刑事ロブ ー私は改造人間ー
桐稲 鷹彦
第1話 プロローグ
―― 2035年 国立工科大学イグザム 午前0時 8階、研究室――
「私に何か用かね? ロックウッド」
研究室に置かれたソファーに工科大学教授のジウ・スプートニックが座って資料を読んでいる。
対面側には、マシュー・ロックウッドという若い男が座っている。会社員の様な姿をしている彼にジウは、少し怪訝そうな表情をしている。
「ええ」
ジウは資料をテーブルに置き、着けていた老眼鏡を白衣の胸ポケットに入れた。
彼は、ゆっくりと口を開いた。
「アーノルドの件です」
対面側にいるジウはそれの話を耳にして、表情が変わった。
「その話は以前もしたはずだが……?」
「どうしても中止していただきたい」
「悪いが、できない事だ。君にはすまないが、この話はこれで終わりだ。帰ってくれ」
ジウはソファーから立ち上がり、研究室の窓を見つめている。
「そうですか」
「すまんね。ここまでだよ」
ジウの口から出た言葉を耳に流し、ロックウッドは席を立ち上がり、スーツから1丁拳銃を取り出し、銃口に消音器を取り付けてジウに構えた。
「それは……」
彼の行動を目にしたジウは口から出ようとした言葉が止まる。
「残念」
衰えた体に、ロックウッドが構えた拳銃の銃口から放たれる銀色の弾丸が貫いていた。激痛の衝撃は老人の体に悲鳴を上げさせる事無く、一瞬にしてジウの目に映る像を真っ暗にした。
白衣の数か所に黒い穴ができ、口から赤く血が流れ出始めている。
彼はジウの息がない事を近づいて確認し、拳銃を片付けた。
「まずは1人目」
ロックウッドは深く息をのみ、憐れんだ表情で朽ち果てたジウを見た。
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