宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会

 「うわー。すごーい。どういう仕掛けで動いてるんですかぁ? 触ってもいいですぅ? 写メらせてくださいよー。インスタにアップしてもいいですよねぇ?」

 猫もどきと並んでいる林田に向けて俺はきゃっきゃした声で言う。


 今の俺は、俺であって俺ではない。

 俺は『休日にららぽーと豊洲にやってきたら大きな猫を見かけたので、遠目から写メるだけでは満足できず、直接話しかけにきたフレンドリーな人』だ。そういう設定だ。

 これで38回めのチャレンジ。

 俺としてもそろそろゴーサインを出したいところだが、全ては林田の頑張りにかかっている。

 頑張れ林田。猫もどきの充実したペットライフのために。

「この巨大猫ロボットNE-Cow-Nowエヌイー・コゥ・ナウは我々の団体が開発したスーパーアニマトロニクスメガミックスという新技術を用いて、5,000年前に地上に存在した猫を再現したものなのです」

 林田は口元にだけ笑みを浮かべ、殆ど息継ぎをせず、音程も変えずに話す。

「え、5,000年前の猫ってこんななんですか?」

 俺は若干の警戒心と好奇心を混ぜ合わせた表情で尋ねる。

「我々の団体が明らかにした事実です。アメリカのシンポジウムでも発表されているのですが、残念ながら日本では敵対勢力の妨害にあい」

 機械音声のように平坦な林田の声が『敵対勢力』の部分でテンションが上がった時のジャパネットタカタ社長になる。てぇきったいぃ勢力っ! 

 勿論、これも俺の指導だ。

「この事実はもみ消されているのです。電通、博報堂、そしてNHKへの献金を」

 またしても『電通』、『博報堂』、『そしてNHK』の部分だけジャパネットタカタ社長になる。でぇんつー! はくほうどー! そしてえねっちけー!

「我々が拒否したための陰湿な妨害工作です。しかし我々は権力者たちからの嫌がらせにも負けず、こうして人々に真実を伝えているのですよ。結局は目と目を見てお話をさせて頂くのが1番ですからね。巨大猫は今も普通の猫に紛れて地球上に存在し続けています。もしかしたらあなたもいつか、巨大猫に出会うことになるかもしれません」

 猫もどきがぺろぺろと前足を舐める。もう少しロボットらしく動いて欲しいが、最近のロボットって凄いからこれくらい動いても大丈夫だろう。

「この世界そのものがハイルーラーと呼ばれる黄金に輝く超高次元的存在に認識されることで現実として成り立っていることはご存知でしょうか?」

「すいません、なんて?」

「これは疑う余地のない真理なのです。他でもない我らが教祖、オールマザーバステトがそのように神託を受けたのですから! 我々のいるこの世界は1秒ごとに1,000,000,000パターンもの変化をする動くロールシャッハテストの模様であり、我々はそれらの染みの1点なのです。ハイルーラーは模様を「バラ」「踊る天使」「笑うピエロ」「抱き合う子供達」「バレリーナ」などと認識、解釈し、それによって現実の姿は確定し、我々はバラの棘になり、天使の羽になり。ピエロの鼻になり、子供達のえくぼとなるのですよ! 全てが別のものでありながら何も変わらないのです! 我々は我々であると同時に無限に存在する別の我々なのです。なんと素晴らしい! なんたる存在の可能性!」

 林田は両手の親指と人差し指をくっつけて胸の前で三角形を作ると、天を仰いで「ヤシュケマーナ! パパラポリシェ!」と叫んだ。無表情だった顔が叫んだ時だけ「スキャナーズ」のパッケージの人みたいな表情に代わり、また無表情に戻る。

 俺は恥ずかしそうに周囲を見回しながら、半歩林田から遠ざかる。軽々しく妙な人に声をかけてしまったことを後悔しているのだ。

「しかしある時、ハイルーラーは自らの持つ力を地上に棲む小さな命に託し、天へ昇ってゆきました。生命は自らの目で世界を認識し、解釈する段階にあると、ハイルーラーはお考えになったのです! ハイルーラーに選ばれたその者こそ、始まりの者。ハイルーラーの代行者です! 以降、その代行者が代行者としての役割を終えると代行者の力はまたハイルーラーの元へと戻り、その力はまた別の代行者へ引き継がれ、そしてまた役目を終えるとハイルーラーの元へと戻り、また別の代行者へ……このようにしてハイルーラーの力は継承されてゆきました。ある時は代行者は小さな夢想家の金色の魚でした。その代行者は世界を『陸に上がれる世界』と認識したため、世界はそのようになりました。ある時は代行者はネアンデルタール人の襲撃に怯える弱々しい金髪のホモ・サピエンスの少年でした。その代行者は『ネアンデルタール人の滅んだ世界』を認識したため、世界はそのようになりました。我々が気がついていないだけで、世界は代行者が変わる度に全く新しい形へと認識され直しているのです。ある者は現実を「バラ」と認識し、ある者は「バレリーナ」と認識する。同じ絵が全く別のものに見えてゆくのです。認識と継承を繰り返し、遂に、我らが団体の教祖にして創始者、オールマザーバステトが代行者に選ばれたのです! 彼女は歴代の代行者と同じくハイルーラーに代り世界の形を認識し続け、ハイルーラー不在の現実世界の崩壊を食い止めていました。そして数年前、オールマザーがハイルーラーの待つ天の国へ旅立たれてからは、また別の誰かが代行者となり、ハイルーラーの代りを勤めているのです。我々はそのお方を探し出し、お仕えし、お守りするために活動を続けているのです。きっとそのお方の側にはこの巨大猫が仕えていることでしょう。なぜならこの巨大猫は我々の次元とハイルーラーのいる高次元とを繋ぐアクセスポイントだからです。もちろん、オールマザーバステトの側にも巨大猫は存在していました。ただ残念ながらその姿はオールマザーバステトにしか見えなかったのです。それはオールマザーバステトが我々が動揺しないようにと巨大猫を普通の人間には巨大猫と認識できないようにしていたからです。教祖はお優しい方でしたから! とにかく、この猫を通して、我々はハイルーラーの声を聞き、また、ハイルーラーに声を聞いていただけるのです。猫は最もハイルーラーに近い獣。混沌と秩序が調和した生命体だからです。古代エジプトのファラオも巨大猫を通じてハイルーラーと対話していたのですよ。もちろん、そのファラオが代行者であったことも純然たる事実です!」

 教えた通り、瞬きの数は出来る限り抑えるようにしている。油断するとディカプリオ皺を浮かべる奴の額も今は穏やか。鼻から上には神経が通っていないと思えと散々注意したのがようやく実った。いい感じだ。眉と目はピクリともしない。瞳には無が広がっている。

「世界の真実に興味がおありでしたら、すぐ側で我々の団体が主催するセミナーを行っていますので、いかがですか。いつもは満席なので一般の方はお断りしているのですが、ここでお会いしたのも何かの縁ですから本部にかけあってみますね。ちょっと待っててください」

「え、今からですか?」

 林田はスマホを取り出し、電話をかけるふりをする。

 本番では交通案内に電話するつもりだが、今は練習だからそこはアテフリでいい。

「どうも。青年団豊洲支部班長の森田です。はいはい。そうです。今日のセミナーに飛び込みで1人入れますか?」

「すいません、困ります!」

 林田は抗議の声を無視して話し続ける。そうそう。聞く耳は持たない。それでいい。

「そこを何とか。はい。問題ありません。では参加費は私が立て替えておくということで。はい。ありがとうございます! ありがとうございます!」

 林田は大声で叫びながら激しくお辞儀をし、スマホを切るふりをする。

「おめでとうございます。セミナー参加、オッケーです。さぁ、ご一緒しましょう」

「あの、ごめんなさい。これから用事が、買い物しなきゃ」

「え、なんでですか? あなたが参加したいっていうからわざわざ参加費立て替えたのに。なんで行かないとか言うんですか。あなたが行きたいって言ったんですよ」

 そうだ。林田。恩着せがましく。気の弱い人なら『私のせいなのかな?』と思ってしまうくらいの恩着せがましさで攻めて行こう。でも本当についてこられたら困るから、ギリギリの怪しさはキープ。ギリギリで怪しさをキープだ。

「言ってないです! やめてください! 本当にカルト宗教とか結構ですから!」

「カルト! 失礼だな、あなた! いいですか、我々は世界の真実に触れて、人々と支えあおうじゃないかという団体ですよ。お料理教室、手芸教室、セパタクロークラブなど、色々な集まりを定期的に行っている健全な団体なんです。保護した野良猫の譲渡会だって全国展開しているんです。いいですか、このスーパーアニマトロニクスメガミックスを始め、私達の団体は様々な技術研究を援助している意識の高い団体なんです。芸能界にも我々の活動に参加してくれている賛同者が沢山いるんです。非公開ですが『ドクター・ストレンジ』『インターステラー』『攻殻機動隊』にも技術提供しているんですよ。エグザイルの何人かも我々のセミナーにはよく参加してくださっています。ロバート・ダウニーJrやジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー、ベネディクト・カンバーバッチも我々の一員です。そんな我々がカルトのわけないじゃないですか! いいですか、我々は完全に健全で安全でクリーンです。そして勿論、非営利! 今日セミナーに参加した方全員に食パン1斤、アンケートに答えてくださった方には暗いところで光るクリスチャン・ラッセンのポストカードをプレゼントしています! 怪しい団体ではないです。とても健全なんです。猫好きの集まりです!」

「もう結構です! 追いかけてこないでください!」

 俺は林田から少し離れ、足踏みをする。

 数秒の間、俺達は無言で見つめあった。林田は口だけが笑っていて、それ以外のパーツは麻痺しているように見える表情を崩さない。さっき、折角ここまできたのに表情を変えて不合格になったことを覚えているのだろう。うむ。

「……合格だ」

「うわー! やったー!」

「林田ー!」

 林田と猫らしきものが揃って両手を天に突き立てるポーズをする。

 林田はともかく、猫らしきものは右前足を舐め舐めからの顔ゴシゴシ、左前足を舐め舐めからの顔ゴシゴシを繰り返していただけで、特に何もしてないんだけど。

「もうこのまま合格出来ないんじゃないかと……ホッとしたよぉ」

 林田は身を前にかがめ、両膝に手をついて大きく息を吐く。

「『こいつにだけはついていっちゃいけない。高級羽布団を買わされる』っていう空気がビンビン伝わってきた。お前、そういう才能あると思うぜ!」

「ありがとう! ありがとう! 自分でも驚いてる! 自分の才能に驚いてる! 俺、株で失敗して一文無しになったら、こっちの方向で身を立てるよ!」

 林田は猫らしきものと両掌を軽く叩き合わせる、いわゆるセッセッセをしながら言った。

 仲良しか。仲良しだ。

「本番でもこの調子で。あとこれ。忘れずに」

 俺はテーブルに置いておいたジャンプくらいの厚みのA4サイズの紙束を手に取ると、その半分を林田に渡した。

 林田が俺の作った『よく出来た猫のロボットを餌に怪しいセミナーに人々を連れて行こうとする新興宗教青年団の森田君』の設定を飲み込むのに四苦八苦している間に、奴のパソコンを借りて作り上げた何らかの新興宗教のチラシだ。『電波』『宗教』『やばい』などでググって出てきた画像を元に制作した。何世代か前のインクジェットで出力したから、小さい文字や写真が絶妙に滲んでいる。レーザープリンターでは出せない独特の風味を持っている。これがシズル感ってやつだ。

「どう?」

 林田はまじまじとチラシを見つめ、顔を上げる。満面の笑顔。

「キてると思う!」

 俺達は流川と花道を思わせるハイタッチを決めた。

「うぇーい!」と林田こと流川楓。

「うぇいうぇーい!」と俺こと桜木花道。

 ヤマオーにだって勝てる!


 今日は2人ともスーツで揃えた。知り合いに遭遇するという可能性もあるので、俺も林田も髪型は7:3分けで、伊達眼鏡装備だ。これなら間近で見られなきゃバレないだろう。

 スーツの上から俺は『9.11はアメリカの自作自演!』タスキを、林田は『今こそ核兵器の積極的拡散を!』タスキをかける。ドンキホーテで買ったパーティ用のタスキに油性マジックでこれだ! と思える文章を書き込んだものだ。『自作自演!』と『核兵器』は赤いマジックを使った。際どい球を投げたという自覚はある。

「さあ、お前もこれを付けるんだ」

 俺は猫もどきにもタスキをかける。

 『NHKは毒電波を流している!』の文字。ギリギリの球を投げている自覚はある。

 俺達はお互いの姿を眺め、堪えきれず笑い出した。

「絶対に近寄りたくないっ」吹き出しながら林田が言う。

「仮に『猫のぬいぐるみだー』って近寄ってきたとしても、タスキの文字が見えたら泣いて逃げ出すに決まってるぜ。よし。準備も出来たし、出かけよう。ここからららぽまで行って、ぐるっと海岸周りを歩いて戻ってこような。まだ陽も明るいし、きっと気持ちいいぞ」

 林田の顔が少しばかり強張っている。あいつの目線はドアに向いていて、唇がキュッと固く結ばれている。

「おい」

「うん」

「大丈夫だから。俺もいるし、猫もどきもいるし、外にでても変なことは起きないから。っていうか、もう十分変なことは起きてるから。これ以上はないから」

 林田は頷きながらもまだ怯えた顔をしている。「やっぱり俺は行かない」とでも言い出しそうな顔だ。

「いいか、ドアを開けたらまず外廊下と腹くらいまでの高さの手すり付きの壁が見える。中庭の空間を挟んだ向こう側にも手すり付きの壁があって、その向こうにドアが並んでる。入居者募集中の張り紙付きのドアだ。どのドアにもそれが貼ってある。左を向けば外廊下は途中で直角に曲がって、向かい側へと続いてる。このマンションは真上から見るとコの字型だからな。ぐるっとな。そんで右を向くと真っ直ぐ進んだ廊下の先にエレベーターホールがある。それに乗って、1階まで降りるんだ。何にもおかしいことは起きないよ」

「うん」と林田は暗い声で頷く。

 こいつを外に連れ出す時はいつも通過するお決まりの情緒不安定さだ。大したことじゃない。バンジージャンプの直前でぐずる奴をなだめてる係員の気分。

「自分でもこんなのおかしいって思ってるんだから、そういう目でみないでよ」と林田が顔をしかめる。

「いい加減慣れろって。外にはちゃんといつも通りの廊下があるよ」

「わかってるけど、それでもいつも怖いんだよ。ドアの向こうに何もなかったらって想像しちゃって……」

「はいはい。わかったわかった。怖い怖い」

 林田はムスッとむくれて「もういいよ。行けばいいんだろ、行けば」と言った。

「そりゃーよかった。よし、気を取り直して全員前へー!」

 俺、林田、猫らしきものの順で一列に並び、『サザエさん』のエンディングの磯野家みたいな感じで玄関へ進んだ。

「このドアをくぐれば、俺たちは今の俺たちとは違う俺たちだ。俺たちは林田が考えた架空の宗教団体、宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会ハイコズミックサイエンス・ハッピネス・リアライゼーション・カムカム豊洲支部の青年団の団員と、宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会が制作した『ものすごくよく出来た猫のロボット』だ。わかったな! 大宇宙支配者に栄光あれヤシュケマーナ・パパラポリシェ!」

 俺は両手の親指と人差し指をくっつけて3角形を作り、それを胸の前に掲げる。

 架空の宗教、宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会の神聖な誓いの動作だ。これも林田が考えた。

 架空の教祖オールマザー・バステトへの忠誠を示す言葉でもあり、巨大猫を通じてハイルーラーに直接語りかけるポーズでもある。

 架空の教祖オールマザー・バステトも林田が考えた。

 本名はローラ・マクガナン。ミネソタ出身。ジョディ・フォスターに似てる。

 神に目覚めてから夫と離婚し、息子チャールズとは疎遠になったが、孫のジョーナスには慕われているっていう設定だ。

 ちなみに孫のジョーナスは黒髪の憂いを帯びた美少年で現在12歳。右目が紫、左目が緑で右目で霊の姿を、左目で人間の寿命を見ることができる能力者だ。常に敬語を使う礼儀正しい少年だが、大切なものを傷つけられた時は右手の封印を解き、こう、すごいを出す。時々、光の翼とかも生える。

 彼はとある事件をきっかけに警察の捜査に陰ながら協力するようになり、悪霊や超能力者が絡んだ事件を霊能力探偵として解決していくが、とある事件で知り合った悪魔を自分の体に封印する羽目になってしまう。悪魔は最初ジョーナスの体を乗っ取ることを画策していたが、とある事件をきっかけに奇妙な友情が2人の間に芽生えてゆく。だがとある事件が起こり、悪魔と天使の戦争が近づいてしまう。大天使から悪魔を引き渡すように命じられたジョーナスと、大悪魔からジョーナスを引き渡すように命じられた悪魔はとある事件をきっかけに2人で悪魔と天使、両方の軍団と戦うことに決めるのだった! ──みたいな、そういう設定まで林田は作り込んでいた。

 とある事件多すぎると思う。

「大宇宙支配者に栄光あれ!」俺の叫びに林田が続く。

「大宇宙支配者に栄光あれ!」俺が繰り返す。

「大宇宙支配者に栄光あれ!」林田がまた繰り返す。

「大宇宙支配者に栄光あれ!」俺が繰り返す。

 だんだん楽しくなってきた。そういえば最近、何かを大声で叫ぶ機会ってなかったかもしれない。大人になるって、そういうことなんだな。

「林田ーなーう林田林田!」猫が叫ぶ、努力は認めよう。

 俺達は想像上の神々への想像上の忠誠の言葉を、徐々に大きくなる声で繰り返し叫びながら林田の部屋から飛び出した。

「大宇宙支配者に栄光あれ!」

 宇宙への、教祖オールマザー・バステトへの、高次元にいるハイルーラーへの信仰心が、俺のテンションを上げてゆく。光り輝く星々と、ダークマターが俺達に力を与えている! この世の真理は大宇宙科学幸福実現協議会に微笑むだろう!


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 ドアを開けて部屋に戻るなり、俺は浜辺に打ち上げられたクラゲよろしく、その場に崩れ落ちた。

 肝臓が『やめてください。死んでしまいます』と金切り声をあげ、脹脛が『やめてください。死んでしまいます』と啜り泣いている。耳の後ろに心臓が移動し、鼓動が響くたびに毛穴から汗が流れ出した。頬に触れるフローリングの冷たさが気持ちいい。

 猫もどきが部屋に入るのを待ってからドアに鍵とチェーンを掛けた林田も、俺に続いてクラゲになり、壁に背中を預けて座り込んだ。猫もどきだけが元気リンリンだ。

「林田、なうなうなう、なうなう林田なうなうなう」

 どっかで聞いたことのあるリズムでそう言うと、猫もどきは林田の前で膝をつき、前足の肉球を林田の顔面に押し付け始めた。白粉を叩く女性みたいな感じでポフポフ。

 例のあの笑顔を浮かべていたので、奴なりに感謝を示しての行動なのだろうが、林田は肉球を顔に押し付けられるたびに「おっふ」と苦しげに呻いていた。やめてやれ。

「なう」

 お。やめてあげた。

 猫もどきは俺に顔を向け、膝立ちでこっちににじり寄ってくる。

 やめろ。こっちに来るな。膝で歩くな。猫の膝ってあんな風に曲がるもんなのか。

「林田」

 人違いです。

 立ち上がって奴から距離を取りたいが、呼吸するので精一杯だ。

「林田、なうなうなう、なうなう林田なうなうなう」

 猫もどきは床にくっついてない側の俺の顔を、先ほど林田にしたように叩き始めた。痛くはない。風船で叩かれている感じだ。痛くはないが疲れているんだ。やめてくれ。

 抗議の声を上げようとするも、その度に肉球が顔を打つので「おっふ」としか口に出来ない。何回めかの「おっふ」で俺は先ほどから猫らしきものが口遊んでいるのがキャリー・パミュパミュの『ウェイウェイポンポン』ってやつだと気がついた。曲名は知らんけど、林田が好きな曲だ。やはりこれは猫もどきなりの労いなんだろう。飼い主のお気に入りの歌とともに『よくやったじゃないかぁ』と肉球パフパフをしてくれているのかもしれない。

「なう」

「おっふ」

 しかしやめていただきたいのだ。

 やがて猫もどきは深々と頷いてからリビングへと消えていった。奴にしかわからない何かに納得し、奴にしかわからない何かを満足させたのだろう。なんなの。

 テレビの音が聞こえてきた。

『エブリディ! エブリバディ! 楽しんじゃおうぜ、コカコーラ!』

 俺が知らない間にリモコンまで使えるようになっていたようだ。

 チャンネルまで変えているのが音でわかる。

 猫もどきが去った後、電気もついていない薄暗い廊下に俺と林田の荒れた呼吸音が響く。音だけ聴くとダースベイダーの呼吸音で作った音楽みたいだ。目を開けているのも辛いので俺は目を閉じ、しばし、ダースベイダーの音楽を耳で楽しむ。本当は全然楽しくなんかない。気を紛らわせないと辛いのだ。主に脹脛がパンパンに張っていて辛いのだ。

 シュッ、シュッ、シュッー、シューココッ、シューココッ。

 シュコーァッ。

 シュッ、シュッ、シュッー、シューココッ、シューココッ。

 シュコーァッ。

 シューコ、シューッコッコッ、シュココッ、シュコーッコーッコッシュココッ、シューココッ、シューココッ。

 シュコーァッ。

「お前」

 ダースベイダーこと林田が弱々しく呻く。

「実在するかどうか一応ググッとけっつただろ、バカ」

 ケツに何かが当たる。林田が靴を投げつけてきたんだろう。やり返す体力も気力もない。

「……実在するなんて思わねぇじゃん」

 なんで実在すんだよ。宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会。

「バカ、バカ、バーカ」

 2つめ、3つめの靴が飛んできて、俺の背中や腰に当たる。林田も疲れているので力を込めて投げれないのだろう。痛くはない。

 俺は「バーカ」と俺を罵り続ける林田の声をBGMに、外で起きたことを回想する。

 

 最初の2時間は計画通りだった。

 林田も猫もどきも落ち着いていたし、人々の反応も全て予想通りだった。

 遠くから写メを撮る人々はいたが、近づいてくる者は皆無。たまに「なにあれ、凄くなーい?」と若者達が走ってきたが、必ず途中でグループ内の警戒心の強い誰かがタスキに気がつき「うわっ! やばいって! 東京まじこえー!」と叫んで、方向転換していった。そう。俺たちは東京の恐ろしさを体現する存在となったのだ。新宿のキャッチや、町田のヤンキーと同じように。

 人々は俺たちを避けた。それはもう避けた。「猫ちゃーん」と寄ってきた子供は、慌てて追いかけてきた親御さんに「いけません!」と連れ戻されていった。

 彼らのあの冷たい目。まるで俺たちがそこにいるだけで空気が腐るとでもいうようなあの目。

 俺たちは宗教に対する人々の偏見を目の当たりにした。

 確かに、確かに俺たちは猫もどきをお散歩させるために、ちょっとアレな人たちを装った。だが、ちょっとアレだからといって、ここまでの偏見と嫌悪と侮蔑の目で見られなければならないのだろうか? 俺はそう思った。

 ちょっと考え方が違うだけで、ここまであからさまに侮蔑するとは何事だろうか? 違うということと、悪いということは別のレイヤーの話のはずだ!

 俺たち宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会は教祖オールマザー・バステトがハイルーラーの力を継承したと信じている。彼女の素晴らしい金髪がハイルーラーと同じ輝きを放っていたのが選ばれた理由だと信じている。黄金の力を継承すべき者の持つ、黄金のおしるしだ。

 ハイルーラーの声を聞いた彼女は、代行者として地球を存在させつつ、次世代の代行者が道に迷わぬように祈りを捧げる活動を開始した。それが宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会の始まりだ。人を助けるための愛で満ちた宗教なのだ! 血塗られた歴史も汚点もない! 俺たちはただ、星々を見上げ、大地を見つめてはこの地上のどこかにいるオールマザーの後継者に思いを馳せているだけだ!

 それなのになぜ、こんな目で見られなければならないんだ! 筋が通らないじゃないか! 血液型占いや星座占いの方がずっと悪質だ! あれは人格を! 行動を! 運命を縛る! だが我々の宗教はハイルーラーの代わりに世界のあるべき形を認識する者を支え、世界の消滅を食い止めるという英雄的な行いをしているのだ! この世界が存在するのは我々のおかげと言っても過言ではない! いや、事実そうなのだ! 我々の信仰は断じてカルトではない! 我々の考えや信仰を理解してくれないのは構わないが、信仰の違いによって誰かを排斥したり、侮蔑したりするのは間違っている! そんなことはしてはいけないのだ!

 レイシスト! そう、こいつらはレイシスト! 理由もなく我々を差別する思想なき者たち! 大衆! 大衆という名の悪魔! 恥を知れ! 貴様らの偏見になど負けるものか! 大宇宙支配者に栄光あれ!


 ――今になってあの時の心境を冷静に思い返すと、電波がユンユンしてるのがわかる。我々て。俺と林田しかいないのに、我々て。

 思うに、俺は役作りを本格的にやりすぎたのだ。

 宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会の教義や歴史は主に林田が考えた完全に架空のデタラメなものなのだが、俺は生まれついての真面目さゆえに度を越してのめり込んでしまった。

 俺は何かの振りをしているうちにどんどん何かっぽくなってしまって、最初から自分が何かであったような気持ちになってしまうところがある。素直なハートの持ち主だから仕方がないんだ。

 よく行く電気屋で店員に間違えられてオススメの大型テレビを聞かれた時も「俺も客ですよ」の一言が言えずに、予算や部屋のサイズやテレビの使用頻度を聞いた上でビエラをお薦めし、「アマゾンさんの方がお安いんですが、今週の木曜日はポイントアップデーですから20%のキャッシュバックになります。だから今日は買わずに木曜日にもう一度いらしてください。今、担当者をお呼びして、品物をお取り置きさせますので」とまで言った。お呼びした担当者は始終微妙な顔をしていたが、誰も損してないんだからいいんじゃないか。


 俺はごっこ遊びで本気のポテンシャルを発揮するタイプゆえ、ここから先の展開は起こるべくしておきた悲劇と言えなくもない。俺はそんなには悪くないはずだ。

 俺は「そこまでしなくていいじゃん」と渋る林田と、見るもの全てに興味を惹かれている猫もどきを連れて、混雑するららぽーと豊洲の中に入った。

 俺たちは練り歩いた。混雑するららぽーと豊洲を。

 ノースポートエリアを。

 センターポートエリアを。

 サウスポートエリアを。

 シップ1を。

 シップ2を。

 シップ3を。

 シップ4を。

 1階を。

 2階を。

 3階を。

 俺たちは肩で風を切って歩いた。人々は俺たちを避けた。右へ、左へ、避けた。

 俺たちが歩けばそこに道が出来た。俺たちは横一列に広がった。

 ――ドワナ・クローズマ・アーィ――。

 脳内でエアロスミスが『アルマゲドン』の歌を歌っていた。俺の頭の中で、俺は公開時に散々馬鹿にしていた『アルマゲドン』の、散々バカにしていたブルース・ウィリスに姿を変える。

 オレンジの宇宙服。ヘルメット。地球を救うために宇宙へと飛び立つ英雄。

 そう。それが俺だった。

 ――フフフン、フン、フフ、アイ・ミィスィー・ユー、フンフンフフフフフフーン――。

 脳内エアロスミスがぼんやりと歌い続けていた。俺はあの歌をサビしか知らないし、『アルマゲドン』もブルース・ウィリスと仲間達が一列に広がって歩くシーンしか覚えてない。

 ――ドワナ・クローズマ・アァァァァーィイイィィィ! ――。

 歌がサビに差し掛かると、俺の脳内エアロスミスのボーカルは元気になった。

 まちがいなく、俺は、俺たちは、俺達宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会は、偏見という名の巨大隕石に立ち向かう、勇敢な男たちだった!

 エアロスミスみたいに俺は叫んだ。ABCマートの前で。

「大宇宙支配者に栄光あれ!」

 林田も叫んだ。サンマルクカフェの前で。

「大宇宙支配者に栄光あれ!」

 猫らしきものもの叫んだ。4DXで『マッドマックス』を再上映中の映画館の前で。

「林田ーなーう林田林田!」

 努力は認めた。俺はそういうの、ちゃんと評価するタイプだから。

 警備員の「お客様、困ります」の声は宗教の自由という言葉を連呼して押しつぶした。

 俺は坂道を滑り降り、道を上ってくるクリボーやノコノコを虐殺するスターマリオだった。無敵だった。どんな敵も一撃でポウ出来るし、絶対に誰にも負けないと盲信していた。

 7、8人の殺気立った男女に取り囲まれてからようやく、俺はスターマリオというものは、坂道を滑り降りた後のジャンプに失敗して、崖から落ちて死ぬ運命だと思い出したのだ。

 顔を真っ赤にして俺たちを睨みつけていた彼らこそ、本物の宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会豊洲支部だった。


 「あなた達は勝手にうちの団体の名前を使って、一体何をやっているんですか!」

 リーダーらしき人は確かこんなことを言っていた。お怒りはごもっともだった。

「こいつら公安の回し者です。我々を挑発して、先に手を出させようとしてるんです。その手には乗らないからな! 我々はお前達政府の陰謀には屈しない!」

 腹心らしき人は確かこんなことを言っていた。彼はちょっと考えすぎのきらいがあった。

「こいつら、幸福の科学じゃないの?」

 後ろの方にいた誰かがこんなことを言っていた。幸福の科学に思わぬ流れ弾が飛んだ。俺はごめんねって思った。

「一緒に来てもらえますか? 一体誰の差し金で、何の目的で、我々のことをバカにする真似をしたのか、説明してもらいます! なんなら警察に行ってもいいんですよ!」

「なう」

 リーダーらしき人が俺の腕を掴もうと伸ばした手を、いつの間にか俺の隣に立っていた猫もどきがはたき落した。リーダーらしき人は林田が猫ロボットを動かしたと思ったらしく、林田を睨みつけて「スイッチを切りなさい」と言い、もう一度俺に手を伸ばし――。

「なう」

 また叩き落とされた。

「ちょっと」と手を伸ばしては。

「なう」

 叩き落とされ。

「いい加減に」と手を伸ばしては。

「なう」

 叩き落とされ。

「しろって」と手を伸ばしては。

「なう」

 叩き落とされた。

「なう、なう、なう、なう、なう」

 猫らしきものはポフンポフンと肉球でもってリーダーらしき人の腕を叩き続けた。

 俺と林田は「おい、よせ」「これは俺たちが悪いパターンだから」と奴を宥めようとしたが、奴はリーダーらしき人を叩き続けた。痛くはなさそうだったが、屈辱的だったろう。

 林田が「やめろって。こういうのは謝れば済むんだから」と言ってしまったのが、決定打だったのだ。

 今思い返しても、あれは林田の悪いところが濃縮された発言だったと思う。あいつ、時々こう、人の気持ちを考えないで踏みつけにするとこある。

 リーダーらしき人がなんと叫んだのかは覚えていない。聞き取れなかった。不穏な響きではあった。というのも集団の空気が切り替わったからだ。単なる怒りから、攻撃態勢へと。

 

 そういうわけで。俺たちは走った。青春映画のワンシーンみたいに。

 先頭は猫もどき。続いて林田、ほぼ横並びで俺。

 ららぽーとからガスの科学館まで。そしてガスの科学館から国際展示場まで。さらにそこからまた別ルートでららぽーとまで。

 俺たちは走った。

 宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会豊洲支部の人たちに追いかけられながら。

 宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会豊洲支部の人たちは本気で怒っていた。

 俺たちは本気でビビっていた。

「悪気があったわけじゃないんです!」

「本当に、本当に、もうしませんから!」

「あなたたちの気持ちは痛いほどよくわかります!」

「日本人は宗教に寛容だなんて大嘘ですよね!」

「無宗教と無神論の区別もつかんのですよ!」

「ちょっと羽毛布団売るくらいで無害なのに、大衆は大げさなんですよね!」

 そんなようなことを時々振り返りながら俺と林田は宗教法人・大宇宙科学幸福実現協議会豊洲支部の人たちに向かって叫んだが、帰ってきたのは罵声だけだった。あんなに怒ることないと思う。

 俺なりに彼らの辛い状況は理解していたというか、自分的には俺は彼ら側だと思っていたので、彼らから「一緒にするなぁーっ!」「少数派だと思ってバカにしやがって!」「宗教相手なら何やってもいいと思っているんだろう!」「ユーチューバーかニコ動のクソ実況者かまとめサイトか! どのクソ野郎だ! 新興宗教をからかって遊んでみたら人生オワタとでも書くつもりか! アフィ野郎!」「新興宗教と押し売り犯罪集団を同一視してんじゃねぇ!」という言葉が投げつけられるたびに心が痛んだ。言いにくい名前のお婆ちゃん魔女先生に戦いを挑まれたスネイプ先生の気持ちだった。

 猫もどきは俺と林田の1メートルくらい前を俺たちの方を向いて走っていた。両手はだらっと下げたまま、足だけがミシン針みたいに激しく上下していた。あれっぽかった。アイリッシュダンス? っていうの? 下半身だけで踊るやつ。

 そして笑顔だった。外で走れるのが楽しくてしょうがない感じだった。

 俺達は1時間近く走り回ってなんとか追っ手をまき、ようやくここへ戻ってきたのだ。

 

 猫もどきの足音が近づいてくる。

 目を開けると、2リットルサイズのコーラのペットボトルを両手で抱えて奴が立っていた。

「なう」

 奴は林田の前に歩いて行くと、ペットボトルの開け口を林田に向ける。

「なう」

 どうやらキャップを開けて欲しいらしい。飲むんだ。コーラ。

「今、疲れてるから」

 林田はかすれた声で言う。猫もどきの耳が少し倒れる。

 猫もどきはまた俺に顔を向ける。

「林田」

 人違いです。

「なう」

 猫もどきは俺にもキャップを向ける。

「無理。疲れてんの。後にして」

 猫もどきの耳がまた倒れる。同情誘おうとしてもダメだから。疲れてるから。

「なーう」

 奴はキャップをその尖った歯で噛み始めた。カッカッカッと軽い音が響く。

 奴は右から左から、時にはペットボトルを持ち直したりもして、キャップを歯で開けようと試みたが、結局どれも失敗した。

「林田」

 吐き捨てるように猫もどきは言い、ペットボトルを廊下に投げつけた。

 イライラすると物に当たるタイプのようだ。ペットボトルは軽くバウンドして、玄関に転がってゆく。衝撃で中身が泡立ってる。あれじゃぁ開けた時、大惨事になるな。

 猫もどきは俺たちに背中を向け、リビングへと消える。またテレビの音が聞こえる。

『楽しんじゃおうぜ、コカコーラ! 疲れた気持ちもスカッとふっとばせ!』

 あのコーラ、もしかして俺たち用だったのか?

 ……おー。そうか、そうだったのか。

「なう」

 猫もどきがまた戻ってきた。また何かを抱えている。コーラではないけど、大きさはそれくら――お醤油だ。お醤油のボトルだ。キッコーマン。丸大豆。

 猫もどきは首を右に傾けて、歯でキャップをカッカッカッと弄る。力を込めて捻らないといけないコーラのボトルとは違い、お醤油のキャップは簡単に開いた。

 猫もどき、満面のスマイル。

「林田。なう」

 まさかそれを俺たちに飲ませようとはしてないよなっ? コーラの代打をお醤油に務めさせようとはしてないよなっ? なっ? 違うよなっ? 似てるのは色だけだぞ!


 まさかだった。

 猫もどきは身動きが取れない林田の前まで歩いて行くと、『となりのトトロ』でカンタが「ん! ん!」とサツキに傘を押し付けた時のように林田にお醤油を押し付け始めた。

 林田は口を固く閉じ、首を横に振り続けた。猫もどきは「全く解せない」というようにお醤油と林田を交互に見た後で、お醤油のボトルを林田の頭の上で、ひっくり返した。

「ちょ、ま、待てよぉ」

 木村拓哉の下手くそなモノマネ調の林田の声は、お醤油の流れ落ちる音で止められた。もし林田が寿司だったら、シャリが崩れて箸でつかめなくなるくらいお醤油でひたひたになった。

 ただでさえ疲労困憊しているところに、この仕打ち。林田は完全に打ちひしがれ、うつろな目で天井を見上げて「もー」とキョンキョンみたいな声を上げた。

 お醤油の中身が半分になったところで猫もどきは、くるっと俺を見た。

「林田」

 人違いです。


 ちょ、ま、ちょ、ちょ、待てよ。



 もー。

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