開いた瞬間から、文章に引き込まれていきました。静かな夜に何度でも読みたくなるようなお話です。言葉の使い方が素敵で、とても勉強になりました。ところどころにある擬音が、全体のもの悲しさをさらに深めているような気がします。オチについては少々予想は付いていたのですが、短編でその部分が気にならないという文章の巧みさに、嫉妬を感じずにはいられませんでした。拝読させて頂き、ありがとうございました。
狐の嫁入りをテーマに、本当に美しい文章が彩ります。淡々とした表現は、侘び寂びを感じさせながら、もう会えない青春の一ページを思わず振り返りたくなるのが、また不思議で。切ないけれど、でも孤独感だけではなくて。そんな不思議な読後感が何とも言えませんでした。
『エス』文学を思わせるような、少女同士の親密で甘やかな思い出の1ページ。しかし彼女の親友は……。夏祭りの夜の空気のような、どこかほんのりと妖しい闇の香りが漂う短編です。