妹の場合。

全部知ってた。きっとこうなるんだと思ってた。でも良かった。とりあえず良かった。私の大事な人は私が守るんだ。

お姉ちゃんの恋心を知ったのは、私が風邪をひいて寝込んでいる時だった。

付き合い始めた彼がかけていた電話の内容が、私の耳に届いたのだ。

彼は言った。もう限界だと。

彼は言った。でもいい、あの人の髪の毛に触れたんだと。その時わかった。彼の目的は、あの人だったんだって。

「おめでとう。」

その言葉に反応する彼に纏う空気に、私の神経は鋭く反応した。

「ありがとうございます、お姉さん。」その言葉を言われる前に、先に私がこの人に言った。

「ありがとう、お姉ちゃん。」

ごめんね、お姉ちゃん。彼はね、私のものになったんだよ。

ほんとに、ごめんね。

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重なる。 anringo @anringo092

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