一人称を使いグロテスクな部分もあるのだが、巧みな筆の力なのか、第一に哀れさが迫る。咎のない人ですら己の物差しにあてはめて、その飛び出した、または曲がったと見える頭を「汚れたカナヅチ」で叩き潰し平らに埋めていく、という人間心理の恐ろしさが、まさにホラー。生きている人間がやはり、一番恐ろしい。
カナヅチっていうアイテム自体が既にコワイです。
怖いのに、夜一人でトイレに行けなくなることはないという、新種の恐怖かもしれない。なつのさんは、明朗快活なイメージの方でしたが、これを読むと怒らせたら怖いというイメージに変わりましたね(こらいや、しかし女性の書くホラーというのは本当に怖い。心の奥底をえぐっておいて、からっとした結末に持っていく――このドライさも怖い。おすすめです。
汚れた + カナヅチ何で汚れてるんや?カナヅチってそれ痛いやんタイトルからすでに嫌な感じの二重奏。内容は読んでどうぞ。短編ですから。某投稿サイト夏のホラー企画で最も恐かった作品。