第118話 揚げ物論争

 先程、モーニングショーをチラ見していたら、妻が揚げ物を家でするのが嫌だ、けれど夫は作ってほしい。

 というような事がやっていた。


 揚げ物は部屋が汚れる上に、後片付けが大変なので家でやりたくない妻が多いらしい。


 1人の女性コメンテーターは、夫が作ってくれても不満足のようだった。

 後片付けや部屋の汚れが気に入らないのだろう。


「揚げ物は外で買って来ればいい」


 と言っていた。


 私はそれに同意出来ない。


 家で揚げ物、バンバンやりたい方なので。


 後片付けは父がしてくれるが、そうでなかった頃も私はそれに関しては面倒臭さは感じた事が無い。


 夫に美味しい揚げ物食べさせたい>揚げ物調理の面倒


 が私の思いなので、夫に食べさせたい気持ちの方が勝るのだ。


 揚げ物だけではない。

 料理は夫に喜んでもらうためのツールなので、手間ぐらいで夫が喜ぶなら喜んでかける。


 手間をかけたからと言って、喜ぶとは限らないのも分かっているので


「こんなにも手間をかけて作ってやったんだから、ありがたく食べろ」


 的な思いも無い。


 これならどうかな?

 こうしたら喜ぶかな?

 あれ好きだったから、これも好きかな?


 などと夫が美味しいと思ってくれるために努力するのは私の楽しみなので苦では無い。


 ここで私は「喜び」ではなくあえて「楽しみ」と書いた。


 それは私は夫が好きだし喜ばせたいが、教祖様を崇めるように夫に仕えているわけではなく、あくまで好きな異性を喜ばせたいという「ルンルン」な思いだという事を読者にもそして自分にも思い出させるためだ。


 ちょっと脱線したが、揚げ物論争が起こる理由は、そもそも妻に夫に対する「ルンルン」が無いからこそ起こる事なのでは無いかと考える。


 10代の時に付き合っていて、お弁当でも作ってあげるとなったら、唐揚げのために揚げ物ぐらいするのではないだろうか。

「ルンルン」の気持ちのもとに。


 番組内で、アナウンサー女性は、子どもには作ってあげたい。

 などと言ってた。


 けれど夫にはその思いがなくなったからこそ、揚げ物の大変さと夫への気持ちが天秤にかけられ、夫が負ける。


 そのために家庭での揚げ物は減っていくのも、一つの理由としてあるのではないだろうか。



 ちなみに、作ってくれる妻を労う言葉をかけてはどうだろうかという男性の意見に対して


「そんな精神論はいらない」


 と女性コメンテーターは言っていた。


 その方は「前提として私は料理好きです」と言っていたが、だとしたら夫への「ルンルン」は消えているのだろうと勝手に推測してしまったのだった。

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