古代出雲の国、武王と称えられる出雲王・穴持(ナムジ)に輿入れした須佐乃男(スサノオ)の娘・須勢理(スセリ)だったが、王には既に多くの妃がいた。物のように扱われることに反発する須勢理だが、やがて穴持に魅かれていることを自覚していく。戦いのなかで育まれる、古代日本ラブストーリー。
地元民でありますし、毎年、出雲〜土井ヶ浜〜安芸〜吉備地方を散策する考古学ファンとして、楽しく拝読しました。出雲、意宇、石見といった地名や、巻向、安曇、伊邪那の登場も興味深かったです。天孫系神話でなく、古事記がモチーフなところも、民俗好きには嬉しいです。
須佐乃男の娘・須勢理姫が、勝気で勇ましく、嫉妬したり反発したりしながら穴持に魅かれていく過程が、とても可愛らしかったです(大穴持は、本当に、古代一のプレイボーイですからね)。