第十幕『思わぬ再会』
「そう言えば、ドレスを着るのに女の体型はどう作るんです?」
「別に、見えない所なんだし、布でも何でも詰めておけばいいのよ」
「そう言うものですか……」
「で、ドレスはどれが良いかしらね!」
ずらりと並べられたドレスを眺めながら、ダニエルはウキウキと言った具合に選別を始める。
「パンプスが青だし、この青のドレスはどう?」
「……ああ、綺麗な色のドレスで」
はい、と渡されたドレスを腕の中で持て余していた所で、ドレスの中についていたタグに目を取られた。
「……ダニエルさん、あの、このドレスにします」
「あら、良いのそれで?」
「ええ、まあ」
そのタグには『Paradise Peacock』と言うブランド名と孔雀が描かれていた。
「ああ、パラダイスピーコックのドレスなら丈夫だし、万が一走り回ったりする事になっても平気でしょ」
此処のブランド知ってるの?と聞かれて、ええ、と生返事で返した。
忌々しい血の繋がり、こんな所にまで来てお前と出会うとはな、僕の大事なパーヴォ。
『妹君の、ドレスでございますか?』
『……ああ、あの子の作った物なら、信用出来る』
「ピーコックのドレスで良いなら、実はまだまだあるから!色々試して見ましょうよぉ」
追加で盛大に開けられたチェストの中一杯のドレスをひっくり返され、僕はそのドレスの山に埋もれてしまった。
その後の僕はすっかり着せかえ人形だ。ええい、全ては赤石の為!
『あるじ様はお美しい方ですから、きっと何でもお似合いになられますぞ!』
『慰めになってない!』
相変わらず左耳の上に陣取る鉄鳥の励ましにため息を吐いて、ダニエルの言うままに僕はドレスの試着と体型の誤魔化し方を模索した。
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