6-10 託宣
サザンたちは神殿の神官の部屋に案内された。ここは、シンプルで何もなく殺風景な白い部屋だったが、唯一窓際の机に、ちょっとした透明のディスプレイがあり、外光に当たって、部屋に色の光を反射し、海っぽい雰囲気を出していた。娘たちは当然だが、ここにマイアもついてきた。
みんな椅子を用意してもらって座っていた。グリーンだけは、アイサの後ろに立ってアイサの肩を持っている。
「パンドラさん、あなたのことは、マイアから聞いて知っていました。ですから、サザンから離れて、しばらくマイアと暮らすのもいいかもしれません。ですが、お願いです。サザンを助けてください。あなたが、サザンと一緒にいるから、わたくしは、この話ができるのです」
パンドラの代わりにマイアが応える。
「神官様のいいように」
「では、はじめましょう」
グリーンが懐から、ツインスターを出した。ツインスターは、タクトのような形をしていて、柄の所に大きなエメラルドがはめ込まれているように見える。このエメラルドを覗くと、中に二つの星が光って見えるグリーンが集中したのでエメラルド色に発光しだした。その光が、アイサに伝播しアイサも光る。ツインスターの星のまたたきが同調してさらに輝いた。
「きれい」姉妹が、感動する。この光のフィールドに、パンドラも話ができるようになった。
「最初に、ラミアのことを話させてください。このことは他言無いようにお願いします。ラミアは、巫女に預けられたガイア人ということになっています。それも本当ですが、実は、マークとナオミの実子です。まだお腹の中にいたラミアに白蛇石が反応して融合してしまいました。ですから、巫女から生まれたガイア人です。ラミアが、霊魂石に反応するわけです。霊魂石は、光の巫女に反応するのです。ナオミは光の巫女の子孫なのですから」
これを聞いたパンドラとマイアは息をのんだ。よくわからないサザンは、実子というところが、心に残った。
「サザンさん、ちょっと過去を覗かせてくださいね」
グリーンで、打ち解けていたサザンは、これを快く了解した。
「はーーーーグリーン」
「そうだね。サザンは、間違っていないよ。お母さんは、もう、意識をなくしてた、お父さんが助からなかったのは、残念だったけど、サザンが助かってよかったよ」
「母さんは、宇宙の宝石を持った時から、おかしくなったんです。父さんは、日に日に痩せ衰えていきました。おれは、母さんから、宝石を取り上げたかっただけなんです」
「白蛇石の1stレプリカです。普通、反応する人などいないのに。サザンさんのお母様は、反応してしまいました。お父様の生気を吸っていたのね。生気を吸うお母様も、結晶石になり死んでしまいます。1stは、そういう石だったのです。この結晶石は、宇宙船の部品に使えるのですが、適合者がいても、周りを巻き込んで、本人も死んでしまいます。犠牲者を選べないので、遺棄されていたのでしょう。どういう経緯で、お母様の手に渡ったかは、調べさせますが、不幸なことでした。この時、すでに、お母様は、意識を亡くしておられたのね」
「じゃあ、母さんは、死んでいたのですか」
「体は、結晶石生成のため活動していましたが、そうです」
サザンは、初めて救われた。自分は、母親を殺していなかった。
「地球は、宇宙の宝石を物扱いするところがあります。サザンに、全部罪をかぶせたのです」
私が、サザンを守るのですね
「そうです」
「パンドラは、結晶石に耐性があるんだ。だからサザンを守ってよ」
「あなたは、この1stに、マーキングされています。これを砕けば、あなたは、自由です。ラミアも反応しなくなるでしょう」
「地球か・・」
「そうです。大変な道行きでしょうが、やり遂げるのです」
サザンは、この7年間探していた答を得た。
「急がなくて大丈夫よ。ベロアの組織を使います。ですが、最後は、あなたが決着付けるのよ」
アイサの毅然とした態度に、力をもらったサザンだった。
ゴキョウサザン 星村直樹 @tomsa
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