Act.0006.5:極めるぞ、変態を!
(まったく……大介さんまで、なにが変態仮面だよ……)
神守家からの帰りの夜道。
和真は星を見ながら、帰路についていた。
さんざん変態呼ばわりされた和真は、少し肩を落とす。
(まあ、あんなタイトなスーツ着ている女は、露出狂の変態呼ばわりされても仕方ないのか……。やっぱり、あの上になにか羽織らせてもらいたいな)
コーディネーターであるミチヨに、進言する必要がある。
却下されそうだが……。
「これじゃますます変態と……あれ?」
ふと和真は、
前にもこうして、夜空の下で「変態」について考えたことがある。
(――! そうだ! なぜ、いちずにふられたのか考えた時……俺に足りないものを考えた時だ!)
そう。その時に思ったのだ。
変態大好きっ娘なのだろうと。
そして、自分にその変態性がないから、ふられてしまったのだろうと。
「ということは……変態である今なら、もしかしていちずも……ふりむいてくれるんじゃないか!?」
周りから認められた立派な「変態」である今なら、
そうなれば、いちずももう一度、考え直してくれるかも知れない。
「そうだ! 変態、すばらしいじゃないか! こうなったら、なってやる!」
和真は、夜空の星をつかむように手を伸ばす。
そして、響きわたる声で宣言する。
「極めるぞ、変態を!」
――家に帰って酔いが覚めた時。
和真は、あの時の自分に殺意を覚えたのだった。
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