夜はそのまま新年会もかねた同窓会に出席した。

 会場は駅近くの居酒屋。町にある数少ない溜まり場の一つで、普段はもっと中高年の人たちが集まるらしい。今日は貸切とのことだった。

 お酒はそんなに好きじゃない。酔いすぎて失言をしたらと思うと怖すぎる。だからカクテルを2杯ほど飲んだ後は、ずっとジュースを飲んでいた。

 対してカスミは生ビールをジョッキで5杯、日本酒を7合、カクテルを3杯と、かなりの量を飲んでいた。それでもまるで顔色を変えず、言い寄ってくる男子と飲み合っては、ことごとく相手を潰していた。

「カスミ、そろそろやめときなよ」

「ユキノは全然飲んでないのね。おもしろくないなあ」

「カスミが飲みすぎなんだってば」

「ユキノの酔ってるところ見たいなー。ちょっと色っぽくなったりしてさー」

「もしかして酔ってるの?」

「酔ってるよー」

「……」

 お酒好きだとは知らなかった。今度会うときは気をつけておこう。

 ……今度?

 私はアップルジュースを飲みながら、気持ちを整理する。アルコールの匂いが充満する部屋の中で、甘い香りは脳をほどよく癒してくれる。

 やっぱり私は、カスミのことが大好きだ。

 再会して、昔と変わらない態度を見せてくれる彼女は本当に魅力的で、どんなに目を背けようとしても視界に入ってくる。

 そして私の方も、本当は目を背けたくなんかないのだ。

 彼女と真正面から向き合いたい。

 もしかしたら、カスミのこの態度はポーズなのかもしれない。内心では私のことを嫌っているのかもしれない。

 それでも、私は彼女とつながりを持ちたかった。

 8年ぶりに会ってしまったのだ。もう、彼女と疎遠になんかなりたくなかった。

 嫌われたくはない。しかし、離れてしまうのはもっと嫌だった。

 彼女の中から、私が消えてしまうのが怖かった。

 自分本位なことはわかっている。

 それでも私は、

「カスミ」

「んー?」

「そろそろお開きだから、一緒に帰ろう」

「二次会は? カラオケ行くらしいよー。ユキノちゃんが美声を聴かせる、ちょっといいとこ見てみたいー」

「大事な話があるから」

 私の態度に真剣みを感じ取ったのか、カスミはふと真顔になった。

「……ん、いいよ」

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