
ラノベよりは軽いとはいえそれでも死ぬわけにはいかない。
「そうね、確かにまだ死亡者は出ていない。だから嘘かもしれない。
けどログアウト出来ないのは事実、それだけでもかなりヤバイと思うけど?」
確かに、まだ誰も死んだ奴がいない以上確かとはいえない。
だが、閉じ込められてるのに変わりはないのだ。
「そうだよな。どちらにせよ閉じ込められてるのに変わりはないか。
なぁ、警察や政府がどうにかしてくれるってのはないのか?」
「無いわよ、既にゲームスタートから30分が経っているわ。
これだけ大規模なものなら既に通報されて事件解決の為に何かしらの対応がされているはずよ。
それが無いのはアップデートの概要に書いてあった通り8760倍だからよ。」
数少ない望みもマリンナの冷静な反論により断ち切られる。
8760倍ということは一時間が1年分ということになる。
1秒に換算すると内部時間で146分つまり約二時間半
「マジかよ、でも何もせず耐えきれば……」
「まあ現実時間で数日つまり内部時間で数年経てば孤島に住んでるとかでもない限り助かるでしょうね。
でもそんなこと運営だって分かってるはず多分モンスター進行イベントとか運営側のプレイヤーが紛れてたりするのよ。」
「そうだよな。ってことは攻略はするべきだと」
「ええそうね。誰もがこの説明で納得してくれるとは思ってないけど。
それに一回だけなら死んでもレベル1になるだけなのよ?
どうせなら楽しんだ方がいいじゃ無い。」
「そうだ、そうだよ!やるしか無いんだ。マリンナよろしく頼むよ。」
「ええ、勿論なんせ私はあなたの相棒ですもの。」
覚悟は決めた。ならそれに向かって突き進むしかねぇよなぁ!
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