シベリア鉄道の夜に

作者 川和真之

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★★★ Excellent!!!

失恋の悲しみを拭い去りたくて、ひとりシベリア鉄道の旅に出た大学生の主人公と、彼と同じ部屋になった三人とが織りなす人間ドラマ。

主人公の一人称視点で語られる物語は、失恋旅行という背景に極寒の北の大地ということも相まって薄暗く切ない雰囲気を醸し出しています。それが良いのですけどね。

同じ部屋になった三人にもそれぞれドラマがあり、人間同士のままならないすれ違いや気持ちの押し付けだとか、決して順調とは言えない旅が続きます。
が、そんな中で、相部屋となった人間の一人で年上の美しい女性ユカリと少しずつ心を通わせる事により、主人公の心に影響を与えていきます。

物語の長さもちょうどよく、文章も飾りすぎず地味すぎずで読みやすいです。
シベリア鉄道の旅が行き着く先を是非皆さんもご覧いただければと思います。

★★★ Excellent!!!

この作品が問いたかったものは何なのだろう。
人の美しさなのか、醜さなのか。恋なのか、善意なのか。
曖昧な境界線上で重なった部分が溶け合っている。答えも何もないその溶けた部分が、この作品そのものなのかもしれない。
とても不思議な作品。でもその不思議さが、なんだか心地良い。