第1章 始まり
第2話 刑事の朝
ロバート・ウォズニアック警部補の朝は、ある夢で目覚めるここ最近は、そればかり……。
彼はベッドから起き上がる。彼の目覚めにシャロンは、寝ぼけながら心配した。
「どうしたの? ロバート、大丈夫?」
彼は、額を左手で押さえて、シャロンの心配に応えた。
「ああ、大丈夫だ。畜生。せっかくの非番なのに、もうちょっと寝たかったよ」
自室のクローゼットからシャツとジーパンを取出してロバートは着替える。どこか疲れが取れないこともあって、服の袖に、腕が引っ掛かったりする。
シャロンもベッドから起きてキッチンに向かい、家庭用ロボットに朝食の準備を命令した。
ロバートは、リビングのソファーに座る。
「ニュース」
するとリビングの液晶モニターが映像を流し始めた。映像はニュース。
『ロブ様。新聞です』
「ああ、ご苦労さん」
家庭用アンドロイドから新聞を渡され、新聞の一面を見た。
着替えた彼女が、マグカップに入った温かいコーヒーを持ち、テーブルの上に優しく置いた。
「ありがとう」
彼はそれを取りながらコーヒーを口にそそぐ。
新聞の記事に書かれているのは、2035年における2足歩行ロボットの完全軍事導入について。
ロブは関心をあまり持つ事もなく、並べられたアルファベットを読んでいく。
「ねぇねぇ。旅行でも行かない?」
「いいね。どこに行く?」
「そうねー。日本とかどうかしら?」
シャロンは少し期待の眼でこちらを見つめているが、ロブはあまり、好まし区はなかった。
旅行は好かない。特に彼にとって飛行機が嫌だった。
「わ、悪くないね。仕事がなければいこう」
「そう言って、またあなた、いつもいつも仕事って……」
「そうだったな……わかった。近々、休暇申請しておくよ。それでいこう」
新聞越しでそう応答すると、遠隔映像フォンからコールがかかる。それは、ロバートの上司で、カナン・スタンパーからだった。
「ロブ《ロバートの職場での呼び名》! ロブいるか? いるなら返事を……」
映像から、眼鏡を掛けた黒人男性が彼の名を呼んだ。それに対してロブは応答する。
「いますよ~警部。何ですか? 非番の時ぐらいこれを読ませてくださいよ」
「そんな事はどうでもいい。ロブ、急いで現場に来てくれ! 応援が必要になった」
「コロシなら新人に頼めばいいでしょう? それにジャックだって休暇から戻ってるはずですよ~」
スタンパーは頭をかきながら、ロバートを抵抗に応える。
「ああ、知ってるともだが、そうはいかん。警官の数が足りてない来てくれ。死体が発見された。もう現場で調べが始まってる! マップを転送したからな! 頼むぞ」
スタンパーは通話を切った。
「ったく……人使いが荒すぎる」
雑誌を横に置き、ロバートは嫌々ながら映像フォンから転送されたマップを確認した。マップが示した場所は、国立首都工科大学……6年前に自分の身に降りかかった事故で、救われ、それから恩人として慕っている人間が教鞭に立っている大学だった。
さっきの気だるげの態度が一瞬にして、吹き飛び、焦燥と最悪の事態が脳裏に浮かび始めていた。
彼は急いで、自分の部屋に戻って、捜査官として必要なものを準備ししっかりとした身だしなみへと変えていく。
シャロンは慌てている夫を落ち着かせる。
「ちょっと、今日は非番じゃなかったの!?」
彼女の表情をじっくり観察する事なくロバートは、服を着替え、拳銃ホルスター付きのサスペンダーとベルトを付けて、それぞれに銃を収めた。
「工科大学で殺人が起きた。すまない」
そう言いながら、彼は、背中に大きく蛍光色でPOLICEと表記されたジャケットを着ける。
「また仕事なのね」
「ああ。その……。今日の夜、ディナーにいこう! 必ず」
無表情かつ無言でロブの表情を見つめる妻の態度に、ロブは内心の自分が崖に追い詰められそうになっていた。
「……約束よ。気を付けていってね」
「ああ」
ロバートはシャロンの頬にキスをしてから家を出て、ガレージに置いてあった。スピーダーバイクに乗って、大学へと向かった。バイクのマップ表示モニターに《イグザム》と入力する。
するとバイクのモニターからマップ情報を表示した。それと付随するように機械音声情報でロバートに伝える。
『国立工科大学イグザムまで10㎞です。ここからだとおよそ15分の距離です』
彼は情報に従いながら、工科大学までバイクに乗った。
刑事ロブ ー私は改造人間ー 桐稲 鷹彦 @winters_tree
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