終わる夏、終わらない夏休み
冷泉 小鳥
第1話 8月31日
今日、私は日記帳を買った。文房具屋で500円で売られていた、少し古ぼけて埃を被っていた品だった。この日記帳を選んだのは、装飾が私好みの中世風の雰囲気を反映したものだったからだ。
今日はよく晴れた1日だった。明日から学校、という憂鬱な私とは裏腹に、太陽は雲1つない空の上で輝いていた。立ち昇る陽炎。目が眩みそうになりながら、私は何とか自宅へと帰り着いた。
現在の時刻は11時55分。無事宿題も終わり、安心して学校に行ける。もう、夏休みが終わってから夏休みの宿題を終わらせるような綱渡りはしなくてもいい。
私は日付が変わる瞬間をぼんやりと眺めていた。
そして、私の部屋に置かれていたデジタル時計は、無慈悲にも8月32日の到来を告げた。この瞬間から私の見知った日常は終わり、不可思議な概念が紛れ込み始めたのだった……。
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