第二章
忠告
アルフォンスが来たのは、火の国〖レッドフォーリア〗の象徴である王城。
門番である二人の騎士たちが突如として現れた少年に驚きを隠せずにいる。
「誰だ、お前」
「誰だと思う?」
質問を質問で返すアルフォンスに騎士たちが眉を顰めた。
「そんな怖い顔しないでよ。ボクは忠告をしに来ただけなんだ」
「忠告だと……?」
少年は笑みを浮かべながら頷く。
「――今夜、闇が襲来する」
片方の騎士が息をのんだのがわかった。
だがもう一人のほうは呆れたようにため息をつく。
「まぁ、信じるか信じないかはキミたちの自由だけど、王様には伝えておいたほうがいい思うよ」
そう言って、アルフォンスは騎士たちに背を向けた。
「そうじゃないと、キミたち――
――――死んじゃうよ?」
僅かに見えたその表情は変わらず笑みを浮かべてはいるものの、それは感情が一切読み取れず、それがより恐怖を感じさせる。
「もし……もし、それが本当だとして。……どうしてそれをお前が知っている? ……どうしてそれを、俺たちに教える……?」
そう問う騎士にアルフォンスは答えることなく、その場を去ろうと足を進めた。
だが。
「おい、よせって。あんなのデマに決まってんだろうが。闇は全滅したって――」
「お前、知らねぇのかよ。本当はたった一人だけ生き残ってるって話。……その一人があの悪魔って」
「そんなのただの噂――」
「――――本当だよ」
騎士たちの会話を遮るようにしてアルフォンスは言う。
「お前、何言って――」
「――本当にいるよ、悪魔は」
足を止め騎士たちの方を向いて、再度言い放った。
「それに、その噂いつの? 闇が全滅したことなんてないし、今も一人とは限らない」
「それはどういう――」
「それくらい、自分で考えて」
吐き捨てるようにそう言い再び背を向けた彼に、一人の騎士が問いかけた。
「お前、何者なんだよ……」
「ボク……? ボクはね――」
そこで一度言葉を切った少年は顔を少し騎士の方に向け、そして言う。
「――――復讐者。
この世界を恨み、憎む者」
その声は先ほどのおどけた口調とは違う、殺意が感じられるものだった。
彼は一瞬騎士たちを見、そして姿を消す。
――――その眼は、人間ではない何か。
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