第三幕『危機』

「マジか!じゃあこのまま行ったら」

「金曜のカレーの日にはみんなようさん食いよるから食料が足りん。カレーが作れん!」

「困る!凄く困る!」


 僕は今度こそナンでカレーを食べると決めていたのに!


「ジョン、カレーを作るのに何が足りねぇんだ」


「カレーは出来んでもないが、具材になるもんが少なすぎや。こないだ船長が竜になった時にようさん食ったけぇ、出汁の取れるもんが不足してんねん」


 先日の海神からの依頼の件だ。あの時のラースは一人で五人前の食事をしていたし、宝探しの際に余計な滞在期間が増えた事も食料が不足した原因だろう。


「カレーの日をやめにして質素生活していきゃ、何とか次の港まではもつんやろが、なんせ金曜が潰れるとなっちゃあ士気に関わんら?」

「幽霊船みたいになっちまうな、確かに」


 僕は本棚にあったこの海域の地図を手に取って、机の上に広げていた。船に乗ってからこちら、銃砲類の管理の傍ら海図の読み方や航路の取り方を少しだが覚えた。


「此処だ。今からの航路なら……この辺りの無人島だろうけど、探索できないか?」

「その海域か……そこら辺なら暖流かなんかが流れてて魚も多そうだな。寄り道するならこの辺りが良さそうだな……」


 海図を見ながらラースも真剣な顔で航路を考えているようだ。


「よし、航路変更だ!」


 こうして僕らは航海途中で、とある無人島に立ち寄った。そこであんな出来事に巻き込まれるとは思っても見なかった!

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