異世界幻想は何故斯くも筆が進むか

 こんにちは、筆者です。

 今回も前回に引き続き、ファンタジー絡みで参りたいと思います。


 議題は「なぜファンタジーは書きやすいのか」

 (飽くまで昨秋なろうデビューしたばかりのぺーぺーの所感ですのでご笑覧程度に)




 筆者が実際にファンタジーものを書いてみて(結局「何故需要があるのか」は全く分かりませんでしたが)どうやら「書きやすいぞこれは」という私感だけは抱きましたもので、徒然と書かせて頂きます。


 何事も物は試しと申しますか。ネガティブな癖に「先ずやってみるか」と思うのが筆者の性でして「震災後の福島の状況が分からない」→「よし、現地へ仕事に行こう」「いい年こいて女の子遊びをした事が無い」→「よし、水商売やってみよう」などと、さながら清水の舞台から颯爽とスーサイドする趣で人生を渡り歩いて参りました。


「皆がすなるファンタジーといふものも、我もしてみむ」というのも、察するにその一環で、前述の通り諸々の不純な動機に基いて筆を取って見た訳であります。――とまあその結果ですが。




「ファンタジー……書ける、書けるぞ(おまけにアクセスあるぞ)」

 ファーストコンタクトは正にそんな具合でした。


 筆者は(作品名を出すと宣伝になりますので控えますが)「現代アクション」「異能バトル」「ファンタジー」の三作品を、カクヨム&なろうにて連載しています。


 ファンタジーに着手する前は、前者の二作品しか書いていなかった訳ですが、ビュー数も評価も振るわないまま「やっぱり俺、小説書いても駄目なのかなぁ」などと思い悩む日々が続いていました。


 ところが年末。思いついた様にファンタジーを書いてみた所、ビュー数が激増。それまで二十ブクマすら届かなかった筆者の作品が、始めて五十ブックマークの大台(筆者の中ではこれで大台)を突破するに至ったのです。


 正直文章も設定も前二作品に比べ圧倒的に雑で、自分でも何故読まれているのかがさっぱり分かりません。ただ書いていて「ああ楽だ。楽だし反応あるしちょっと楽しいかも」などと思い始めた事は事実でした。


 この「楽」という感覚は非常に大事なものだと筆者は考え、――というのも、多くの書き手は学業や本業の合間を縫って小説を執筆している訳で、楽でなければコンスタントには続けられないだろうと推し量った為です。 


 ですので「何故書いていて楽だったか」という点について、比較的真面目に考察してみました。もしかすると、ここに書き手にとってのファンタジー隆盛の鍵が隠されているのかも知れません。




「下調べが要らない」

 ――まぁ、これに尽きました。

 

 例えば現代アクションであれば、背景となった歴史、時代背景、登場する武器や時事ネタについて、綿密に描写しようとすればするほど、膨大な資料を漁る羽目になります。


 そしてこの「下調べ」は他の分野でも確実に必要で、歴史ものなら扱う時代の歴史について、SFならば設定を納得させるだけの科学的知識について、ミステリならノックスの十戒から既出のトリックに至るまでのお約束について、現代ドラマなら流行りのバラエティやブランドについて、まぁ何がしか努力の伴う資料収集が不可欠となる訳です。


 一方ファンタジーはと考えると。これらの下調べがほぼ全くといって不要。筆者が気を配るべくはせいぜい各登場人物のアイデンティティぐらいなもので、だから楽だったのだなと振り返って感じました。


 


 先ず面倒な事は適当に「魔法」で片が付き、容貌やキャラクターの説明も、テンプレラノベのお約束に則った記号によって解決が出来ます(ツンデレ・処女・なのにラッキースケベetc...)


 さらにこれが「転生モノ」ともなると、日常生活で説明がつく範囲のものは、そのまま「イタリアの様な」「学生鞄ぐらいの」「セーラー服に似た」などと、語彙や設定を流用してのざっくばらんな説明が可能です。


 劇中に「魔法学園」なんてものが登場するとすれば、義務教育課程で誰しもが通ってきた「学校」という説明不要要素が追加される訳ですから、話を進めるのはさらに楽なものになる事でしょう。


 途中で筆者も「そうか、転生や学園の要素を取り入れればもっと楽だったか」と気づいた次第ではありますが、成る程。これならば兼業でも筆を進めるのは至難ではないなと改めて得心しました。


(ちなみに現代アクションを執筆していた折は、直接的な参考文献でも二十冊以上を最初の数万字の為に要しており、おまけに反応も無いとあって血反吐を吐きそうな思いでした)




 ただ書きやすさについては筆者も納得したものの、だからと言って読みたい派では無い為に、供給に対する需要の多さについてまでは推量すら出来ませんでした。


(筆者の好きな作家は天童荒太先生など、読んでいて胸を抉られる様に辛い、

或いは考えさせられる傾向のものが多く、清涼飲料水感覚で読み終えられる、いわば毒にも薬にもならない、ゆえにすぐに忘れてしまう様な作品はそれほど好かないのです)




 拙文を読んで下さっている方の中には、様々なジャンルの内容を描いておられる方も多かろうと思いますが、実際はいかがでしょうか。


 勿論ウェブ小説は市販のそれと違い、丁寧な描写よりも勢いや爆発力が人気の切欠となるケースも多いですから、ファンタジーじゃないからと言ってこの傾向が当てはまる訳でもありませんし、ファンタジーだからと言って全てが全て下調べが不要だと言っている訳でもありません。


 ただまぁ初めて小説をお書きになるのであれば「転生・学園・ファンタジー」辺りから始めておいたら割と楽で無難なんじゃあないかと。筆者は筆者なりに思った所存です。素人の、世迷い言と、軽く、受け流して、頂ければ、幸甚です。




 ……ちなみにカクヨムで「アクセスねえっス」と思っていた拙作のファンタジーですが。キャッチコピー変えたらアクセスが増えたっス。マイガッ。


 反応あると書こうって思っちゃいますよね。

 反応大事ですよね……反応……


 それではまた。

 異世界、気楽な、いい世界。

 

 かしこ。

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