若者に迎合する言葉遣い。老成円熟した先生は悩める若い先生の精神的サポーターに

新聞に、ある新刊本を紹介する言葉が掲載されています。

「退職した刑事ホッジズにとりのがした殺人鬼からの手紙が届く。…」


「とりにがした(取り逃がした)」が正解でしょうが、そのまま新聞に掲載したという事は、この言葉遣いに気付いた人がいない。


公共の目に触れる場面では、厳密さは要求されなければ歯止めが利かなくなります。


私達、中高年でさえ「言葉も時と共に変化するものだから…」とルーズな言葉遣いに流れて、若者言葉や言葉に無関心な人に迎合し訂正しません。


言葉に意識が低い若者も、社会に出れば今の言葉遣いでは通じないと理解しているはずです。

その素直な気持ちを表明し言葉遣いを身につけるノウハウや勇気を持ち合わせないだけでしょう。


敬語や丁寧な言葉遣いを素直に身につけられる小学生時代が大切です。


中学生になって言葉遣いを指摘されると、ひがんだり反抗したり、手こずります。


子供への先生の影響力は大きい。


新聞のコラム『ポピュリストが突く本質』によれば

「子どもの頃の教室を思い出してほしい。はいはいと手を挙げる元気のいい子どもたちばかりで授業が進む教室は、決していいクラスではない。黙ってうつむいている子、注意散漫でぼけっと窓の外を見ている子、引っ込み思案で手を挙げない子たちも一緒になって授業をつくってこそ、本来の教育だ。積極的な子だけとつるむのが教師の役割ではない。」

大切な言葉です。


とは言うものの若い先生が手本にする先輩先生が居ません。

定年に近い先生は、自身が積み重ねてきた経験や教育について若い先生に蘊蓄を傾ける機会があれば彼らも心強いはずです。


悩める若者に意見する姿勢でなく、年配者は自身の人生経験、失敗体験を語れば耳を傾けます。


何十年教職について、きっと一家言あるでしょうし、物事を大局的にみることが出来ます。

これは社会に出て組織に入れば誰しも同じ事が言えます。


若い先生が深刻に考えている問題も「心配ないよ」と安心させてあげられるのは中高年の先輩先生の役割り。

テレビドラマなら必ずメンター(優れた助言者)が存在して悩める主人公を助けてくれるのですが…。

今この様に頼れる人がいないのは心細い。


子供について大事な考え方は継承してほしいものです。


悪い情報ばかり耳にします。

いじめに便乗する様な劣悪な教師、先生に対して友達の様な言葉遣いを許す教師。

正義感の無い盗撮セクハラ教師。


10年前、息子が中学生の頃、母親の私が職員室を訪ねる事がありました。

扉を開けると、机に足をのせてiPodを聴いている先生が目の前に!

しかしそれ以上に、父兄が居るにも関わらずその姿を注意する先生がいらっしゃらないのにもガッカリしました。


退職まぢか又退職後の老先生が誰でも良い訳ではありません。

老成円熟した先生、先生の間でも退職を惜しまれる好感度の高い先生です。

高い人間性を計る物差しはありませんが、目安の一つになります。



若い先生が受け持つクラスの子供らを、そんな稀有な先生に教室の後から支える役に回わって貰えればどれ程心強い事か。

若い先生が「座りなさい!」と高圧的に言い渡すのではなく、老先生が「どうしたの?」と近づき子供が何かしら話ながら席につく。

優しさと丁寧な言葉遣い。


退職したまだまだ元気な先生に学校は「帰ってきて!助けて!」と救いの手を求めます。

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