ランキングを斯くヨム(1:ファンタジー)

 おはようございます。筆者です。

 最近は花粉が酷くて、日によっては視界すらぼやける始末。

 今朝は幾分か調子がよく、それで読む側の作業に回ってみた次第です。


 一作目は、ファンタジー部門で一位に浮上した「異世界取材記〜ライトノベルができるまで〜」

 一読してああ、こういう切り口があるんだなぁという目からウロコ状態でした。


 現実世界からの旅行者(取材)という設定ですから、転生を経ずにこちら側の世界で喩えても問題が無く、取材の為の転戦の結果、おのずと歴戦の兵士並みの力を手にしている。独創的でありながら、ファンタジーものとして矛盾が無い。




 実は筆者も「ランキング作品を見て勉強するか」と思い、なろうの上位作品に何度か挑んだことがあるのです。あるのですが……人には文章の好き嫌いというものがありまして、筆者の場合は軒並みグロッキー。最初の数行でブラウザバックという挫折を繰り返していました。


 それ以前も「せめて人気作ぐらいは抑えておこう」と、諸々のラノベ作品の、アニメ視聴にチャレンジした事もあります。

 

 しかし、某作は一話目こそ「おお、なんかアヴァロン(押井守)とかそれっぽいぞ」と興奮して見始めたものの、徐々に「えーと、今週の◯◯◯さんTUEEEEEはー」といった具合に流し見になり、他の原作アニメにしても、冒頭で最弱を自称するチート主人公にヒロインが負け、ラッキースケベに遭遇する辺りで膝をつくという、精神の脆弱ぶりを見せ続けてきた軟弱者です。


 そんな風にファンタジーから目を背け続けてきた筆者ですが、なろうで活動を始め、遂にある現実を突きつけられる事になったのです。




 ――ファンタジーじゃないと「ウケない」どころか「応募すら」できねえ。

 



 実は筆者はこの頃、文学フリマなるイベントにデビューを果たした直後で、そちらでもある現実を突きつけられていました。


 それは余りに無名、且つコネ(知り合い)も居なさすぎて、ろくにブースに人が立ち寄ってくれない、という結構キツい現実です。


 周りを見ればどうやら殆どは旧知の中。大学の文芸サークルや、プロの作家のアンソロジー。それらの混在した密接な人間関係。

 

 積極的に挨拶し合い、或いは献本し、互いに購入し……ですが筆者にはそれをやらなければという感情も、やりたいという意識も無く、つまりは別の方法で集客する手段を考えねばならなくなったのです。




――そうだ。ならば賞を取るか、審査を通るかして文筆家としての知名度を上げればいいじゃないか。



 

 ここで「ファンタジーじゃないと、応募できない」という先刻の問いに話は戻る訳です。


 自分のブースに来て、筆者が本当に書きたかった物語を手にとって欲しい。

 ↓

 集客の為には審査通過、または入賞の経歴が必要だ。

 ↓

 なろうからはファンタジーしか応募できない。

 ↓

 ならファンタジーを書こう。


 何かネジが飛んでいる気もしますが、図示すれば至ってシンプルな流れです。



 

 しかし冷静に机に向かってみると、やはり難しい。

 と言うのも、当時の筆者は完全に固定観念に囚われていて、ラノベのファンタジーには「転生・転移・チート・ハーレム・ラッキースケベ」は必須だと信じきっていたのです。


 転移転生は本当に嫌だったので省きつつ、最初からチートも詰まらないと除外。ところが残った要素をはめ込んだテンプレ主人公を作った時、当然の自問が。


「なんでこんな草食で金も力も無い優柔不断な男が、ハーレムを作れるんだ?いやもうヤリチンのリア充に寝取られて終わるだろ普通」


 身も蓋もねーです。そもそもこういう問いかけをする人間がテンプレを書こうとしちゃいけない。いけなかった結果どうなったかと言うと。


 主人公のラッキーハーレムが、外道勇者に寝取られる所から始まる、まさかのNTRものになってしまいました。さらになった結果どうなったかと言うと。


「寝取られは胸糞です」

「他所でやってください」


 これはなろうの感想の抜粋ですが、要は筆者は、初っ端から地雷要素を踏み抜いてしまった訳です。


 そりゃそうですよ!!!

 一層に処女信仰の強い、それでいてテンプレ展開に何の懐疑も抱かない人々が読者の多数を占めるコミュニティにあって、その真逆の行為を看板に持ってきてしまった訳ですから。


 無論知人からも♂「なぜなろうで寝取られを看板にした」♀「いや、寝取られは需要ないと思いますよ」と指摘される始末。……筆者の愚昧さが如実に見て取れますね……

 



 とまぁかくなる次第で、書くからにはきちんと事前に取材したしらべをして、何がウケていて、何が下火で、何が地雷で、じゃあ次は何がウケそうなのかまでは導いておきましょうぜと。正に取材がテーマで我が身を省みたお話です。


 いえいえ。こういうなろうでは上位に無いであろう作品に出会えるだけでも、カクヨムを始めて良かったなぁと思いますねぇ。


 それではまた。

 かしこ。

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