ギャング・エイジの頃、息子のいたずらをひたすら謝るために生きていました。

息子が8才~10才のギャング・エイジの頃、母親の私は、「息子のいたずらをひたすら謝る為に生きていました。」

…と言える程思い出すのは、いたずらばかり!


小学校2~4年生の間、外で友達と遊び呆けていました。たまに掃除当番を忘れて帰ります。

すると、今度は忘れない様にするため、手のひらにボールペンで「そうじ当番」と書いているので、ビックリします。

女の子には到底考え付きません!


自転車大好きです。

当時は歩道で乗ることが出来ましたので全速力で乗り回す暴走族でした。


見ていると、危ないので「スピード出し過ぎ!人に当たる!真ん中走るな!」と口うるさく怒鳴りますが、何のその。

私はもう諦めて放ったらかし。


後で思うと、大きな事故にならず、本当に良かったと胸を撫で下ろしたものです。


夏場、団地の植木にホースで水撒きします。

息子が「お手伝いする」と言うので交代します。

すると電話がかかってきて「お宅の息子さんに、うちの子が水をかけられて、びしょ濡れです!」

「申し訳ありません!」と平謝り。


息子は悪びれる様子も無く平然としています。「だって、あいつが“水を掛けろ掛けろ”って言うから、かけただけや。」

と言います。それ以上、責める事はしませんでした。

仕方ないので菓子折を持って、そのお宅に伺い謝りました。


子供同士のトラブルは、自分の子供の一方的な言い訳だけ聞いてはいけない、という良い教訓でした。


結婚した娘にも、子供のケンカには冷静になるよう伝えます。


子供が数人集まっての遊びは、時にエスカレートします。低木の植木を折っているところを通行人にとがめられ、団地の管理事務所に子供達がつき出されました⁉


さすがに、その時は私も平身低頭。子供達も私の様子を見て、しゅんとしていました。


息子と二人で出掛けた時の事です。

石を蹴りながら道を歩きます。

「人に当たるからやめて」と言っても聞きません。


タクシー乗り場のそばを歩いていると、石がカチーン!とタクシーのドアに当たります。

すぐ運転手さんが降りてきて「なにするんや!」と凄い剣幕。ここでも平身低頭!平謝り。


運転手さんは傷が無いかと車体をなめる様に見回していましたが、何事も無く「車の側で石を蹴るな!」の捨て台詞を貰って、無事解放されました。


こんなことが続くと泣きたくなります。


それでも嬉しい事もありました。

遊び友達がいない時でも外に出て夕方まで帰ってきません。ある時私と二人で出掛けて、工事現場の前を通ります。


すると車の出入り口に居る警備員さんが

「よう!僕、今日はお母さんと一緒?」と声を掛けられビックリします。

息子は嬉しそうに「うん」とうなずくだけ。

私は訳が分かりませんが

「息子がお邪魔している様で、有り難うございます」と挨拶すると

「いやいや、僕ちゃんが話し掛けてくれるんです」と仰います。


一人で遊びに出て、どうすれば警備員のおじさんと仲良くなるのか不思議です。


また団地の植木を剪定するため、何日間か造園業者の人達が入ります。

それを息子がよく眺めていたのでしょう。


剪定していた木に、丸々とした青虫がいたので、小さな枝ごと息子に渡して貰ったようです。

それを家に持って帰ってきたので、これまたビックリ!

慌てて、虫かごに入れましたが、どう飼育すればいいか分かりません。


ベランダにそのままにしていたのですが、すぐサナギになり、何日目かの朝には、見事な揚羽蝶になっていました!

あれよあれよという間の出来事で、また初めての経験で、家族皆が感激しました。


高学年5・6年生になると、外での派手な立ち回りは無くなります。

その代わり、教科書を一冊無くし教科書販売の書店まで出掛けて買い求めたり、

修学旅行に行けば、持ち帰ったボストンバッグに息子の物でない誰かの服が入っていたり……全く注意散漫で、後始末に親が東奔西走しなければいけません。


男の子👦を育てるのは、体力と大声と肝っ玉が要ります。少々の事で動じない神経は、子供の育ちと共に出来上がっていきます。


女の子と比べれば、泣きたい事のスケールが違います。大きな危険も隣り合わせで、ヒヤヒヤする事ばかりです。


それでも今なら、男の子の子育ては手応えがあった、と思えます。

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