Act.0025:好きにしてよいよ
「まずは、そちらのご都合も確認せずに訪問したことを謝らせていただきたい」
ミカは深々と頭をさげた。
双葉が去った後、ミカはとりあえず話をすることとなった。
今は、いちずと
「まずは自己紹介をさせていただく。拙子は、名を【
「賞金稼ぎ? 悪い奴、捕まえたりするやつ?」
「それもしかり。だが、基本は
「へー。
「ああ。興業としては、もっともポピュラーで人気があるぞ」
「拙子も、あちらこちらに旅をしながら参加をしておる」
「そうなのか。なら、見学しに行きたいなぁ……。ロボット……
「ああ。それはデザインの参考になって良いかもしれないな、
「よし。なら、行こう!」
いきなり
「落ち着け。今日はもう近くではやっていない。それに目の前の客はどうするんだ。
いちずの説得に、残念そうに世代が浮いていた腰を戻す。
その様子が、ミカには妙におかしかった。
「まるで、二人は夫婦のようだな」
「――なっ!? そ、そんなことはないぞ!」
慌てるいちずの姿で、よけいおかしくなってしまう。
ミカは、いちずとレベルが近いものの、なかなか機会がなく、数回ぐらいしか対戦したことがなかった。
そのため、双葉のように親しく話すこともなく、いちずのことはあまり知らなかったのだ。
しかし、今回のことで、ミカはいちずに好感を持つ。
なにしろ、押しかけてきた自分を受け入れ、いろいろと事情を話してくれたり、
非難するどころか、嫌そうな顔ひとつせずにだ。
それだけで、ミカはたいそう救われた気分になっていた。
「いちず殿。本当に今日は受け入れていただき感謝する。そして、
「つまり、
「うむ。最初は、そのつもりで参った。しかし――」
ミカは、テーブルの上に置いてあった
「しかし、もしよければだが、この
「……え?」
短く驚きの声をだしたのは、
「乗ってもいないのに、それでいいの?」
「いいや。これがよいのだ。このアダラを見た瞬間、拙子の体に何か走った。まさに、運命とも言うべき出会いを感じたのだ!」
ミカは、この
そして、その誘惑はたとえようがないほど甘露だった。
今まで受けたどんな男の誘惑も、足下にもおよばない魅力。
見ているだけで体の芯が痺れる快感さえともない、性的な衝動さえ起こさせる。
こんな気分は、初めてだったのだ。
「運命か……。双葉と同じようなことを」
いちずが静かに笑う。
「どうする、
「どーするもなにも、それはいちずさんにあげたんだから、好きにしてよいよ」
そう言った世代の様子は、自然体だった。
かっこをつけて見栄を張っているという感じは微塵もない。
そのことで、ミカは大いに驚く。
「あ、あげたと申したか?」
「え? ……ああ。あげたと申したよ」
「これだけの
「あげたんだから、当然じゃないの?」
(な、なんと豪気な……)
ミカから見て、
いや。体格などは、すくなくともその通りだろう。
先ほど、双葉に押されて転んだところを見ても、その倒れ方は無様であった。
しかし、その精神の強さは、違うのかもしれない。
金に執着なく、このような宝をすっぱりとゆずる豪快さ。
(そう言えば、先ほど裸を見られた時も、堂々としたものだったな……)
だから、ミカは思った。
彼は、豪胆な
双葉が惚れているようだったが、それもわかる気がしてきていた。
「
「あ、そうなの。蛇というより、
(なんと簡単な! いちず殿の言葉にかけらも腹を立てぬとは!)
そこでまた、彼女は
有名な
パイロットなどは掃いて捨てるほどいるが、
そのためか、どうしても
人によっては、パイロットが意見を言うだけで、もう二度と売らないと言いだす者までいる。
いろいろな旅先で、そういう
(やはり、真にすばらしい
ミカには、
本当は、
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