第23話 借金王、女の戦いに巻き込まれる

翌朝。

王太子にことの次第を話し、俺達は旅の準備を始めた。アリーゼの〈宮廷魔術師〉という肩書がものを言い、必要な装備はあっという間に揃えることができた。


それから武器庫で使えそうなものを探していると、アリーゼがクイクイと俺の袖を引っ張ってきた。控えめな胸を偉そうに張っている。


「ダリルっち、ボクになにか言うことはないでちか?」

「アリーゼのおかげで助かったぜ。ありがとな」

「それだけでちか? もっと感謝は行動であらわして欲しいでち」


アリーゼは思わせぶりな表情で長衣ローブの胸元をゆるめた。だが谷間がないので服のすき間にしか見えない。


「そう言われてもな……」


俺が首をひねっていると、背後からクリスがアリーゼの首根っこをつかんだ。


「ひゃう!? く、クリスッち……いつの間に!」

「抜け駆けは無し、と言っただろう? まぁ、胸で男を誘惑するなら……せめてこれくらいはなければな」


なぜかクリスまでが襟元をゆるめる。あらわになった白い胸の谷間に思わず目が吸い寄せられた。


「く、くやしいでち! な、何か対抗する手段は……あ、ジャンヌっち! ちょっとこっちに来て欲しいでち」

「なんですか、アリーゼさん?」

「これでどうでち!」


アリーゼはジャンヌを俺の方に向かせると、いきなり背後からジャンヌのブラウスを引き下げた。


「きゃあっ!? あ、アリーゼさんっ……何するんですか!」


服に腕が絡まって身動きが取れないジャンヌの豊かな胸が半ば露出する。


「にゃはは〜。極上の触り心地でち〜」


アリーゼが下から持ち上げるのに合わせ、ジャンヌの胸は盛大に俺の目の前で揺れた。


「だ、ダリルさんっ……見ないで!」

「お、おう! み、見てない!」

「くっ……たしかにサイズは負けだ……。だが大切なのは大きさより感度……」


俺はすぐに目をそらしたが、クリスは何かくやしげに呟いていた。


しばらくしてジャンヌはアリーゼを振り払い、服の乱れをなおした。なぜかアリーゼの顔は満足そうにツヤツヤと輝いている。


「いや〜、いい感触だったでちね。ダリルっちが骨抜きになるのもわかるでち」

「ひ、ひと聞きの悪いこと言わないでください! ダリルさんは揉んでくれてません!」

「でかい声でそういうこと言うなよ!」

「しかしクリスっちには勝ったものの、肝心の勝負に負けたような気がするでちね……」


むにむにと自分の胸を揉むアリーゼの後頭部をペシッとクリスが叩いたのを合図に、俺達は出発の準備を再開した。

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