第28話 借金王、多頭龍と戦う
彼女は
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「
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ふたりの呪文が唱えられるにつれ、俺達四人の身体は青い光に包まれていった。
「ふぅ……これで全部でちね」
「私も終わりました!」
「それじゃ……いくぜ!」
軽く地面を蹴ると、俺の意思のままに身体が空中に浮く。
クリスに目で合図して、俺は池の上を滑るように飛び始めた。半分ほど渡ったところで
ちらりと背後を振り返ると、ジャンヌは取り乱すことなく踏みとどまっていた。
やや後方を飛ぶクリスが声をかけてきた。
「ダリル。金に糸目をつけずに援護するか?」
「……いくらだよ?」
「一発あたり十金貨だ」
「はあ!? 一発で千銀貨ってことかよ!」
俺は迷った。だが八本首が相手となると、あまりケチってはいられない。
「……頼む」
クリスは軽くうなずくと、腰の皮ケースから黒光りする金属製の矢を取り出した。
離れ小島に降り立った瞬間、
身体をねじり、盾を掲げ、剣でその攻撃をいなす。目の前の真っ赤な口内から、絶え間なく生臭い吐息が顔に吹きかかってくる。
「
竜巻が通り過ぎたような音がして、
「くらえ、千銀貨のうらみ!
剣を水平に振り抜くと、
だがその隙をついて、
「
いつのまにか背後にいたジャンヌが聖句を唱え、神聖魔法をかけてくれた。体内のうずくような痛みは消えたが、俺は思わず怒鳴り返した。
「ばっ、馬鹿! なんでこんなとこまで来たんだよ!」
「すみません! これ、相手の身体に触れないとかけられないんです!」
当然のように
「
それは自分を対象として
「ほら、離れてろ!」
「はっ、はい……!」
ジャンヌを下がらせ、俺は剣を両手で構え直す。盾を失った今、長期戦は不利だった。一気に決着をつけることにする。
不可思議な障壁に攻撃を阻まれた
「
つづいてアリーゼの魔法で生み出された紫色の雷光が閃き、
俺は押し寄せる四本の首のすき間を縫って飛びこんだ。鋭い鱗が顔面ギリギリをかすめて頬を切り裂き、血しぶきが舞う。だが俺は気にすることなく、
「
心身の動きを倍加する魔法の力を借りて、
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