親戚がカウンセラー。コペルくんと叔父さん

ベストセラーの本『君はどう生きるか』では

主人公コペルくんが唯一心通わせ悩み相談できる人がいます。お母さんの弟になる叔父さんです。


絵本『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子さんは著書『シズコさん』の中で書かれています。子供の頃に母親から精神的虐待を受けた洋子さんに、安心して身を寄せられる叔母さんがいました。


「やっぱり!」と私は確信します。

心の隅で「我が意を得たり」とほくそ笑む私です。


なぜなら、かねてより子供が成長して大人に近づく程、親の私達を越えて、親族の血を子供達に強く感じていましたから。


姿、形は勿論、好きな物や性格など、体や心を作るあらゆるものが、私や夫を越えた血縁者のパーツで作られています。


まるで過去に生きた人と今を生きる人を、小さなピースにし、シャッフルし、適当にまた組み合わせて作り上げた作品の様です。


血が引き合う、血はあらがえない、と言うのでしょうか。血縁は不思議。


まして、子供が男子なら、なお更、父方の魂と縁は濃いものがあろうと思うのです。

男系男子が受け継いでいくY染色体があると言います。


事実、私の息子は、父親の兄である伯父やいとこには、臆することなく話し掛け、冗談を言い、挙げ句、伯父の気に障る言葉を言ってみたり…、

母親の私からすれば、冷や汗ものの離れわざを、難なく、やってのけます。


言われる側の伯父達も、まんざらでも無さそうな様子。

同じY染色体を持つ血縁者の男同士、許しあえる物があるのかしら、と考えてしまいます。

また息子は高校生でバイクの免許をこっそり取得、大学生になると大型バイクをローンで買って乗り回していました。夫は驚きますが、私が高校生の時に亡くした父が、やはりバイクに乗っていたことを思っていました。


私が子供の頃、学校では遊び友達が一人いれば十分で、その子が休むと身の置き場に困ったものです。グループを作ってワイワイ楽しそうにしているクラスの人達が羨ましかった。


何でこんな性格なんだろうと自分が嫌でした。


社会人になってから、亡父の法事のため、田舎に帰ると父方の親族に会うことがありました。父は四人兄弟の末っ子で、お兄さん達がいます。


滅多に会うことがない伯父、伯母達ですが、彼等がかもし出す雰囲気、話しぶりに違和感なく惹き付けられ、私はすんなり話し掛けていたのです。不思議でした。


こういう事が血筋というものか…と、やけに大げさに思ったものです。


この地で両親が暮らしていたなら、親戚の人達と接していて、私は性格に悩まず、安心して生活していたかもしれません。


…とすると、以外と“引きこもり”や“いじめ”も、いとこやおじ、おばが良いカウンセラーになるのかもしれない、と思ったものです。


そこへベストセラー本の主人公コペルくんと叔父さんが話題になります。

親族の中には、きっと心通わせ信頼を寄せられる人がいるに違いない、と確信します。


しかし現実をみれば、生まれ育った土地に根付いて生きる時代ではなくなりました。親族が近所に住む生活ができる人は少ないでしょう。心許して話せる人はいません。


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