第5話 他のアルカナと接触
橘亨は目を閉じていた。
それは、与えられた現実から、あの黒いスマホからの逃避のようだった。
理由もわからず、亨はこの部屋に監禁され、スマホから脱出できる情報が得られると思っていた。
だが、実際はどうだ?
確かに情報は得られた。
だが。
戦車のアルカナの所有者、長々と綴られた文章・・・そして。
「ふざけるなよ」
クリア条件の文章が亨の脳裏を過ぎり、苛立たせた。
亨がクリアするためには、
最低でも1人、人を殺さなければならないということだった。
女王のアルカナ、もしくは世界のアルカナの所有者のどちらか一人を・・・
不意に扉から冷たい金属音が聞こえる。
それに反応するように亨はベッドから起き上がった。
ゆっくりと、木製の扉が誘うように開きいていく。
扉の先には灯のない闇が広がっていた。
亨はベッドの上に座り、扉の先、闇を見つめていた。
自分はこれからどうすべきか、そんなことを考えていた。
部屋から出るということは、少なからず、同意するということだ。
例え、スマホに記載された情報が嘘であったとしても部屋から出るということは、
その意図に乗っかるということだ。
亨は立ち上がり、床に落ちたスマホを広い扉へと向かった。
答えは自分の中で出ていない。
だが、今の自分にはこの部屋から出るしかない、それしか選択肢はないと自分自身に言い聞かせて・・・
灯のない暗い廊下、スマホの明かりを頼りに進んでいく。
すると、亨の前に扉があった。
亨は躊躇することなく、扉を開く。
扉の隙間から眩しい光が漏れ、亨の顔を歪ませる。
そして、数人の視線が亨を見つめた。
世界は存在しない 志垣義泰 @shigaki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。世界は存在しないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます