自虐家の周り
卑屈野郎の戯言
兄の姿は、どこから見ても、わかりやすい。
何も隠そうとはせず、隠すこともできやしない。それを兄は良しとしてるし、嫌なことも、嫌いなことも、兄は全て隠さない。兄の態度は露骨すぎるから、そんな兄についてはいけないから、周りに人はいない。誰一人いやしない。
かく言う僕も、兄にはついていけない。自分を自虐家と嘯く兄にはついていけない。
僕はそうやすやすと心の内を見られたくはない。どぐろが巻いたような心を見せたくはない。
だから、斜に構えて、あらぬことを言うんだ。
そして、そんな自分が僕は嫌いだ。
何もかもに隠しだてしているから、兄のように捻くれたまま真っ直ぐになんて、生きれやしない。
僕は、兄にはなれやしない。
そして、兄になれやしない僕は、大層な人間にもなれやしないのだろう。
兄は、そう言うところを卑屈というが、あながち間違ってはいないようだ。
そうだ、僕は卑屈野郎だ。何よりも劣った、卑屈野郎だ。
それでも、僕はいい。
どうだって、いい。
自虐家は語る 一齣 其日 @kizitufood
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