第二幕『嗜好』

「ようメーヴォ、横座るぜ」


 カタンと皿を置いて、ラースが横の席に座った。


「どうした」

「たまには横で飯もいいかなぁって」


 ラースの皿にはナンが乗っていて、スープ皿にカレーが乗っていた。


「なあラース。そのパンって美味しいか?」

「食べたことねぇの?」

「この白米が結構美味しくて、そっちにはまだ手を出してないんだ」

「勿体ねぇ!そっちの半分寄越せよ。こっちの半分くれてやっから」

「そんなに美味しいか?」

「絶対ハマる」


 結局二人でカレーの具材は何が良いかとか話しながら食事をした。半分もらったナンはモチモチしつつも、焼き目のついたところがサクサクしていて香ばしくて、凄く美味しかった。来週の金曜は絶対にナンを食べよう。


 と、思った翌週の水曜日。翌々日にカレーの日を控えていたジョンが船長室を訪れた。たまたまラースに用があった僕はその報告を横で聞いていた。


「アカン船長。食料が足りへん。特に肉魚介類が足りん」

 スァッと僕とラースの血の気が引くような音を聞いた気がした。

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