『上流の日本語』言葉と育ち

本郷陽二著『上流の日本語』に書かれていました。


…「この春、とても優秀な女性を確保できたんだ。企画は冴えてるし、行動はテキパキしてるし…でもねぇ、大事なクライアントの前で『そっちのやつは消費者目線で展開した案。こっちのやつは製品の特長をアピールした案です。』

なんて言い出したんだ。冷や汗をかいたよ。言葉づかいにハラハラする。」

品のない言葉を使ったり、敬語を上手に使いこなせなかったりするのは、子供の頃にどんな躾を受けてきたかを示すものとも言えるのです。

「そっちのやつ」などと言っていたのでは、親にも恥をかかせてしまいます。…


……………


場所と人によって、言葉を遣い分けるには、普段から、両親や身近な人の言葉遣いを観察していれば身に着きます。


小さな頃に一緒に出掛けた先での話、玄関先での大人同士の立ち話等を聞いて、子供は学んでいきます。

話す相手が、年配男性とママ友とでは話し方に違いがある事、丁寧なのか、親しみがあるか、馴れ馴れしいのか、子供は親の言葉遣いで嗅ぎ分け社会性を身に付けていきます。

子供にとっては母親が丁寧に話す言葉を聞く方が良いに決まっています。


社会に出て、如何に役に立てる人間になれるかは、突出した能力でもない限り、年上の人にどれだけ可愛がって貰えるかにかかっています。


翻って自分の言葉遣いを思うと、若い頃より結婚してからというもの、子供と夫のお陰で⁉随分乱暴で雑になりました。

それは夫も母も認めるところです。

私の息子は、大丈夫か?💦

娘は…?

今頃「あの人は育ちが悪いな」

と後ろ指さされているかも知れない。

ごめんね…と、今更の後悔です。


この本を読んで思い出した事があります。

息子が中学生の時、初めての携帯電話の申込みに保護者同伴で店に出掛けます。


途中、息子と同じクラスの女生徒に、バッタリ出くわします。

彼女は息子に向かって指さし、思わず「〇〇!」と大声で息子の苗字を叫び、呼び捨てです。

思わず私は「むっ」とします。

…が、すぐ隣に居る私に気付き「……君」と、付け足す様に小さな声でつぶやきます。

「後の祭りですが」と彼女に言いたかった。


後で息子に聞けば「女子も学校では呼び捨てやで。女子は怖い!」と、のたまう。

「女子は怖い」の言葉は、こちらにもじんわり響いてくる様な…。


今ではSNSで、ますます自由奔放に発言できます。

若い人の言葉遣いはタガが外れ易く、習慣化してしまうと、生身の人間関係に影響するのではないかと心配します。


笑い話があります。

新入社員が呼び出し音の鳴る電話を取ります。

「はい、だれ様ですか?」

「…そっちがだれ様だよ!」と受話器の向こうの人に叱られます。

どちら様?…のつもりで尋ねています。


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