第10話 やってきた伊達メガネ
その朝、僕らは校庭へ集められた。全校集会だ。何事だろうと皆が囁きあっている。僕らが居並ぶ中、そいつは現れた。あの伊達メガネの男だ。
「えーっ。みなさん、この度、我が校は文部科学省認定のスーパーサイエンス校に指定されました。これは生物部、物理部などの諸君の研究が認められたことによるものです」
校長の長々とした話が続く。僕の目は校長の後ろにいる一人の男に向いていた。間違いなく、あの伊達メガネの男だ。なぜ彼がいるのだろう。
「今回、文部科学省の方から我が校を視察に二人の先生がお見えになりました。先生方、ご挨拶をお願いいたします」
校長に促されて伊達メガネが一歩前に出る。伊達メガネは文部科学省の人だったのか。
「皆さん、こんにちわ。蔵内 静(くらうち しずる)です。文部科学省から、この素晴らしい学校に視察に参りました。この学校は……。
……という訳で皆さんの教室へ授業中にお邪魔させていただくことになります。どうか、よろしく」
どうも不自然だなと僕は思った。だって、この間からのタイミングが良すぎる気がしたんだ。
そして、伊達メガネの後に、もう一人の男が挨拶する。病的に思えるほど色白でサングラスをかけている。彼の挨拶はぶっきらぼうで「よろしく」とだけ言った。あまりに短い挨拶に校長が慌てて補足する。名前は師岡 平一郎(もろおか へいいちろう)と言うらしい。生まれつき日の光に弱くサングラスをかけているらしい。挨拶の時はメガネを外したけれど、その目は爬虫類のように冷たい感じがした。はっきりいえば薄気味悪い男だった。
「びっくりしたね」
「ほんと。まさか学校に現れるなんてね。優太君も舞さんも気を付けてね」
「ああ。だが、もう一人のサングラスもそうなのか?」
このところ、舞さんはちょくちょく『あげは』に顔を出すようになった。サングラスの男も超能力者なのだろうか。
「ええ。能力増強と発火能力ね」
ひかる曰く、やはり超能力(ちから)を持っているらしい。
僕たちにしてみれば、彼らの目的は何なのか分からない。ただ、相手の出方を待つしかなかった。
次の日から、彼らは僕たちに……僕と舞さんに接触してきた。
へなちょこESP倶楽部 鳥越 暁 @torichanyu
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