Act.0046:シチューが冷めていますよ!
和真は、食事が途中から喉を通らなくなっていた。
腹は空いているが、頭がいっぱいすぎて手が動いてくれないのだ。
まず聞いたことは、目の前にいる【東城
この若さで
だが、さらに驚くべきことに、初めて
それなのにもう4機の
しかも、最初に作ったのがレベル50という非常識さだ。
和真にしてみれば、ありえなさ満載である。
もちろん、1ページの記載量の違いもあるが、記載が少なすぎても
だからと言って情報量が多くなれば、構成的な矛盾がでたり、無駄な情報が増えやすくなったり、そもそもイメージするにも多くの情報に対して行わなければいけなくなる。
素人がやれば情報は混乱し、イメージ力も追いつかずに
そうなれば、高額な
それなのに、それを初めてで成功させるというのは考えにくい。
どうやら、このことは銀髪の少女もそのことは知らなかったらしく、しきりに「想定外ね」と呟いていた。
もちろん、和真もなかなか信じられなかったが、双葉とミカが横でまちがいないと太鼓判を押す。
さらに言えば、あの
その証拠にと、なんと長門直筆の色紙を見せられた。
それには、「我が友人、
そこまで来ると、信じないわけにもいかなくなる。
「それで彼をこの工房の
「そうなのだ」
「へーえ」
と、最後に
「へーえって、お前のことだろうが!」
「それが、初耳だったんで……」
「はあぁ~?」
和真は答えを求めるように、いちずを睨む。
彼女は、頭を抱えていた。
「いや、その、これから正式に話す予定だったのだ。今は臨時契約なのでな」
「まだ正式でもないのに、家に住みこませているのか?」
「仕方あるまい。住むところがないのだし、彼にはいわば借金があるようなものだ。多額の収入をいただいている」
「…………」
和真はふと天井を見る。
そこには鏡で反射するように作られた、魔光石の照明が吊してあった。
しかも、リビングだけでなくキッチンにも吊してある。
キッチンに吊すぐらいだから、工房にもあるのだろう。
1つの相場が、100万円ほどする品物だ。
これは
「……おい。東城
「……異世界ですけど」
「……そうか。教えるつもりはないと言うことか。胡散臭い奴め」
和真の中で、すでに
「それで、双葉がいるのはどうしてなんだ?」
「あたしは、ごしゅ……
「……はあぁ~? お前、バカだバカだと思ったけどそこまでか?」
「バカじゃないもん!」
膨れ顔の双葉が、勢いよく立ちあがった。
「あたしは、
「……おまえ、なに言ってんだ?
「そこはご主人様と約束したから平気。
「いや、でも、
「残念でしたー。ここに、もう1人、バカがいるわよ!」
そう言って双葉が指さしたのは、彼女の正面にいるミカだった。
「朏さん……あんたもまさか?」
「ミカと呼んでくれ。拙子は、今までのすべてを捨てて、主殿……
苦笑を見せるミカだが、決して嫌がっているわけではなさそうだ。
最後に
「……まさかと思うが、そっちのお嬢ちゃんもか?」
「お嬢ちゃんではなく、フォーね。フォーは、奴隷ではないね」
和真はそれを聞いて、少しだけ安堵する。
だが、フォーが言葉を続ける。
「しかし、
「え? そうなの?」
と驚いたのは、また
「まあ、ペットでも飼っているつもりでいて欲しいね。ご主人様、主殿……ふむ。フォーは『マスター』と呼ぶね」
「なんでよ。
「けじめね。まあ、ペットでも奴隷でも、自由に扱うといいね」
「あ、そ。……いちずさん、シチューおかわり」
「おかわりじゃねーよ!」
さらっと流す
だが、そこで
「――あなたこそ、なんですか! シチューが冷めていますよ!」
「……え?」
「いいですか。シチューは熱々が美味いんです。おいしいタイミングで呑まないなんて、こんなにおいしいシチューを作ってくれた、いちずさんに申し訳ないと思わないんですか!」
「……あ、え、あ……そ、そうだな……うん。ごめん……」
「さあ。みんなもまずは、シチューを食べよう! ボクも早く食べて、
そう言うと、顔を真っ赤に紅潮させているいちずに、
早く食べ終わりたいくせに、おかわりはきっちりするらしい。
「ご主人様は、こだわる物にはすごい集中したいタイプなんだよね」
「いや、そういう問題かよ……」
和真は納得がいかないものの、とりあえずスプーンを口に運ぶのだった。
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