海賊寓話

作者 面屋サキチ

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★★★ Excellent!!!

パイプの煙と強い酒、安っぽい娼婦の白粉の匂いに満ちた掃き溜めの酒場でたまたま居合わせた酔っぱらいに肩を叩かれた。

「お前、見ねぇ顔だな駆け出しか?」

ごわごわの髪に潮風に荒れた肌、よれよれの薄汚れた服を着た初老の男は金歯の光るピアノの鍵盤のように抜けた歯並びを見せて笑った。
酒臭い息が顔にかかり思わず仰け反る。

あしらおうとすると、男は私の足元のトランクを抜け目なく見つけ尚も言った。

「旅行者かい。良い服を着てなさる」

木の棒切れだけの義足を引きずって隣の席に座り込まれてしまった。

「海には気を付けるこった。丘の荒くれより恐ろしいもんが彷徨いてまさぁ」

なにかを狙っている時の、こ狡そうに目を光らせるネズミのようだ。

「あんたになら特別に話してやっても良い。俺のように足を無くす前に聞いておくべきだと思うね」

どうにも離れていきそうもない。諦めの混じった境地で耳を貸す。
男はしたり顔で声を潜めた。

「取って置きの話だ。……だがまぁ、その前に口が乾いてたんじゃ喋れねぇ。その……少し喉を潤したいんだがね」

酒代と引き換えに聞いた海賊の話。

物語を読んでいる間、そんな場面がパッと頭に浮かぶような雰囲気のある『冒険』と『興奮』と『危険』が入り交じった海賊の話。

読んでみませんか?