夫を“男性”観察
夫は10年間、単身赴任を経験しています。
一人住まいは自由気まま、誰にも何も言われません。
好物のお好焼きやチャーハンの冷凍食品を、たらふく食べ、トイレではドアを開け放したまま、用を足します。
風呂上がりもバスタオル一枚で下半身開けっ放し!
とても快適な毎日です。
仕事は忙しいけれど、自由にノビノビ暮らしていました。
揚げ句、AVまで買う始末!
私が月1回来る事は分かっているのに、隠す事もせず堂々とテレビの横に置いてあります。
「こんなビデオ買って!レジで恥ずかしくなかったの?」
「へへへ…、通販だから。」と小さな声。
私は父を早く亡くしています。
母と妹の女ばかり三人の家庭で育ったせいか、男性が袋綴じ写真雑誌を読む事を汚らわしいと思い、酔っ払いをだらしないと思う私は、男性に対して寛容でない偏狭な心の持ち主でした。
結婚して初めて、夫の“男性”を観察します。
まず、夫の体で驚いた事があります。
夜中の布団で全速力で100㍍走り尽くす程ヘトヘトになります。これだけ力を出し切ったのだから、蛇口からはジャバジャバとコップ一杯、液体が出てくるものだと思っていました。
思った事を夫に言うと「エーッ!そんなアホな」
なんの事は無い、指先程の量です!
「エーッ!ホントに?」と私はたまげて大笑い。その時の恥ずかしげな夫の様子は、可愛い子供の様でした。
さすがに結婚当初は羞じらいがありましたから、この話をするまでに、年数を要しました。
夫の行動は、あの液体に操られています。
体の液溜まりが一杯になると、磁石の様に私にくっついて来ます。
特に若い時分は、台所で…、洗濯する傍で…、「向こうへ行って!邪魔、 邪魔」と素っ気無くしても懲りません。
それが可笑しくて「あなたは分かり易い人ね。」と言えば「へへへ…😁」と返します。
そんな時の夫は、無邪気な子供の様です。
好色一代男とあっさり女。
めんどくさい!と言っては、夫をガッカリさせてしまう事、しばしば。
「いっそ、取り外しOKのカートリッジ式なら便利なのにね」なんて、平然と笑い話をします。
こんな話は、子供全員が家から出てしまいましたから出来る話です。
今では、あのビデオを二人で観賞する大胆さが、私に備わってしまいました。
夫以外、こんな私だとは……誰も知らない😱
これが便利に使えます。
夫はひょうきん者。シオマネキがハサミを振る如く、私を誘います。
私は気持ちが乗らず、これを仕事の様に思える時もあります。
「早く済ませたい」と思う時は、先にビデオに夫を頼み、早めにその気にしておけば、気持ちが高揚して仕事は早い!
二人で楽しみたい時にも、うってつけです。
私は五十歳代で子宮筋腫の手術をしましたが、卵巣を残したのが幸いしています。
ビールをどれ程呑めども顔色が変わらない夫は、飲み会から帰ると、ペラペラ良く喋り、良く笑い、直ぐ寝つきます。まるで子供の様。布団に横になったまま、パジャマに着替えるのを手伝います。
風邪で高熱の時、尿路結石で苦しんだ時、夏に股が汗だくになって赤くなる時など、常々夫の下半身の御世話をしていると、夫が高齢になり寝たきりや認知症になった場合も、見慣れた体を世話することに抵抗は無いと思えてきます。
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