第2話 8月32日

 こうして、8月32日は始まった。

 まず私が実行したのは、眠ることだった。目が覚めたら全てが元通りになると、私は信じていたかったのだ。しかし、目を覚ました後も、8月32日はすぐそこに存在していた。現実は現実のまま。


 学校に行っても誰もいない。それどころか、街を歩いていても、誰一人姿を見せない。どうやら、普通の人は皆9月1日へと向かってしまい、私だけが8月32日、存在しないはずの日付へとたどり着いてしまったようだ。


 結局、何の成果も得られず、私は自宅に帰ってきた。今はまだ水道・電気・ガスが使えるけれど、人が存在しない今となっては、いつまで無事かは分からない。


 明日はどうすればいいのだろう?未来は不確実性で満ちている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

終わる夏、終わらない夏休み 冷泉 小鳥 @reisenkotori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ